表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドロイド・ケイと神なき街【本編完全版】  作者: 彩条あきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/23

最終話「大決戦! メイドロイドよ永遠に」(4/4)

風雨は勢いを増し、もはや土砂降りの様相を呈していた。

そんな中、ビル高層部から落ちてきた塊が真下に停まっていた乗用車を叩き潰し、弾みでふたつに分かれるとコンクリートの地面に転がり出す。お互いの全身から火花を散らしつつも程なく立ち上がったそれらは、それぞれがケイとルーシィの姿をとって身構える。


両者はどちらからともなく駆け寄って重々しく殴り合い、雨中に火花を撒き散らす。同時によろめいたかと思えば、またしても近づき合って互いに互いを殴りつける。それがひたすら繰り返される。

メタルとメタルの激突。鋼鉄の魂が繰り広げる大決闘であった。


「はははっ、必死だねえケイ! しかしきみに、そうまでしてマコトを守ってあげる価値が、本当にあると思うのかい!?」

ルーシィの一撃をケイが受け止める。互いのボディが軋み合う。モーターの回転音が限界にまで達していた。

「私は……マコトのお姉ちゃんです。本当の、お姉ちゃんです。五十嵐珪子の想いを……私は受け継いでいるのです。マコトは、私が守ります」

「それは結構だね! でもどうせ、その想いはマコトには通じないよ。だって珪子やきみがどれ程彼を想っても、所詮彼は自分のことしか考えられないって分かり切っているんだからさ!」


そこへ、どうにか地上に降りてくることの出来たマコトが、離れたところに姿を現す。逃げなければと思いながらも息が切れてしまう。自らも手酷く雨に打たれながら、マコトは壮絶な死闘の一部始終を目撃させられる。


「例えばさ、知ってたかい? マコトがかつて整備士の資格を取ろうとした時……その費用を出してあげたのは、他でもない珪子だったことをさ! なのにあの莫迦なお子ちゃまは何も知らず、強引について行った遊園地で珪子相手に嫌な態度を取り続けていたのさ!」

「えっ……!?」

当然、マコトにもその会話は届く。数年越しで訊かされた真実に、マコトは湧き上がる戸惑いを隠しきれない。


「ぼくらの両親はね、珪子の夢を優先して、マコトの頑張りを切り捨てようとしていたんだ。また来年があるさ……ってね。だが珪子だけがそれに反対した……あれだけ仲が悪かった弟のために、自分がアルバイトをして貯めたお金をつぎ込んでまで、密かに応援していたんだ。だがマコトはそれを知ろうとさえしなかった。呆れるね……ぼくだったら殺してしまうよォッ!」


膠着状態から一転、互いの腕を振り払い、更に数手分組み合う二人。しかしすかさずルーシィの両腕から稲妻が放たれる。弾かれたように転倒し、ケイはコンクリ舗装の地面に這いつくばってしまった。


「きみ自身も経験しただろう、ケイ。どれだけ思い遣っても、守っても、彼は感謝なんてしない。あの両親と同じで、何もかも口先だけだ。気まぐれや癇癪で四六時中当たり散らし、酷ければ追い出しさえする。きみが逆らえないって分かっているハズなのにね。そうだろ、マコト!?」

「……ッ!」


ルーシィの瞳がギロリとこちらを見据える。マコトは蛇に睨まれた蛙の気分だった。危険を感じて物陰に隠れようとするが間に合わない。ルーシィの再び放った稲妻がマコトを目掛けて押し寄せてくる。マコトが身をすくめた直後、ビリビリと痺れる様な感覚がして、小さな破裂音が相次いだ。


心臓がひどく鼓動を早めていた。が、マコトはまだ生きている。ケイが瞬く間にルーシィとの間に割って入り、直撃を阻んでいたのだ。以前の比ではないぐらい全身が焼け焦げ、関節が軋み、ズタズタになってなお表情を変えず声も上げないケイの姿に、マコトはかけるべき言葉を失った。


「……理解に苦しむよ、ホント。どれだけ尽したって無駄なんだよ?」

ルーシィが一転して、やや冷めた口ぶりでそう呟く。

「人間って生き物はさ、自分に尽くす存在がいるとそれが当たり前だと勘違いして、感謝するどころか、やがて相手をぞんざいに扱い始めるんだ。きみ自身何度も体験していることだろう。マコトを守り続ける意味なんか、一体どこにあるっていうんだい!?」


「……私は」

「ふん……所詮プログラム通りにしか動けない人形に、何訊いても無駄か……」

「……胸が熱いのです」

「なんだって?」

「胸が……胸の奥が、熱くなるのです……マコトが満たされた顔を見る度に。その無事を確かめる度に。ほんの一時でも、不器用でも、私の身を案じて声を上げて下さる度に……私はそれが心地好い。だから、」

言いながらケイは、ルーシィに向き直る。

表情は変わらない。しかしその拳は一層、強く固く握りしめられている。


「私は、マコトを守るのです。他の誰でもない私自身のために。それがたとえプログラムであろうと……私の中にある想いは、全て私自身の一部なのです」

「…………莫迦莫迦しい!」

長い沈黙の果て、ルーシィは吐き捨てるように言った。


「そんなもの、所詮いつかは裏切られるって言ってるのさ!」

「マコトは昨日、初めて家事や炊事に自ら挑戦しました……私を、無理にでも休ませようと体中に傷を作り、不器用ながらも一生懸命に」

雨に打たれて輝くケイの瞳は、不思議な確信に満ちていた。

「マコトが人として学ぶべきこと、克服すべき未熟さを多く抱えていることは事実です。けれどマコトは、自ら第一歩を踏み出したのです。ならば私はその努力を、成長を見守り、支えるのを惜しみません。それがメイドとしての……お姉ちゃんとしての、私の役割なのです」


「きみは人間の救いのなさを知らないんだ。だからそんな綺麗事が言える」

「……つまり、貴女は知っているということですか、ルーシィ飛鳥。先程から貴女の発言は、逆説的には感謝されたかった、裏切られたくなかった、という趣旨を含んでいるように聞こえます」

一瞬、ピクリとだが確かにルーシィが反応するのをマコトは見た。


「…………黙れよ」

「感謝という言葉は不充分かもしれません。貴女は愛されたかったのですね、ルーシィ飛鳥。しかし、叶わなかった……」

「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ」

「五十嵐夫妻のみならず、珪子までもが」

「黙れ黙れ黙れ黙れッ! 黙れって言ってるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

ルーシィの大絶叫が雨の中に轟いた。

けだもの染みた雄たけびを上げて飛び掛かってきた彼女は、ケイを力任せに引き倒してマウントを取ると、そのまま猛り狂った様に無茶苦茶にケイを殴りつけ出した。鈍く、重たい金属音が幾重にも折り重なる。


「……なんできみにッ! なんで寄りにも寄ってッ! きみなんかにそんなこと言われなくちゃならないんだッ! ぼくが今まで誰のために頑張ってきたと思ってるんだよ……模造品のクセに! 模造品のクセに模造品のクセにィィィィィィッ!!」

尋常ならざる衝撃が地面に伝わり、ケイの背中にあるコンクリートに亀裂が生じ始めた。ケイは一向に表情を変えないが、明らかに度を越したダメージが蓄積しているのが分かる。


このままではマズい。そう思った時、マコトの足が何か硬い物体に触れた。ケイとルーシィが落下した衝撃で破壊された車の、バンパーにあたる部分だ。車体から外れて、そのまま転がっていたようである。

迷っている暇はない。マコトは考えるより早くそれを両手で拾い上げると、殆んどがむしゃらにルーシィに殴り掛かっていた。

「――――姉ちゃんから離れろォッ!」

「邪魔だ、退いてろ!」


マコトの決死の覚悟もむなしく、ルーシィには振り返りざまの拳一発で撥ね飛ばされてしまう。車やバイクにぶつかられたような衝撃があって、マコトは地面に叩きつけられた。肺が潰されたみたいに息が詰まる。

ところが次の瞬間、ルーシィの全身が鋼鉄のワイヤーで雁字搦めになった。ケイが右上腕部を射出し彼女を捕縛したのだ。しかも雷を乱発し過ぎたために相手のエネルギーは底を突きかけていた。

「……しまっ……」


ボロボロのメイド服を突き破って、ケイの胸元から武骨な砲身が出現する。正面のルーシィに照準が合わされ、青白いエネルギーが砲身内部に充填されていく。チェックメイトの合図だ。

「メガメイドプラズマ……レディ……」

「……うっ、くくくっ、あははははははははははッ!」

何とか抜け出そうと身をよじり、もがいていたルーシィだったが、逃げ場を完全に封じられたことを悟ったのか遂には居直り、狂気染みた表情を浮かべてケタケタ笑い始めていた。


「結局はこういうオチか! 成程ねぇ、最高だよ! ははは……笑えるね……笑えるなぁ……本当に……笑える……ぼくが……何したっていうんだよ……」

その笑いは、次第に泣き顔めいたものへと変わる。

マコトは、あっと声を漏らした。彼女の両方の瞳から、濁ったオイルの様などろりとした液体が溢れ出し、頬を伝って落ち始めたのだ。

泣いていた。ロボットの彼女が、確かに泣いていたのだ。


「ぼくが! ぼぐがァァァァァッ! 一体、何をじだっでいうんだよォッ!?」

「……貴女は、きっと本当は悪くありません」

ルーシィの姿を最も近くで目撃したケイが、静かにそう告げる。

「ほんの少し……愛されるための手段を、間違えてしまっただけなのです」

「ぞれならァ! ぞれなら連れてっで……連れででよぉーッ!」


ルーシィは体を滅茶苦茶に振り回して喚きたてる。聞き分けなく暴れ狂い、涙を撒き散らして同情を乞おうとする。それは拘束を抜け出すこと自体より、殆んど目の前の現実を受け入れないことだけが目的のようだった。

まるで欲しいものを買って貰えずに、駄々をこねる幼児の如く。


「いい子……良い子になるがらぁッ……ぼぐも……ゆうえんぢ……遊園――」

「――これが、メイドの土産です」

「ァァァァァァァァァァァァッ!」

解放された青白いプラズマが、奔流となってルーシィを直撃する。


ゼロ距離状態で放ったため、跳ね返ったプラズマはそのままケイに対しても降り注ぎ、ふたりを中心に未曽有の大爆発が発生した。

爆圧に耐え切れずに、マコトは後ろ向きに吹っ飛ばされる。地面を転がっていき、乗用車のドアに激突。それからしばらくの間、意識を失っていたような気がした。


気が付いた時、マコトはまだ固い地面の上に横たわっていた。

顔を上げると、爆心地近くの雨が蒸発した影響で、辺り一面が大量の蒸気に包まれていることが分かった。マコトはひどく咳き込みながらも、何とかその場で立ち上がる。まだ火災と蒸気の勢いが凄まじいため、全貌を見渡すことは不可能だった。

「……け、ケイ……?」


少しでも状況を確認しようと一歩踏み出したマコトは、すぐに息を呑んだ。確認できる範囲のみでも、そこら中にルーシィやケイのものらしき部品が散乱していたのだ。すぐ傍には、金属骨格が露出したルーシィの頭蓋部が転がっている。恨めしそうな目つきでこちらを見上げていた。

「うそ……だろ……」

もはや絶望的ともいえる状況だった。マコトはへなへなと崩れ落ち、今一度燃え盛る炎の方を見やる。思考がまとまらない。放心に近かった。


諦めかけていると、マコトの耳に何か妙なものが聞こえてきた。まるで錆びついた金属の軋み合う様な音だ。注意深く耳を傾けると、ガチャンガチャンと歩行音らしいものに聞こえる。思わず顔を上げると白煙の奥に蠢く影がある。そこに現れたのは、満身創痍で片足を引きずりながらも、確かに生存しているケイであった。


「…………ぅ…………ぁ…………ぁ…………」

「ご心配を……おかけしました……」

「ケイ――――ッ!」

涙が溢れて止まらない。マコトは無我夢中で飛び出していく。


爆発に巻き込まれたケイは右腕が吹き飛び、左脚もほぼ動作していない様子だった。エネルギー的にもダメージ的にも、とうに限界を迎えていたらしく、ケイは脱力した様に膝を突いてしまう。

マコトはケイに駆け寄ると、初めて自分の方から、力いっぱいに彼女を抱き締めた。ケイは喜ぶような戸惑うような複雑な表情をしながらも、自身も弱々しく抱擁を返してきた。マコトの肩口に顔を埋め、そっと目を閉じる。


「当分……休暇が……必要なようです……」

「うん……うん……いいよ。いくらでも休んでくれて構わないから……!」

「……お姉ちゃんは……一時休業です」

そう語るケイの声は、外見の痛々しさに反してとても穏やかだった。

「これではまたマコトに……迷惑をかけてしまいますね……」

「……迷惑だなんて言わないでよ!」

マコトは両頬をぐしゃぐしゃに濡らしながら言った。


「こんなボロボロになるまで、ボクを守ってくれて……」

「マコトも……私を助けようと……してくれましたね……」

「ボクなんか……何もしてないよ……そんなことより、生きててくれて本当に良かった。ありがとう、ケイ……ううん、ケイ姉ちゃん……」

「やっと……マコトがお姉ちゃんと呼んでくれました」


それから長い間ずっと、ふたりは無言で抱き合ったままだった。

やがて遠くの方から、サイレンの音が近づいてくるのが分かった。どうやら警察も、本格的に事態収拾に乗り出してきたようだ。

「姉ちゃんあのさ……ボク、姉ちゃんのこと……姉ちゃん……姉ちゃん?」

反応がないことに違和感を覚え、マコトは咄嗟にケイから身を離す。

見れば、ケイの瞳から光が徐々に消え始めていた。視線が宙を彷徨っている状態とでも言うのだろうか。それが示唆する事実に気が付き、マコトはサッと青ざめた。


「ね、姉ちゃん大丈夫!? しっかりして姉ちゃん……ケイ姉ちゃんっ!」

「……すみません、マコト。どうやらあまり、時間がないようです……」

「そんな」

「……先程の闘いで、プラズマユニット内に致命的な破損が生じました。私のエネルギー源であり、五十嵐珪子の魂が封じられた箇所です……私はまもなく全機能を停止するでしょう」

「あ、諦めちゃ駄目だよ、姉ちゃん……まだ何とかなるから!」

マコトはケイの顔に触れて、真っ直ぐに目を見つめながら語り掛ける。


「ボクが直すから! 姉ちゃんの怪我を、直してみせるから!」

「お気持ちは嬉しいですが……不可能です。私の制御機構は通常のロボットと決定的に違うのです。たとえ物理的な修復を完璧に行ったとしても……そこに私は存在しないのです。空っぽの、機械人形が残るだけです」

「理屈なんてどうだっていいよッ!」

マコトは思わず絶叫していた。


「死んじゃいやだ、ケイ姉ちゃん!」

「……私はそもそも、生きてはいないのですよ、マコト」

言い聞かせるように、ケイは静かに首を振った。

「私は、五十嵐珪子の未練から生まれた存在です……本当の私は、もう何年も前に死んでしまっているのです。その未練さえも果たされた今……私の役目は終わったのです……悔いはありません」


「や、やめてよ……やめてよ姉ちゃん」

「……これからは、マコトは自分の力で生きて行くのです。それが……」

「嫌だよ、そんなの聞きたくないよ! ボクを、独りにしないでよッ!」

「お姉ちゃんの言うことが、訊けないのですか……!?」

初めてケイから発せられた、咎める様な声。マコトはビクッと身をすくめて黙り込み、それから力無く俯いてしまった。ケイはそんなマコトの姿をしばし見つめていたが、やがて彼の胸元に優しく顔を寄せて言った。


「大丈夫です……私は……ケイお姉ちゃんは……決してマコトを独りにする訳ではありません。夜空の星になって……ずっと、マコトを見守っています……宇宙を見上げて貰えれば……そこに……私がいるのです……」

「こんな雨の中で言っても……説得力ないよ……ッ!」

「……お願い……マコト……私と……約束……」

「……姉ちゃん? 姉ちゃん!?」


ケイの声が、どんどん小さくなっていく。見開かれた瞳から、光が失われていく。今まさに、ケイは消え去ろうとしていた。マコトは姉を繋ぎ止めようと懸命に呼びかけ続け、力が弱まって倒れそうになるその体を、無我夢中で抱き起こそうとする。


その瞬間、度重なる熱と衝撃で疲労していたマコトのカバンが、遂に破けて底部分に穴があいた。カバンの中身がバラバラと地面に落下し、そのひとつがマコトの眼前に転がり出てくる。

それは、あの天球儀型プラネタリウム装置だった。落下の衝撃でスイッチが入ったらしく、そこから全方位を目掛けて光が放たれる。

「あ…………」


ふたりの周囲で、驚くべきことが起きていた。さっきの戦いで生じた大量の水蒸気がスクリーン代わりとなって、屋外にも拘わらずプラネタリウムが投影されている。辺り一面に巨大な星空が生まれていたのだ。

それは、偶然の連鎖が呼んだ奇跡だった。幻想的な光景に、ケイとマコトは目を奪われる。ふたりを、美しい見せかけの星々が祝福する。


「星々の……ミュージカル……です……ね……」

「……そうだね……」

「最後にもう一度……マコトと見られて……幸せ……でした……」

「……ケイ姉ちゃん……」

マコトは共に星空を見上げながら、ケイの肩を抱く手に無意識に力を込め、それからハッキリとこう告げた。


「ボク、約束するよ……自分の力で生きる。姉ちゃんが安心できるように……一生懸命自分で生きてみせるって、約束するからさ……だから」

「…………マコト…………」

「だから……さ」

その先を、マコトは言えなかった。


ケイの機能が、その時点で完全に停止してしまっていたから。

彼女に、マコトの言葉は届いただろうか……きっと、そうに違いない。

何故なら、ケイが最期に浮かべていたのは、心から安堵したような穏やかな表情だったから。幕切れの寸前、大切な弟に気持ちが伝わったのを理解して、幸福の中で逝ったのだろう。

現実を受け入れるまでに、まだ少し時間が必要だった。マコトは最後にもう一度だけケイの頭を抱きすくめると、今度こそ本当に姉に別れを告げ、改めて感謝の言葉を口にした。


「ボクは……キミといて幸せだった。ボクを弟にしてくれてありがとう……。ケイ姉ちゃん……大好きだよ……」

ずぶ濡れで寄り添い合う二人の頭上に、星々の光は輝き続けた。

いつまでも……いつまでも……。


(完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ