2.自己中戦隊ジブンガー
嫌い?いいえ、そんな生温いものじゃない。
嫌い?いいえ、恨みです。
誰にでも小説になる様な人生のひとコマがあるはず。
私にとってはこれが「人生のひとコマ」だ。
事の始まりは、結婚だった。
それでもこの結婚は失敗だとは、今でもこれっぽっちも思ってない。
夫は長男と言うこともあり、義両親の面倒を見なきゃいけないから、義両親との同居を望んでいた。
夫は私の高校時代の元彼だが、高校当時から夫の事をとても気に入っていた私の両親は、「まぁ、上手くやんなさい」と、私を見送り義両親との同居が始まった。
結婚当初は私が夫のお弁当を作り、夫を会社まで車で送り、家の掃除、洗濯等の炊事以外の家事全般をこなしていた。
私が炊事をしないのは、義両親は「鉄板焼き屋」を営んでいたので、味にはうるさかったからだ。
当時はまだ義母も義父も仕事をしていて、アルバイトの私が家事をやるのが妥当だろうと、すすんで家事をしていたわけだが…これが良かったのか、悪かったのか?
夜、夫のお弁当の仕込みをし、朝お弁当を作る。
そんな日々が続いているうちは良かった。
ある日、お弁当を作る為にキッチンへ行くと、珍しく義母がそこに立っていた。
義母は仕事をしていたので、義父にお弁当を作ることは無かったのだが、その日はお弁当を作っていた。
台所に女2人はいらない。
そんな言葉がある様に、2人でお弁当を作るには台所は狭い。
夫のお弁当は、義母がお弁当を作り終わるのを待って、後で届ければ良いと思い、私は夫を仕事に送った。
家に帰ると、義母が私に言う。
「息子のお弁当も私が一緒に作る方が良いから、あなたは作らなくていいよ。台所に2人は狭いしね。」
この家の家長は義母だ。
私には反論の余地などない。
私は素直に
「分かりました、お願いします。」
と、言って自室に戻った。
それから義母は毎朝台所に立ち、私は洗濯をする事にした。
夫を送り洗濯物を干す。
昼間義母のいない内に掃除を済ませ、私も仕事に行って、夫を迎えに行く。
そして、義母の作った夕飯を食べ、洗い物を私がする。
そんな毎日がしばらく続き、ある日の夕飯のあと、また義母が私に言う。
「そんなに急いで洗い物されたら私がゆっくり食べられないから洗い物はしなくていいから。」
今考えれば、お弁当も洗い物も私から取り上げたのは「嫁いびり」の一環だったのだ。
ある時、義姉が家に来た。
私は、挨拶だけして自室に戻った。
実の娘の方が話もしやすい事もあるだろう。
そう思ったからだ。
そんな義姉と義母の会話は、いつの間にか「お弁当」の話になった。
義母は
「お弁当に冷凍食品使うなんて栄養もそうだけど、美味しくないじゃない。手抜きしないでちゃんと作らないと。」
と、私に聞こえるように言い出した。
確かに私は冷凍食品を使っていたが、昨今、冷凍食品の質は上がり、時短だけではなく見た目や栄養面でも優れている物も多いんだよ、と教えてくれたのは義姉だ。
だから義姉は
「何言ってるの?冷凍食品の方が栄養も見た目も効率も良いんだよ?全部手作りはただの自己満足だよ。」
と、反論していた。
それが気に入らなかったのか、義母は
「そうかも知れないけど、冷凍食品ばっかり入れてるんだよ?あの子は。」
あの子…多分私の事だ。
ばっかりって言う程冷凍食品に頼ってはいない。
コスパを考えて冷凍食品の方が安かったり、手間のかかるもの位しか入れてない。
それ以外はちゃんと仕込みしてただろうがよ。
と、思ったが、私は余計な事は言わない主義だ。
言いたい奴には言わせておくに限る。
なんて思っていると義姉が言う。
「冷凍食品使うのが気に入らないから、嫁ちゃんからお弁当作りを取り上げたの?」
「取り上げた?サボって作らなくなったから私が変わりに作ってるのよ。」
義母はしれっと嘘を付いた。
は?コイツ何言ってんだ?
私が何も言わないとたかを括ってるんだろう。
まぁ、それでも私は何も言うつもりはない。
話をややこしくするのはめんどくせぇし、これからも付き合っていかなきゃいけないから、こじれるのはもっとめんどくせぇからだ。
義姉の返答は
「嫁ちゃんがそんなサボる子じゃないから、お母さんが取り上げたんでしょ?しれっと嘘つかないでよ。私だって冷凍食品使ってるし、そもそも自分が冷凍食品は手抜きって勝手に思ってるだけでしょ?」
実の娘が言う程だ。
義母はしれっと嘘をつく人なんだな。
「だって手抜きには違いないじゃない!」
義母は義姉に怒鳴った。
「あー、はいはい。図星言われて逆ギレしないでよ。」
と、義姉は笑っていた。
なるほど、義母はなかなかクセがありそうだ。
「自分が正義」の人で、それを突き通す人。
少しでも自分に不都合があると、平気で嘘をつく。
自己中心で、自分の中で「自分が」一番大事な人。
要するにめんどくせぇ人だ。
私はこう言う人種を「自己中戦隊ジブンガー」と呼んでいる。
こう言う人とは基本関わらないが、義母は義母だ。
付き合い方を考えなければいけない、と思った出来事だった。




