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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
28/28

28.悪意がないのが一番タチが悪い

 私の実母は、自他共に認める「お人好し」だ。

 困ってる人には手を差し伸べる。

 しかし、見返りを求めているわけではなく、「明日は我が身」の精神。

 もしかしたら、明日自分がそうなるかも知れない。

 だから世話を焼く。

 だからと言って、自分が困っていても他人に助けを求める事はしない。

 「誰かに迷惑かけられない」と言う。

 要するに、ただの自己満足のお節介なわけだ。

 そんな実母は「雨ニモマケズ」が大好きだ。

 私たち三姉妹はそんな母に育てられたので、お陰様で「お人好し」の部類に属している。

 横断歩道で縁石に乗り上げたシルバーカーが引っかかって動けないおばあ様を見れば、反対側でも助けに行ったり、酔っぱらいに絡まれて困っている高校生がいたら放っておけなかったり、車のバッテリーがあがって困っている人がいれば、すぐにブーズターケーブルを取り出して充電してあげたり…んで、夫にいつも叱られている。

 「それでお前が危ない目にあったらどうすんだよ。」って。

 まぁ、とりあえず今まで危ない目にあってないので、オールオッケーって事で。


 話、戻しますね。


 実母も私も妹たちも、そんな環境だったので、見返りなんて求めてない。

 見返り?ナニソレ?オイシイノ?

 「助けてあげられて良かった」と、思える事が最大のご褒美。

 まぁ、ただの自己満足。


 変わって、義母の場合。

 他人からの好意と言うものに対して、全てお金で解決する人。

 何かしてもらったら、お金で返す。

 何かを買って返す。

 行動で示すことはしない。

 だから、「他人からの好意はお金がかかるからうっとおしい」と言う。

 してもらったから、してあげる、と言う考えはない。

 そもそも、「好意に甘える」のは言語道断。

 「マウント」取られたと思うからだ。

 実にめんどくさい。


 ある時、こんな事を言われた。

 「あなたのお母さんはお人好しよね。」

 私は反論できないので

 「そうですね。人の世話を焼くのが生きがいみたいな所あるんですよね。」

 と、答える。

 義母は

 「そうなのね。」

 と、少しくすっと笑うと

 「そんなお金にもならないことを良くやるわね。」

 悪びれる事もなく言う。

 は?コイツ何言ってんの?とは、思ったが、こう言う人だ。

 知ってた知ってた。と、私は自分をなだめた。

 そして私はこう答える。

 「それが生きがいなんで、良いんですよ。」

 多分私の顔は引き攣っていたと思う。

 「そうなのね。まぁ、あなたのお母さんがそれで良いって言うなら良いけど、私はお金ないからね。」

 は?コイツ何言ってんの?再び。

 「母は、見返りとか考えてないし、困ってる人がいたら助けるのが人情って人なので、お義母さんにお金があるない関係ないんですよ。」

 と、言うと義母のスゴイ一言が飛び出した。


 「あなたのお母さんのそういう所、恩着せがましいのよね。」


 はあぁぁぁ?コイツ何言ってんの?

 じゃ、出てけよ!今すぐ出てけよ!

 怒りを鎮めるのに精一杯な私は、大きく深呼吸して

 「うちの母の事は置いといて、夕飯何食べたいですか?」

 と、話をそらした。


 一連の会話で分かるように、義母には「好意」は返すもの、と言う意識はあるが、返し方が私たちとは違う。

 「好意」には「好意」で返せば良い。

 多分、「返し方」が分からないから「お金(物)で返す」という発想になってしまうのだ。

 母からしたら、自分の義母への好意は、私への好意として返してくれれば良い、と言う気持ちでしかない。

 ただ、それだけなのに…なぜお金になるんだ。

 「鬱陶しい」のくだりでもそうだが、ホント、このババァは簡単に私の逆鱗に触れてくる。

 もうホント私がおかしいのか、義母がおかしいのか良く分からなくなっていた。

 確かなことは、あの一連の会話は、義母に明確な悪意はないという事だけだ。

 しかし悪意がないから良いと言う訳じゃない。

 「これを言ったら相手は怒るかも」とか「傷付くかも」とか、相手への気遣いがないのは確かだ。

 かと言って、他人がそれを注意、指摘しても何故それを注意されたか理解できない。

 だって悪意がないから。

 そう、悪意はない。

 でも、「敵意」は感じるのだ。

 悪意がないのは一番タチが悪い。

 

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