26.もう常識が分からない
常識とは、18歳までに身に着けた偏見のコレクションだ。
と、言っていたアインシュタインは、全世界が認める天才だが、少し変わった性格だった。
しかし、「常識」が人によって違う事を理解し「偏見のコレクション」と言っているという事は、自分が他人とは少し「変わってる」事を理解していたんだろうな、と思ってる。
私は朝一杯のドリップコーヒーを飲む。
眠気を飛ばす為だ。
冬でも夏でも変わらずに朝はホットコーヒー。
それが私のルーティン。
冬も本番を迎えて、冷え込みが厳しくなると、義母も朝はホットコーヒーを飲むようになっていた。
うちでは、緑茶とほうじ茶のティーバックと、ドリップコーヒーを常備している。
当然だが、いつも残りを確認して、買い足して、補充するわけだが、ある朝。
私がコーヒーを飲もうと台所へ行くと義母がコーヒーカップを持って台所をうろうろしていた。
「お義母さん、どうかしました?」
と、私が声をかけると義母は
「コーヒーがないの。」
と、言った。
おかしいな…昨日の朝の時点ではまだ5袋あったはずなんだけどな。
と、思ったが
「じゃ、予備出しますね。」
と言ってハッとした。
「あ、今日買い物する予定だったので、予備なかったんでした。」
と、答える私に
「じゃ、早目に買ってきて。」
という義母にちょっと「イラっ」として
「買ってきますけど、1つもなくなる前に言って貰えますか?コーヒー飲むのはお義母さんだけじゃないですから。」
と、言う。
すると義母は
「私もコーヒーだけじゃなくて、ほうじ茶とか飲んでるから。」
「???????」
私の脳内にクエスチョンマークが飛びまくった。
はい?それは何に対しての答え?
と、思っていると、静観していた夫が口を開く。
「コーヒー以外も飲んでるとか関係ねぇんだよ。どれも買わないと「なくなる」んだから、少なくなったら言えって言ってんの。別に最後の1つを飲むのが悪いんじゃなくて、少なくなってなくなるから買ってきてって言って欲しいんだよ。分かる?」
あー、なるほど。
「コーヒー以外も飲んでるから、最後の1つだって気付かなかっただけで、私は悪くない」って事か。
めんどくせ。
それでも義母は
「だから、コーヒー以外も飲んでるから最後の1つだとか分からなかったのよ。」
と、言い訳を繰り返す。
「別に飲んじゃダメとか、最後の1つに気付かなかった事を責めてるわけじゃないんですよ。次に飲む人が気持ちよく飲むために「少ないから買ってきて」って言って欲しいだけなんですよ。お義母さん一人で暮らしてるわけじゃないんですから。」
と、私が言うと、義母は不満そうに
「うん、そうね。」
と言いながらそそくさと部屋に戻っていく。
私は1つため息をつくと、夫が
「朝から鬱陶しいんだよ、あのババァ。」
と小声で言う。
ホントよ。
一緒に暮らしてる上で、最低限のモラルはある。
それは常識ではなく「モラル」だ。
コーヒー以外のものを飲んでるから何なんだ?
コーヒーないのは私のせいじゃないって事?
コーヒーがない事実は変わらないのに、あの言い分の意味がわからない。
ないならないで、そこを責めているわけじゃない。
そもそも「言い訳」するのも理解不能。
次に使う人が気持ちよくって言う私の感覚がおかしいのか?
これはモラルだよね?
常識ではないのは分かってる。
常識?常識なのか?
そもそも常識ってなに?
長男は親の面倒を見ないといけないってのも常識って言うけど、常識ってただの偏見コレクションだよね?
あーダメだ。
義母と生活してると、こっちがおかしくなりそうだ。
もう常識が分からない。




