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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
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24.平日ムーブ

 私を無力化したいなら「鬱陶(うっとう)しい」と言う一言で十分だ。

 義母は私への罵りの言葉がこれだったからだ。

 毎日毎日、ボソっと、時には聞こえるようにわざと、鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい。

 そう言われ続けていたので、私を無力化したいなら、その一言で十分なのだ。

 「うるさい」や「面倒くさい」は、何を煩わしく思ってるのかが明白。

 しかし、「鬱陶しい」は存在そのものの否定。

 「鬱陶しい」って言葉を直接本人に伝える事はしないでしょう?


 暖房を使う季節になると、うちは洗濯物は部屋干しに変わる。

 これは、てっ君がいた頃からの恒例。

 実母を含め、私たち三姉妹は寒がりだ。

 実父はそうでもないが。

 だから、こたつを始め、暖房器具を使い始めるのは早い。

 エアコンの暖房を使うと、部屋が乾燥するせいか、てっ君のお毛が静電気でバチバチになる。

 バチバチ起こる静電気が大嫌いだったてっ君は、乾燥して静電気が起こる季節になるといつも不機嫌だ。 

 加湿器を使う手もあったが、てっ君にひっくり返される可能性が否めない。

 なので暖房を使う時は洗濯物は部屋干しになる。

 部屋干しでサーキュレーターを使えば、寒い外に干すより早く乾くし、部屋も湿気のお陰で暖かくなる。

 湿度が上がって、静電気も起きにくくなり、てっ君もご機嫌。

 一石三鳥だ。

 だから、うちは暖房を使う季節はいつも部屋干ししている。

 義母がうちに来たのは10月の半ば。

 その頃には暖房を使う事も増えた為、洗濯物は部屋干しが増えていた。

 もちろん、天気が良く暖房を使う必要のない日は、二階のベランダに干していた。

 部屋干しの時は、義母にリハビリさせるのだが、ベランダに干す時は義母に「今日はベランダに干しますから」と言って手伝いという名のリハビリは丁重にお断りしていた。

 階段を使わせるのは面倒だし、何かあってからでは遅いからね。


 朝に旦那を仕事に送り出し、次は洗濯機を回す。

 その間に布団をあげ、掃除機をかける。

 そして、その日に合わせて洗濯物を干し、夕飯の仕込みをする。

 朝に出た食器を洗い、夕飯に足りないものを歩いて買い出しに行く。

 たまに実母から電話が来て一緒に買い物に行くこともあった。

 そうすると大体お昼になるので、お昼を食べて午後は4時半までゆっくりゲームかお昼寝。

 これが私の平日ムーブだ。

 義母が来てからも変わらない私のルーティン。


 とある11月の寒い日に、私が洗濯物を部屋に干していた。

 義母が珍しく部屋から出てきて洗濯物を干す手伝いをしてくれていた。

 一緒に干している時、義母は私の家庭の事情を聞いてくる。

 「おじいさんとおばあさんは何の仕事してたの?」とか「ご両親は何の仕事をしてたの?」とか「お母さんはどんな家庭の子供なの?」とか「おじいさんのご実家は地主さんか何かなの?」とか。

 はっきり言って、それあなたに関係ある?聞く必要ある?とは思ってた。

 祖父母の事は私にも知らない事もあるから、知ってることだけ答えていたが、多分もっとのらりくらり躱すべきだったと、今は後悔している。

 その日聞かれたのは、祖父母の事だった。

 「おばあさんは華道の先生だったのよね?その前は何をしていたの?」

 義母はおしゃべりをしていると手を動かさない。

 私は手を動かしながら

 「小学校の先生やってましたよ。定年までにこの地域の小学校は全部回ったって言ってましたね。」

 と、答える。

 「定年までだと、たくさんの生徒さんがいたんでしょうね?」

 と、義母。

 そんな事よりさっさとその手に持ってるタオルを干してくれませんかね?と思いつつ私は答える。

 「そうですね。教え子さんが多すぎて、私が近所の農協に努めている時は大変でしたよ。」

 「あら?どうして?」

 義母は興味深々。

 「窓口に立ってると知らない人にしょっちゅう声かけられるんですよ。「〇〇先生のお孫さん?」って。こっちは「アンタ誰?」状態だけど、客商売なので無下にはできないし、かと言ってそのお客様と長話も、他のお客様のご迷惑になるので、どれだけ失礼なく話を早く切り上げるか考えるのが大変でした。」

 私は洗濯物をぱんぱんしながらそう答えると、義母は

 「窓口で長話されるのは迷惑よね。私も銀行とかでそう言うお客見るといつも邪魔だなって思ってるわ。」

 と、鼻息を荒くする。

 何か論点と言うか趣旨がズレた気がするけど、まぁいいや。

 「はい、なので、農協を辞めた後は、祖母が赴任したことのない別の地域に就職したんですよ。」

 苦笑しながら言う私に義母が言い放つ。

 「お祖母さんに知り合い多いのも苦労するわね。自分の知り合いだけでも面倒なのに。」

 それはお前の中では、な!

 この人は本当に他人に興味もなければ敵対視しかしないんだな、と思いながら

 「知らない人に声かけられるのはどう接して良いのか分からないのはありますね〜。」

 と、可もなく不可もなく答えると、義母は

 「嫁のお母さんも、周りに気ばっかり使ってそんなに良い人と思われたいのかしら?」

 と、言う。

 ん?ん?ん?

 コイツ、何言ってんだ?

 「うちの母は誰かに良く思われたいなんて思ってないですよ。ただお節介が好きなだけなんで。」

 と、笑って言うと

 「お節介が好きなんて…自分に利益にならない人に恩を売るようなことする人いないわよ。そう言う人には裏があるのよ。ホント鬱陶しい。」

 は?コイツ何言ってんの?

 鬱陶しいのはお前だよ。

 お前がそうやって屋根のある所で寝てられるのは誰のお陰だと思ってるんだ。

 お前が今生活できてるのは誰のお陰だと思ってるんだ。

 鬱陶しいと思うなら出ていけよ。

 人には言って良い言葉と悪い言葉があるんだよ。


 この言葉をきっかけに私は義母への不満をつのらせて行く事になる。

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