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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
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23.はい、論破

 私は学生の頃、図書館が好きだった。

 本を読むのが好きで、色んな物を読んだ。

 その中には「聖書」を始め、「ラーマーヤナ」とか「コーラン」とか。

 「マハーバーラタ」も読んだかな。

 別に宗教がどうとかこうとかで読んでいたんじゃなく、物語として読んでいただけで、スピリチュアルや宗教、そんな難しい事は良く分からない。

 ただ、「神様を信じるか?」と問われると、私の答えは「NO」だ。

 だからと言って、他人の信仰心をどうこう言うつもりはない。

 「NO」と言う答えを押し付けるのはナンセンス。

 信じたい物を信じれば良いと思う。

 ただし、「信じろ」と強要してくる場合は別。

 宗教勧誘なんてまさにそれ。


 私は目に見えない神様にすがるより、自分の問題は自分で何とかしたいと思ってる。

 でも、「神様に祈る」のは無意味ではないと思う。

 「祈り」は心を整える物だ。

 祈りは心を落ち着けて、今の問題に対して冷静に答えを導ける脳内にしてくれるんだと思う。

 多分それが「降りてくる」ってヤツだと勝手に思ってる。

 だから私は「神様」ではなく「人の心(思い)」を信じてる。

 奇跡だったり、引き寄せだったり、そう言った「科学では証明出来ない何か」は人の思いの強さだ、と言う説を信じてる。

 だって「応援」は、1人1人の「頑張れ」って思いの集合体で、目に見えないけど届くじゃない?


 まあ、そんな事は置いておいて。


 ある時、チャイムが鳴って玄関を開けると、宗教の勧誘だった。

 「聖書の話をさせて下さい。」

 最近では「神様を信じますか?」ではなく、こうやって「聖書」をダシにやって来る。

 私は玄関の中には入れずに、玄関を開けっ放しで

 「聖書なら読んだよ。」

 と、答えた。

 これは、論破するためのゴングだ。

 面倒くさい時は「迷惑だから帰れ」と言う。

 勧誘者は嬉しそうに

 「そうなんですか?神様は私たちに奇跡を起こして下さいます。今日、あなたに出会えたのも神様のお導きです。」

 と、言って来た。

 聖書読む=神様を信じてるじゃねぇんだわ。

 「いや、神様を信じてるから聖書を読んだわけじゃないよ。」 

 私は溜め息交じりに言うと、義母の部屋の扉が開いた。

 また盗み聞きしてんな、と思った私は玄関の外に出て玄関を閉めた。

 「では、聖書を読まれてるのは何故ですか?」

 と、聞いてきたので

 「何でって?誰が何を読もうと人の勝手じゃない?逆にあなた達はなんで聖書読んだの?」

 と、質問を質問で返す。

 勧誘者は

 「うちでは聖書の教えを正しく導くために日々聖書を読んで勉強しています。」

 と言う答えに対して

 「残念ながら、私はあなたたちの様に「うちに入ったなら聖書勉強しろ」って言われて読んだわけじゃないよ。私が興味あるのは文字の羅列だから。」

 私は淡々と答える。

 さあ、次はどう来る?

 「文字の羅列…?それはどう言う?」

 勧誘者は少し驚きながら言う。

 文字の羅列なんていう返答が来ると思ってなかったんだろうね。

 私は

 「だから、そのまま。私は文系の大学だったし、日本語に興味があるの。聖書ってもともとヘブライ語でしょ?私たちの読んでる聖書って日本語に翻訳されてるじゃん。翻訳者によって解釈や言葉の言い回しが違ったりする。それって面白いじゃん?」

 と、畳み掛けると

 「それでも、聖書を読んだのであれば、神様のスゴさがお分かりになったのでは?私たちは神様がお作りになられたと聖書でも言ってますから。」

 と、なかなかの返しをする勧誘者。

 ほう、そう来たか。

 「さっきも言ったけど、「物語」としては面白いと思うけど、あくまで創作。あなたは神様は信じてる、それは良い。でも私は科学的根拠のない神様に興味ない。あなたの「好き」を私に押し付けるのは、今のSNSで炎上する要因がそれなんだよ。「バベルの塔」、分かるよね?あれは、神様の怒りを買って言語が通じなくなったっていってるけど、現実的に考えれば、国が違えば文化や価値観が違うから言葉が違うの当たり前。あんな大きな物を建設するんだから、労働力が必要。その為に集められた外国人たち。多言語や価値観を分かり合おうとしなかった、だから分かり合えなくて塔建設は頓挫した。私はそう解釈したの。」

 と、言う私に対して勧誘者はめげずに

 「違いますよ?もともと人間は一つの人種だったんです。だから言葉も通じたのですが、神様の怒りを買ったのです。」

 と返してくる。

 私は「神様」を信じる人を否定はしない。

 それは個人の自由だし、その考えを押し付けて来ないならどうでもいい。

 でも、「宗教勧誘」は別だ。

 前提にこうやって「神様を信じろ」から始まって、「信じる」と言う価値観を押し付けてくる。

 「うん、その「もともと一つの人種だった」って言う歴史的もしくは科学的根拠は?それが価値観の違いなんだよ?あなたは神様を信じる、私は歴史的・科学的根拠を信じてる。その価値観の違いをあなたは認めようとしないから、永遠に平行線で交わらないの。「バベルの塔」の物語と一緒。少なくとも私はあなたが神様を信じる価値観を認めた上で、それでも私は非科学的な物を信じられないって話をしてるの。」

 こうやって私は神様を信じないと言う個人的価値観を、勧誘者に分かってもらう為に、理論的な話をする。

 勧誘者は、ぐうの音がでなくなった様なので

 「あなたたちに「忙しいから」とか「興味ない」で帰しても、また来るでしょ?価値観を押し付けるのはうっとうしいし、押し付けられるのは面倒くさいの。私の考えや価値観を理解して、それでも説得するなら好きにすれば良い。でも、あなたが言うのは根拠もない感情論で私の意見なんて取り付く島もないじゃん。生産性がなさすぎる。」

 と、畳み掛ける。

 要するに二度と来てほしくないから「論破」したいだけ。その為の知識をつけてるだけ。

 論破するには知識が必要だ。

 だから聖書を読んでいるだけだ。

 「こう言う勧誘のプレゼンは、ほとんどが感情論。理論的な話ができないなら、二度と来ないでもろてよろしいか?」

 こう言えば二度と来ることはない。

 お陰様でここ数年、うちの近所で宗教勧誘をよく見かけるが、うちに来る猛者はいない。

 ちょっとつまらないまである。

 

 そして、その後から義母が突然「聖書」の話をする事が増えた。

 夕飯の時、義母は誇らしげに

 「友達から聖書貰ったのよ。今読んでるんだけどね。」

 と言ってくる。

 ああ、パソコンで通話してる例のあの人か。

 「そうなんですか、よかったですね。」

 私は話を終わらせようとする。

 変な勧誘に引っかかってない?大丈夫そ?

 「あら?あなたは聖書好きなんじゃないの?」

 義母は私に問う。

 私は

 「物語としては好きなので、旧約聖書は好きですよ。でも新約聖書はそこまで興味ありません。新約聖書って、キリストさんの武勇伝じゃないですか。」

 と、しれっと答えると、反論できなくなった義母。

 「…嫁は神様信じてるんじゃないの?神様は信じてないと救ってくれないわよ?人なんてちっぽけで、人を導いてくれるのは神様なの。そんな神様の事が書かれてる聖書は凄いのよ。どこそこの何章にこんな事が書かれてて(以下略)」 

 うわぁ…めんどくさー。

 と、思って返答を探しあぐねていると

 「は?お前何言ってんの?」

 と、夫が口を挟む。

 夫は夫で、「あなたは今幸せですか?幸せになる方法があります」と言った宗教勧誘に対して、「じゃ、あなたは、文句言われるであろう勧誘させられてて今幸せなの?」と聞き返し、相手が黙ると「あなたが幸せになってから出直してこい」と、追い返す猛者だ。

 そんな夫が呆れ顔で言う。

 「嫁は、うっとうしい宗教勧誘を論破する為に知識として読んでんの。知識がなきゃ論破出来ねぇだろ?お前と違って「神様はすげぇ、聖書はすげぇ」で読んでる訳じゃねぇから、知識で言ったら嫁の方が持ってんだよ。」

 ああ、なるほど?

 要するに「聖書」の知識でマウント取りに来たわけね。

 どこぞの宗教勧誘よりめんどくさい。

 「お義母さんが神様を信じるのは良いと思います。否定しません。でも私は神様より科学を信じてます。科学と宗教は相慣れません。科学とキリスト教の血みどろの歴史の話でもしますか?そもそも聖書だって、神様が直接書いた物じゃなくて、使徒って言う人間が書いたものじゃないですか。」

 はい、論破。


 他人を敵視している義母が信じるのは神様。

 神様は人間を作った偉大な方だから、人間の自分は敵わない。

 だから神様にマウント取られたとは思わないわけね。

 でも、私は人間の心を信じてる。

 全ての人ではなく、私の周りを囲む私が優しくしたい人を信じてる。

 そりゃ、誰も周りにいない義母からしたら、私と話が合うはずもない。

 これも義母の取り扱い説明書に追加しておこう。

 それから義母は、聖書の話をしなくなった。


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