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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
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22.取扱説明書

 私も私で面倒くさい人間だけど、義母もなかなか取り扱い説明書が必要な性格をしている。

 義母を褒めて持ち上げても、機嫌が悪くなる時はなるし、義母に嫌味や遠回しにけなしても、機嫌が良くなる時もある。

 要するに良く分からないのだ。

 義母の気分が乗って、家事の手伝いと言う名のリハビリをやっている時、義母は私と話をする。

 友達の話や両親の話、祖父母の話など、聞かれれば答えていた。

 何度も言うが、私から話かける事はしないが、話しかけられれば話はする。

 無視は良くない。

 だから私の家庭環境を聞かれればちゃんと答えていた。

  

 12月になると、義母が急に「Wi-Fi繋いで欲しい」と言い出した。

 何でも、ノートパソコンで猫の動画を見たいのと、アプリで友達と通話したいからだと言っていた。

 止めはしないけど、友達いたんだ!って思ったのは内緒。

 夫が義母のパソコンをWi-Fiに繋いだけど、これがまた厄介なことになった。


 それから義母はまたリハビリをサボるようになった。

 私が家事をやっている時間帯、義姉と電話をしていた時間帯。

 義姉と夫に怒られてから電話していなかったが、パソコンで通話していることが増えた。

 別に私が困ることはないから、私の許可なんていらないのに、前日の夜に

 「明日の朝、友達と通話するから家事やらなくていい?」

 と、聞いてくるようになった。

 まぁ、お好きにどうぞなんだけど。

 「良いですよ」と、答える。

 そして、次の日の午前中はずっと通話をしてるんだけど…ある時の通話の時。


 私はいつもと同じ時間に掃除機をかけていた。

 義母は友達と通話しているのだろう。

 襖越しに声が漏れていた。

 私は掃除機の音が会話の邪魔になるのも申し訳ないと思って、義母の部屋の近くは掃除機をかけずにモップ掛けしていた。

 「そうなのよ、うちの嫁は言えば何でもやってくれるから助かってるのよ。」

 と、義母の声が漏れる。

 「あら、羨ましい。うちの嫁は言っても全然やってくれないし、やり方雑だから。」

 パソコンのスピーカーからそんな声が聞こえてきた。

 「うちの嫁は、料理も私の体調気遣って作ってくれるのよ。」

 義母はそう言う。

 まぁ、喜んで頂いているなら何よりです。

 と思いながら掃除を続けていた。

 義母は意気揚々と

 「なかなか立派な家庭の子でね、嫁の祖父の実家は…(以下略)」

 と、私の家庭の事情を話し出す。

 脳内変換と言うスパイスを加えて。

 誇張すんなし。

 そもそも人のプライベートをペラペラ喋ってんじゃねぇよ。

 でもまぁ…幼い子供が、自分が凄い訳じゃないのに「この人すげぇんだよ!」って友達に自慢する、「凄い人と知り合いで俺すげぇ!」ってのと同じで草不可避だった。


 その後どんな会話があったか知らないが、義母が部屋から出てきて私に急にこんな事言い出した。

 「あの人すぐにマウント取ろうとしてくるから面倒くさいのよね。」

 …ん?友達の悪口?

 と、思った私は

 「あんまり、そう言うネガティブな事言わない方が良いですよ?相手はそんなつもりはないかも知れないじゃないですか。」

 と、言うと義母は

 「そうかしら?絶対マウント取ってるのよ。お嫁さんが何もしない、家事が雑って文句言ってたのよ?なのに、お嫁さんが誕生日にヘッドホン買ってくれたらしくて、それをすごい自慢してくるのよ。」

 不機嫌そうにそう言ってるけど…それは「私にもヘッドホン買え」って言いたいのか?

 「私にもへそくりあるので、ヘッドホンプレゼントしましょうか?」

 と、私がそう言うと

 「いらないいらない!そんなもの!耳が痛くなるじゃない!そうじゃなくて。」

 義母は本気でいらない時は「いらない」を二度言う。

 だから本気でいらないんだろう。

 そうじゃなくてなんだろうと、続きを待っていると

 「お嫁さんの悪口を言ってたのに、急にお嫁さんの良いところ言い出して、都合良すぎって思わない?」

 …ちょっと意味が良く分からないので、口に出しながら脳内を整理する。

 「えっと、話の前後が良くわからないんですけど、その人は悪口が出ちゃうくらいお嫁さんの気に入らない所はあるけど、ヘッドホン買ってくれて気遣われてるって事は理解してるし関係性は悪くないって意味なんじゃないんですか?」

 相手はそう言いたかったんだと思った。

 それを聞いた義母は

 「じゃ、あの人は私に嘘ついたってことね!」

 は?コイツ何言ってんの?

 待て待て、何でそうなるのよ。

 私がチラ聞きした内容から察すると、相手は義母の話に合わせたんだろう。

 自分のお嫁さんを下げることで、義母を「良いお嫁さんもらったわね」ってあげたんだと思う。

 「どんな話をしていたか分かりませんけど、お嫁さんへの愚痴は嘘じゃないし、ヘッドホン買ってくれるくらい良い距離感のある関係性っていうのも嘘じゃないと思いますよ。どっちもホントなんですよ。お義母さんにもないですか?この人はいい人で好きだけど、こう言う所は嫌い、みたいな。」

 人間関係で「この人は100%好き」なんてあり得ないじゃん?

 それを切り裂くように義母は

 「私はそんな事思ったことないわ。面倒くさい人ね。」

 と、言いながら部屋に戻って行った。

 いや、面倒くさいのはアンタだよ。と、思いながら苦笑いする。

 結局どう答えれば正解だったのか分からないが、「自分が思ってもない事を言われるのは面倒くさい」と言う事を、義母の取扱説明書に追加することにした。

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