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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
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10.この恨みはらさでおくべきか

 ネットで気に入った子猫を見つけて、ボランティアでその子猫の譲渡活動に参加しているお宅に行った。

 もちろん、まだ飼うかどうかは決めてはいなかった。

 気に入った子猫はもうお家が決まっていたが、そこで預かっている子猫はあと2匹いた。

 サビ猫と黒猫の子猫はまだお家が決まってないそうで、できればこの子達も見て欲しいと言われた。

 しかし、その二匹の子猫は

 「ずっと一緒にいるので、できれば一緒に飼ってくれる人を探してる。」

 との事で、

 夫は

 「さすがに二匹引き取るのは無理だな。」

 と、言うと義母は

 「大丈夫よ。二匹一緒に飼ってた事あるんだから。」

 と、言う。

 ちょっと待って、何でもう飼う前提?

 今の立場分かって言ってる?と、私は嘲笑。

 義母からしたら、こちらのお宅に伺った時点で絶対にお持ち帰りする気だったんだと思う。

 「いや、二匹ともお前が面倒みるんだぞ?」

 と、言うと、ボランティアの人が

 「えっと、息子さんとご一緒に生活されてるわけではないんですか?息子さんとご一緒に生活されてないのなら、猫をお渡しする事はできません。万が一、猫の方が長生きした場合…(以下略)。」

 ごもっともなご意見です。

 猫様を引き取ると言う事は、最期を看取る覚悟をする事だ。

 うちのお猫様(てっ君)を実家から引き取った話をした時、実母に対して「最期まで面倒見られないなんて無責任」とまで言っていたんだ。

 そのつもりはあるだろう。と、思ったのも束の間。

 義母は意気揚々と

 「あ、一緒に暮らしてませんが大丈夫です。私たちに何かあったら、息子夫婦が引き取ってくれるので。息子夫婦は一軒家に住んでますから。」

 は?コイツ何言ってんの?

 大丈夫な訳なくない?

 うちには「てっ君」がいるんだけど?

 一軒家に住んでるってアンタが胸張って言う事?

 そもそも何でこっちの許可求めないわけ?

 「あの!」

 と、私が口を挟もうとした瞬間

 「引き取る先があるなら大丈夫ですね!」

 と、ボランティアの人がいう。

 いやいやいや!アンタも何言ってんの?!

 と、私と夫が呆れている間にボランティアの人は

 「じゃ、手続きしますので書類持ってきますね。」

 と、席を立ってしまった。

 「お前…何考えてんの?俺達引き取るなんて一言も言ってねぇぞ!」

 と、夫が言うと義母は

 「もう引き取るって言っちゃったんだからしょうがないじゃない。今から辞めるなんて言ったらみっともないじゃない。」

 は?ちょっと意味が分からない。

 私はもう呆れてものが言えない。

 何がどうしてそうなるんだ?

 「もう…ちゃんと最期まで面倒みろよ。俺達にはてっ君がいるんだから引き取らねぇからな。」

 夫が呆れながら言うと

 「あら、大丈夫よ。私たちが何かあるにしてももっと先だし、その頃までその子が生きてるかどうかわからないでしょ?」

 は?コイツ…マジで何言ってんの?

 怒りで震えるってこういう事なんだろう。

 でも、他人の家で声を荒げるわけにもいかない。

 義母の頭の中は「猫と一緒に暮らしたい」しかないのだ。

 でも、このババァがてっ君をないがしろにしてもいい理由にはならない。

 この恨み、はらさでおくべきか。

 私はこの時、はっきりと「恨み」を認識した。


 家に帰って来ると、てっ君は不機嫌だった。

 いつもの事だが、甘えん坊で寂しん坊のてっ君は、私たちが出かけるのが大嫌いなのだ。

 私はてっ君をぎゅっと抱きしめて、猫吸い。

 「あぁ、てっ君。私は決めたよ…お義母さんには絶対てっ君を触らせないからね!てっ君をないがしろにした事、私は絶対ゆるさないんだから!」

 と、言うと、てっ君は「は?コイツ何言ってんの?」って顔して尻尾をバンバン床に叩きつけた。

 もしかしたら、てっ君はこの時の私のこのセリフを覚えていてくれたのかも知れない。


 結局、二匹の子猫を引き取った義両親。

 義母も少し子猫たちの面倒を見ていた様だが、ご飯をあげるだけで、それ以外は義父が面倒を見ていた。

 猫は聡い。

 誰が熱心に自分のお世話をしてくれるのか、良く分かってる。

 ここまで言えばお分かり頂けるだろうが、義父にはすぐ懐いたが、義母には…まぁお察し下さい。

 

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