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は?コイツ何言ってんの?〜自己中戦隊ジブンガーの実態〜  作者: NAO
第2章 誰にでも心には冬が棲んでいる
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9.何様なんだ?

 義母の堕落生活は留まるところを知らなかった。

 あーだこーだと言い訳をして、義父にすべてを押し付けて、相変わらず、週に一度の「買い物タクシー」も続いている。

 義父は仕事をしながら、義母の面倒をみる生活をしていたが、義母のワガママは加速していった。

 普段の家事を全くやらず、リハビリさえやらずにいたから、後遺症も良くなるはずもなく、挙げ句の果には、昼間一人だと何もできなくて不安だ、と言い出した。


 夫と義父は同じ会社だったので、義父は義母に呼ばれて早退することが多くなっていった(らしい)。

 自分は今何もできないから、また脳梗塞になったらどうしよう、誰かに見つけてもらえなかったらどうしよう、と不安だった様だ。

 まぁ、その不安は分からんでもない。

 しかし、リハビリをやらないから今だに1人では何もできないのでなかろうか。

 リハビリして、少しでも動けるようになれば、その不安も取り除けるのではなかろうか。

 義母はジブンガーで自分が一番大事だから、不自由になったら誰かが助けてくれるのが当たり前だと思っているのだろう。


 ある時の買い物タクシー。

 買い物タクシーの時の夫はいつも不機嫌だ。

 夫的には「追い出したくせに、せっかくの休みの日に何でこき使われなきゃならねぇんだよ」らしい。

 ま、分かるけど。

 逆に義母はいつもご機嫌。

 それも夫には気に入らないのだ。

 他愛もない話の中に、ちょいちょいぶち込まれる「私は調子が悪いアピール」に嫌気がささない方がおかしい。

 「私は足が悪いから、こうやって車を出してもらわないと買い物にも行けなくて困るわ。」

 と、義母が足が悪いアピールした時だった。

 「お父さんだって働いてるんだし、安い中古車くらい買えば?」

 イライラが頂点に達した夫が言った。

 「そんなのいらないいらない!お金が勿体ないし、あんたがいるからいらないよ。」

 義母は笑いながら言う。

 あー、この人はホント自分のことしか考えてないジブンガーだなぁと、笑ってしまう。

 「だから何で俺がいるからいらないって発想になるんだよ?お前、俺の休みの時間使ってる自覚ねぇだろ。」

 夫の言葉に義母は

 「休みだったらいいじゃないの。」

 と、返される。

 ダメだ、論点ズレてるわ。

 私は笑いを堪えるのに必死。

 義父も口を挟まない。

 「つーか、お前最近「一人が不安だ」って言ってお父さんを会社から呼び戻してるだろ。あれ、すんげぇ迷惑。」

 夫の口調はだんだん早口になる。

 夫は怒ると早口になるのだ。

 「仕方ないじゃない。一人が怖いんだもん。一人だと何もできないから、また倒れたらどうしようって不安になるのよ。」

 義母はいけしゃあしゃあと言う。

 「一人だと何もできない、じゃねぇよ!リハビリやれば良くなるって言われてんのに、全くやんねぇ自分のせいだろ?それに、お前は俺達を頼っていい立場じゃねぇんだよ。」

 夫の強い口調に、義母は不機嫌になって

 「リハビリは自分がうまくできなくてイライラするからやらないの!アンタに私の辛さが分からないの!」

 は?コイツ何言ってんの?

 相変わらず発想が斜め上で草が生える。

 「それに、子供が親の面倒見るのは当たり前でしょ!」

 は?コイツは一体何様なんだ。

 自分のことは自分で何とかしようと言う考えはない。

 そして、自分が私たちを追い出したと言う都合の悪い事実はなかったことにしてやがるな。

 「俺達を追い出したのはテメェだろ!」

 と、夫は怒鳴り、それから車内は沈黙に包まれていた。


 とは言えさすがに、どげんかせんとイカン。

 リハビリもそうだが、家事も出来ることはやってもらって、「不安だから帰って来い」もやめさせなきゃいけない。

 かと言ってまた同居なんて言語道断。

 もってのほか、論外、冗談キツイわ。

 そこで、候補に上がったのが「猫を迎えること」だった。

 猫の世話を焼いていれば、少しは動くだろうと思ったからだ。

 私は正直反対だった。

 しかし、私は賛成も反対も言わなかった。

 赤の他人の家庭の事情だ。

 私の口出す事じゃない。

 正直な話。

 今の保護猫を引き取るのは敷居が高い。

 高齢夫婦に引き取られ、お猫様の方が長生きした場合を想定し、保護施設の人はほぼ拒否する。

 だから拒否されるとタカを括ってた。

 夫もそれは同じだった。

 しかし、世の中とはとんでもない事態を引き起こすもある。

 今度は、猫を二匹引き取る事になった時の話である。

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