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朧と鋼の鍛冶作業、守り刀・宵哭と終砲・心月

皆さまどうもこんばんは、精霊の加具那岐です。

今回は朧様も鋼様も忙しいので私が代理を務めさせていただきます。

前回は、玄秦様とモケモケ様が何やら微笑ましい様子でしたね。

甘美な雰囲気を感じました。

鋼様と朧様は私の創造能力を使わずに武器を造ろうとしています。

鋼様は、亡烏以上の重火器を、朧様は守り刀を造ろうとしています。

今は二人とも玉鋼を熱して、叩いて伸ばしています。


鋼「これで10回目…」

朧「だいぶ硬くなってきたのぉ…」

加具那岐「はい、ではこれを…柔らかい鋼で二つ作っていきましょう。」

朧「その方が切れ味が出るのか?」

加具那岐「はい。」

鋼「亡烏以上なら…頑張らないとな…」

こうして二人は柔らかい魔玉鋼を選別し、再び熱して伸ばしていく…

鋼「ふぅ…出来た…けどまだ料理で言うところの下ごしらえなんだよね…」

加具那岐「はい、では次は甲伏せと鍛え接ぎ、火造りに移ります。」

朧「甲伏せ?鍛え接ぎ?火造り?」

加具那岐「はい、甲伏せとは、硬い鋼を柔らかい鋼で挟み、構造を造る作業で、鍛え接ぎは、鋼同士を熱して接ぐ作業、そして火造りは形を造っていく作業になります。」

鋼「銃身を造るとなると大変だね…」

加具那岐「はい、ですので、鋼様は部品を造って、それを私と一緒に組み立てていくという形の方が良いかと…部品を造るのも一苦労ですし…」

鋼「そうするよ…」

加具那岐「では初めていきましょう。」

朧と鋼は、鍛えた鋼を重ね合わせ、熱して接ぎ、火にかけ形作っていく。

朧は刀の形状に、鋼は砲身の形状にしていく。

加具那岐「鋼様…ずいぶん変わった砲身にしていますね…」

鋼「うん、一応魔刀衆だからね、刀みたいな砲身にしてる。」

朧「そこ気にするところかの?」

その後も二人は作業を進めていく。

朧「う~ん、だいぶ形はできたのぉ…鋼、お主はどうじゃ…って⁉」

鋼「薬室に使う部品はこれでよし…外装フレーム用…発射機構用…反動安定化構造用…照準用…装填用の部品製作完了…あぁ疲れた…」

ざっと13個の鋼でできた部品があった…

加具那岐「お疲れ様です、鋼様、おや、朧様も形作れたようですね。」

朧「あ、あぁ…」

加具那岐「では焼き入れ前の仕上げに移りましょう。」

そう言うと、加具那岐は土を出してきた。

朧「なんじゃこの土は?」

加具那岐「焼き刃土です、これを刃の部分は薄く、背の部分に厚く塗ることで、焼き入れの時の冷却差を生むんです。」

朧「なるほどのぉ…」

朧は加具那岐に言われた通りに塗っていく…

加具那岐「では、焼き入れに移りましょうか。」

朧「おう、どうするんじゃ?」

加具那岐「刀を再び熱して、熱した後すぐに冷水に冷やす作業です。」

朧「なるほどのぉ、じゃあ始めていくかの。」

朧は刀を火にかけていく…そして十分に熱したら…冷水につけて冷やす。

ジュウゥゥっと音を立てて刀が生まれていく。

加具那岐「次は焼き刃土を落としましょう、木片などで剝がせますよ。」

焼き刃土を剥がしていくと…見事な刃文と、美しい刀身が姿を現した。

朧「おぉ…見事なものじゃの…」

加具那岐「さて…それでは仕上げに移りましょう。」

加具那岐は様々な砥石を出した。

加具那岐「最初は荒いもので砥ぎ…徐々に細かい物で砥いでいきましょう。」

朧「うむ、少し時間がかかりそうじゃの…」

朧は仕上げに移った…

加具那岐「では鋼様、我々は組み立てに移りましょう。」

鋼「うん、さて…始めようか…」

鋼の周りの部品たちが浮き始めた…

鋼「まずは外装フレームを造っていこう…砲身をカバーするように刀の鞘のように…」

鋼の指示通りに部品が増え、組み合わさっていく。

鋼「フレームと本体の支柱…後接合パーツ…」

これで外装フレームのパーツは完成。

鋼「次は射撃機構に行こうか…砲身はさっきの刀の鞘のような外装フレームの中に格納…薬室…引き金を組み立て…接合…」

射撃機構も完成。

鋼「反動安定化構造…バイポットを銃身の前に設置…反動制御のパーツを取り付けて…」

反動安定化構造も完成。

鋼「銃身の下にバレルを生み出す魔術を付与…撃ったあとはバレルが溶ける前提だから、鞘が閉じるたびにバレルを交換できるようにする…」

だんだんと形になってきた。

鋼「最後に照準をつけて…完成。」

およそ人が扱うことを想定していない巨大な対物ライフル…いや…砲撃ライフルが出来上がった。

鋼「さてと…重さは?あ…これ持って撃てない…」

加具那岐「鋼様…こちら銃口が大きいのですが…何を撃つ気ですか?」

鋼「120mmのMP弾。」

加具那岐「…え?」

わかりやすくいうと戦車の主砲に使われるなんでもできる便利な砲弾…別名多目的弾…

鋼「まぁ、魔力を付与して撃つから、実際のMP弾よりやばいと思う…」

加具那岐「そこまでの威力が必要なんですか?」

鋼「う~ん…必要にならないことを祈るよ…あくまでも亡烏で太刀打ちできなかったとき用だからね。」

朧「お、そっちも出来たようじゃの。」

朧も砥ぎ終わったようだ。

加具那岐「砥ぎ終わったようですね、朧様。」

朧「あぁ、柄や鍔、鞘も作っておいた。」

朧の手には、黒い鞘に桜の絵が描かれている脇差があった。

鋼「それが守り刀?」

朧「あぁ…字名を宵哭(よいこく)と名付けた…"誰かの涙を止めるための刀"…そういう意味を込めた…」

鋼「なるほど…」

朧「鋼のこの大きい武器は字名はないのか?」

鋼「そうだな…終砲・心月…かな…撃ったが最後…残るのは静寂って意味を込めてみたよ…」

朧「あくまで…亡烏でも敵わなかったときの物なんだなよな?」

鋼「うん、あくまでもね。」

朧「そうか、よかった。」

鋼「加具那岐、これをお願いできる?」

加具那岐「はい。」

加具那岐は終砲・心月を倉庫に格納した。

朧「鋼よ…この守り刀…受け取ってくれるか?」

鋼「え…いいの?」

朧「あぁ…お主を思って打ったのじゃ…」

鋼「そっか…ありがとう。」

鋼は両手でしっかりと宵哭を受け取り、懐にしまった。

朧「さて、では妾は地下牢に行ってくる、以前の勇者の側近たちに、向こうの情報を聞かねばならんからの。」

鋼「わかった、じゃあ僕は募兵所に行ってくるよ、ヨモツ兵みんなの武器を新調してあげなきゃ。」

朧「うむ、ではまたの。」

鋼「うん、またね。」

鋼と朧はここで別れた。


続く…

この度はオタク学生が異世界で勇者として転生したけど魔族達に味方しますを読んでいただきまして誠にありがとうございます。

作者の妖峰輪廻です。

今回はかなり苦戦しました…刀の作り方とか銃のパーツとかを調べながら書いていたんで…刀の作り方って複雑なんだなぁって思いながら書いてました…ハイファンタジーの世界にリアル知識もってきていいのかわかりませんが…まぁヨモツ自体が和風なので。

それとお知らせなんですが、今まではお昼時の12時から14時の間に投稿をしていたんですが、次回からは20時から23時の投稿になります。

お昼時にみている方についてはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません…

それでは、また次のお話でお会いできるのを楽しみにしております。

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