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最強魔王(手加減)に手合わせ申し込まれて死にそうです…

僕の名前は影…八咫鋼。

洗脳されていた魔狼族の白狼さんの呪文を解き、そのお兄さんの狼牙さんと共に魔族達が住む王国に赴いた。

そこで魔族の長・魔王様に城に連れていかれ、手合わせもとい一方的な暴力が開催されようとしている最中です…


「手合わせ…ですか…」

「そうじゃ、貴様らが白狼を救ってくれたのは事実…じゃが、貴様らが人であり、人間たちに召喚された勇者であることもまた事実…ゆえに、我が直々に少し揉んでやろうと思ってのぉ…」

(少しだけ、見てみるか…)

さすがに手加減するとは言っても相手は魔王、手加減と言いつつこちらを本気で殺しにかかってきてもおかしくない、少しでも情報があった方が立ち回りやすい。

そう思い、ステータスを閲覧しようとした。

(解析不能…解析不能…解析不能…)

(あ、これ死んだかも…)

ステータスが何にもわからない…どこまで規格外なのだろうか…

「さぁ構えよ!!刻限は日が暮れるまで、もしくは貴様らが打ちのめされるまでじゃ!!」

「八咫…腹くくれ…」

「言われなくても、どっちにしろ引くに引けないし…」

覚悟を決めて魔王様の一方的な暴力に耐えるしかなかった…

「では…行くぞ!!」

「消え…」

「佐助!!」

「我相手に余所見とはなめられたものだなぁ!!」

「ふぐっ!!」

「ん?この感覚、ほう…」

(し、死ぬかと思った~!!未来予知と思考加速の重ね掛けで殴られる直前に手甲を錬成してダメージは抑えれた、けど…)

魔王様の拳を受けた手甲はぼろぼろに崩れ落ちた。

(一撃で壊れた…こんなの何度も喰らったら…)

「死ぬだろうなぁ!!」

(上段蹴り!!未来予知でさっき確認した動き、動くのはこっちが早い、手甲を錬成して受け流して下段でカウンターを狙う!!)

「ふっ、はぁぁ!!」

「がはっ!!」

(寸前で中段蹴りに切り替えた!?どんな目してるんだよ、未来予知と思考加速でいち早く動けたのに更に上をいかれた!!)

「中々筋が良いのぉ、能力の重ね掛けに防御からの次段の組み換えを考える冷静さ、更に寸前で体を引くことで衝撃を軽減…さすがは勇者として召喚されただけあるのぉ。」

「お褒めいただき光栄です…」

(軽減はしたけど、これ骨イってそう…しょうがない…一か八か…やってみるか!!)

「武具錬成!!」

(武具錬成・使用申請を確認、錬成開始します。)

(ベースは手甲、盾を取り付け、防御呪文付与、鏡の特性を付与、衝撃波を生み出す呪文を付与。)

(申請を確認、錬成開始します…錬成完了いたしました、現像します。)

「ほう、手甲を錬成したか、しかも鏡の特性が付いておるなぁ…その他にも衝撃を生み出す呪文に防御力を引き上げる呪文も付与しておるのか…」

一瞬で付与した呪文を見抜かれた、だが見抜かれたところであまり問題はない…と思う。

手甲の防御力は先程までの物より引き上げられているし、手甲で攻撃を受け止めると鏡の特性により攻撃は反射される、そこでひるんだところに衝撃波を喰らわす、といった流れだ。

「これは少し本気で行かないと失礼に値するなぁ!!」

先程までの気迫とは比べ物にならなくなっている、受けきれるかどうか不安なところだが、本気で来てくれるのであれば、それに答えてやらねば失礼というもの!!死んでも受けきる!!

「行くぞぉぉぉ!!」

「うぉぉぉぉ!!」

魔王の拳が手甲に当たった瞬間、手甲は砕け散った。

しかし魔王の拳は後ろに吹き飛ばされた。

そしてこちらに殴りかかってきた勢いで手は後ろの状態で魔王が突っ込んできた。

対してこちらは、攻撃を受けるために手を開いて前に出していた、そして手甲が砕けた今、前に出しているのは素手である。

そして魔王の胸部に手が触れた瞬間…

「ひゃっ!!」

という女性のような声が聞こえた。

「え…てうわぁ!!」

そのまま魔王は僕にのしかかるように倒れこんできた…

「痛ててて…す、すまんな、人の子…」

「そそそ、それは良いとして早くどいてくれませんか!?」

「え?あ、す、すまない!!すぐに退く!!」

魔王は慌てて僕の上から退いた。

そしてその時、ちょうど日暮れなった。

「あ、日暮れ…」

「何とか生き残…た、あ~疲れた…」

「ん…あ~あれ…俺生きて…」

「そういえばあいつは私が一発殴っただけでのびていたな…」

「実際佐助の方が動けるのに~!!」

「ん!!んっん!!よくぞ我の手合わせに耐え抜いた、褒めて遣わす、そして無礼を働いたことを詫びる、すまなかった…」

「いえ、そんな別に…な!八咫‼」

「死ぬかと思いましたけどね…(いろんな意味で…)」

「さて、今日はもう遅い、明日またここに呼ぶ、狼牙!」パチン

「お呼びで…」

「そこの長身の男をお前の家で休ませてやれ、すでにそちらに衣服は送ってある。」

「御意に…してそちらの前髪の男はいかがいたしましょうか…」

「こやつはここで休ませる…」

「御意に…」

「え?」

「以上だ、行ってよいぞ。」

「は‼さぁ佐助こちらに…」

「また明日な、八咫…生きてたら…」

「人を勝手に殺すなぁぁ‼」

一命はとりとめたものの、また災難が降りかかってきた、そして戦っている最中に発覚した事実だが…

魔王様は…女性だった…しかも恥ずかしがったりできる普通の女性だった‼

「さぁてと、お主、名は何と?」

「え?」

「名は何と申すか聞いておる。」

「あ、八咫鋼と申します。」

「八咫鋼、だから先程の男はお主を八咫と呼んでおったのか。」

「はい。」

「では、我は鋼と呼んでよいかの?」

「な、なぜ?」

「り、理由なぞどうでもよかろう‼とにかく‼良いのか!?駄目なのか!?どっちじゃ!?」

「いや、別に呼んでもらって構いませんけど…」

「良いのじゃな、良かった~。」

「では、私は魔王様のことを何とお呼びすれば…」

「朧じゃ。」

「え?」

白鉄 朧(しろがね おぼろ)、それが我の名じゃ…」

「白鉄朧…綺麗な名前ですね。」

「初めて言われたのぉ、まぁ名乗ったのが主だけじゃからの…」

「では、これからはそのようにお呼びいたします、朧様…」

「様はつけんでよい、それからその呼び名は我とこうして二人でいるときだけじゃ…あと、堅苦しい言葉もいらん。」

「わかりま…あ~…」

「まぁそれはゆくゆくで良い、今日は疲れたであろう、寝室と湯浴みの場に案内する、着いてまいれ。」

「はい。」


一方佐助は…


「う~痛~い…」

「あまり喋るな、傷に触るぞ?」

「すみません、ありがとうございます…」

「それにしても不思議だ…」

「何がですか?」

「魔王様のことだ、今まで魔王様がご自身の城に人間を招き入れるなんてなかったんだが…」

「まぁ、八咫は人を惹きつける才能がありますからね。」

「八咫が?とてもそうは見えないが…」

「あいつは自分で自分を縛ってたんです、元々は明るくて、誰にでも優しくて、その優しさに周りの奴らは惹きつけられていた、俺もその一人でした。」

「そうだったのか。」

「けど…ある日あいつの事をよく思わないやつが、あいつの根も葉もない噂を流したんです。」

(あいつは皆の事を影でけなしている、みんなは俺の道具だと思ってる。)

「って、当然その噂が本当だって証拠は無い、けど嘘だっていう証拠も同時にありませんでした。」

「その時お前は?」

「信じなかったし、あいつの事を信じてました、そして、そんなわけないって声も上げた、けど駄目でした。」

「それで八咫は?」

「ふさぎ込んだ、根が優しすぎるから反論もしてなかったです。」

「そうだったのか…」

「そんでその噂を流してたやつが俺と八咫をこっちに送り込んだ張本人です。」

「何だと!?」

「過去の名前を捨てて、新しい名前を名乗るように提案したのは、死んだ過去の世界より、生きてる今の世界で新しい自分として生きていかせようと思ったからなんです。」

「そうだったのか、だがなぜそれを本人に言わない?」

「言う必要ありますか?あいつ自身が言ってたでしょ?過去の自分とは違う自分になるって。」

「そうだな、ほら着いたぞ。」

「お帰り兄さん、と…あれ?佐助だけ?八咫は?」

「八咫は魔王様のところだ。」

「えぇぇ!?魔王様のとこ!?」

「魔王様相手に少し本気を出させていたからな、魔王様も気に入ったんだろう。」

「そうなると、佐助は…」

「初撃でのびた…」

「あ、そうなんだ…」

「ともかく先に湯浴みをして来い、服は魔王様が送ったと言っていたからそれを着ろ。」

「すみません、助かります…あぁ顎痛い…」


戻って八咫は…


「ここが寝室だ、湯浴みが終わったらここにで寝るといい。」

「随分広いですね。」

…………

「ここが湯浴み場だ、ここで汗を流すとよい。」

「ありがとうございます…痛てて…」

「ん?骨をやっていたのか?」

「あばら骨を少し…」

「なら、湯船に浸かるといい、この王国の湯は特殊でな、浸かれば骨折に切り傷、打撲や捻挫などにも治癒されるものなんだ。」

「なるほど、それじゃあ遠慮なく入らせてもらいます。」

「服はこちらに置いておくからな。」

「ありがとうございます、では。」

ガラガラ

服を脱いで、頭を洗い、体を洗って湯船に浸かった。

「あ”~~生き”返る”ぅぅぅ。」


時を同じくして佐助は…


「あ”ぁ”ぁ”ぁ”し”み”る”ぅ”ぅ”ぅ”」

こちらも湯浴み中である。


「「今頃あいつどうしてるかな~」」

「魔王様になんかやられてなきゃいいなぁ。」

「狼牙さんや白狼さんに迷惑かけてないかなぁ。」

お互い、湯船に浸かりながら、お互いの安否を考えていた。


「「よし!上がるか!」」

こうして二人は同じ時間に湯浴みを終えた。


八咫サイドでは…

「朧様、湯浴み終わりました。」

「ん?わざわざ言いに来んでもよかったのに、律儀な奴よの。」

「すみません、以前の癖がまだ残っていて…」

「謝らんでよい、それにしても中々に似合っておるの、その装い…」

「はい、ありがとうございます。」

朧様から受け取った装いは、黒と白を基調にしており、下は袴の形状をしており、上の羽織には、龍をあしらった刺繍が施されていた。

「では、今日はもう休むとよい。明日は朝より佐助と主に話があるのでの。」

「わかりました、では、おやすみなさい、朧様…」

「!?あ、あぁおやすみ、鋼。」


佐助サイドでは…

「狼牙さん、湯浴み終わりました。」

「おぉ、湯加減はどうだった?」

「はい、とてもいい湯加減でした。」

「それはよかった、それにしても…」

「ん?どうしたんですか?」

「中々似合っているな、その装い。」

「そうですか、ありがとうございます。」

佐助の装いは、下は八咫の物と同じものだが、上の羽織は群青を基調としていて、背中に大きく白虎が刺繡施されていた。

「さて、明日は朝から魔王様のところに行くから、もう休むといい。」

「わかりました…そういえば自分はどこで寝れば?」

「2階の一番奥の部屋を使え、そこは空き部屋だったが寝具はそろえてある。」

「ありがとうございます、狼牙さん。」

「あと、これは八咫にも言っておいてほしいんだが、私や白狼に対しては堅苦しい言葉や"さん"を使わなくても良い。」

「え、いいんですか?でも…」

「私がいいと言っている、それに君たちは白狼を救ってくれた、それ以外に理由がいるかい?」

「確かにそうですね、わかった、これからはできるだけ堅苦しい感じはなくしていくよ。」

「あぁよろしく頼む、それじゃあおやすみ。」

「あぁおやすみ、狼牙…」


こうして二人は眠りについた、明日の魔王との会談に向けて…


続く…

この作品を読んでくださり、誠にありがとうございます。作者の妖峰輪廻です。

今回は主人公の幼馴染である、空亡太生もとい佐助くんについてお話していきます。

最初の予定では砲真に何かと突っかかてくいじってくるキャラクターを予定してましたが、それだと出番が砲真くんがトラックにひかれたところで終わってしまいそうな予感がして、今の優しい彼に行きつきました。

名前の由来は、日本の百鬼夜行絵巻に登場する空亡と"太"陽のように明るくみんなを照らして"生"きるという意味合いで「空亡太生」という名前にしました。

性格は名前の通り、明るく誰に対しても分け隔てなく接する…いわゆる陽キャのような性格をイメージしています、要するに恨みや注目を買いやすいってことです。

佐助に関してお話しできることは今のところはここまでです、これからもめげずに投稿していくので、ぜひこの作品の完結をその眼で見ていただけると幸いです。

それでは、また次回お会いいたしましょう。

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