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魔族たちに会いに行ってみたら…

僕の名前は影裏砲真。

ある日、幼馴染・太生のストーカー・峰崎闇花に交通事故を装って殺され、気が付くと見知らぬ世界で幼馴染と一緒に勇者として召喚されてしまった。そこで転生の際に付与されたスキルを確認し、王様の目論見を見抜き、太生と共に王国から脱出した。

そして現在は追手であった魔族の捕虜を抱えて遠くに見えた森にいる。

ちなみに今僕は太生の予想以上の速力によって三半規管がかなりやられている。


「あー…気持ち悪い…」

「悪かったな、砲真…」

スキルが与えられているとはいえ、僕は太生のような身体能力を強化する術を持ち合わせていない…

「とはいえ、この子どうする?解呪の呪文なんてわかんねえし…」

「いや、方法はある。」

「マジか、どうやるんだ?」

「僕のスキル"武具錬成"を使う。」

「武具錬成でどうやってやるんだ?」

武具錬成の能力、それは自分が思い浮かべた武器や兵器を作り出す能力、そしてその能力は、現像する物も架空の物も現像対象であること。

つまり、解呪の呪文を撃ち出す銃器を思い浮かべればできるということだ。だが問題もある、それはスキルの発動条件だ。武具を作り出すためにその素材となる物を一度目視しておく必要があるのかどうかわからないことだ。これに関しては作ったうえで試してみるしかない。

「物は試しだ…ふぅ…」

僕は目を瞑って手を前に出した。

(スキル・武具錬成の使用申請を確認、架空の武器の現像を開始…)

(銃身はハンドガン、型はベレッタM92F、アクセサリーとしてサイレンサーを装着…)

(承認…使用する弾丸の種類の申請要請…)

(使用する弾丸は呪文、呪文の種類は解呪の呪文…)

(承認…武具の現像を開始します………完成しました。)

「できた…けど…」

効果のほどは試してみないとわからない…試しに弾倉を見てみた。

「弾倉に弾丸が入ってない、てことは…」

弾倉を銃身に戻し、次に空に向かって空撃ちを行った。

引き金は引けた、薬莢は落ちてきていない、そして弾切れの際に起こるスライドストップが起きていない。

「成功…ってことでいいのかな?」

「すげぇな…じゃあ早速使ってあげよう!!」

「そうだね…って思ったけど、どこに撃てばいいんだろ?」

どこに撃とうか迷っていた時…

「心臓部を撃て…」

「「!?」」

背後から突如声が聞こえた、あの王の追手か新たな敵か、どちらにしろ、警戒するに越した事はない。

「そう身構えるな、人の子ら…」

その声の人物は、全身黒い装いをしていて、狼のお面と黒いマフラーを付けており、一見忍びのような見た目をしていた。

「"人の子"?人間じゃないのか?」

(神眼で何かわかるかも…)

そう思い、僕は神眼を使用した。

(個体名・狼牙 種族・魔狼族 腕力・乙丙 脚力・甲丁 知能・乙甲 嗅覚・甲甲 魔族の生き残り、妹がいるが人間たちに捕らわれている。今は妹を取り戻すために奮闘している。)

どうやら魔族の生き残りらしい、ただ妹を取り戻すという文面とこの乙だの甲に気を引かれた。

(ステータス閲覧の甲や乙はランクを表しています。甲が一番高く、その中でも甲の中の甲に位置する甲甲は最もランクが高いものとなっています。ランクはそれぞれ、(こう)(おつ)(へい)(てい)()()の6段階あり、ランクごとのランクも存在します、こちらも甲~己の6段階となっています。)

なるほど、さすがは狼、嗅覚はとても優れている。そして妹を探しているというが、なぜこのタイミングで僕達の前に現れたのだろうか。その問の答えを解くカギはやはりこの捕虜の子だ、僕は捕虜の子にも神眼を使った。

(個体名・白狼 種族・魔狼族 腕力・丙戊 脚力・乙乙 知能・甲乙 嗅覚・甲甲 [服従] 魔族の生き残り、森を歩いていたところを人間に見つかり、捕らえられた。少し歳の離れた兄がいる。)

どうやら当たりのようだ、ということは上手く解呪が出来れば魔族達の信頼を得られるかもしれない。

「なんで心臓部を狙うんだ、というかなんで見ず知らずの人間に妹の命預けてるんだ?僕たちがあなたの妹さんを殺すかもしれないのに…」

「服従の呪文は心臓部に書くことにより心を縛り、従わせる、だから解呪も心臓部に施す必要がある。

それにあなた方は、妹を殺さない、そもそも殺すつもりなら先程の人間諸共殺しているはずだ。」

「信用してくれたってことでいいのか?」

「左様、だがおかしな真似をすれば命はないと思え…」

「わかってる…」

僕は白狼さんの心臓部に狙いを定め、解呪の呪文を撃ち出した。

「ん……」

「どうなった?」

「わからない、まだ僕が撃った麻酔弾が効いてるのかも。」

「起こせばいいのか?どうやったら起きる?」

「普通にゆすったり、声かけたり…」

それを聞いた狼牙は白狼に呼びかけたり、肩をつかんで前後にゆすったりした。

「白狼!!白狼起きろ!!」

「ん~~…むにゃむにゃ…」

「早く起きろ寝坊助っ!!」

「ん~、だ~れ~が~…」

「あ…」

「寝坊助だぁぁ!!」

「あ、起きた。」

「痛ってぇ…おはよ、白狼。」

「あれ、兄さん?なんでここに…それに、人間!?」

白狼さんは起きるやいなや、こちらに敵意を向けてきた。まぁ無理もない。

「落ち着け白狼、彼らはお前を助けてくれた方たちだ。」

「助けてくれた?でも確かに私、人間につかまって…そのあとの記憶はないけど…」

「服従の呪文をかけられて、俺を殺しに来たよ、砲真がいなきゃ俺は死んでたな。」

「それは…ごめんなさい…」

「気にしなくていいですよ、その時のあなたに意識はなかったんですから。」

「その後は、お前を連れてこの森に逃げ込み、そこに俺が来て、今に至るというわけだ。」

「そうだったのね…何も知らずにごめんなさい。」

白狼さんは敵意を収めてくれた、ひとまず安心だ。

「本当にありがとう、あなたたちは俺たちの恩人です。」

「本当にありがとうございました、えーと…」

「あ、そうだった、俺の名前は…ん-、なー。」

「何?その呼び方?」

「俺たちって前の世界では死んだじゃんか?」

「うん。」

「なんかもう前の世界の名前で名乗る必要なくねって思って…」

「まぁ確かに…」

「だから、これからは自分で考えた名前で名乗ることにしないか?」

「まぁ別にいいけど…」

「うっし!!じゃあそうだな~、どんな名前がいいかな~。」

「そういえば魔族の方々がいる所ってどんなところなんですか?」

できれば彼らの生活スタイルに合った名前の方が呼びやすいだろう。

「そうだな、君たちには伝わると思うが、今我々魔族がいる場所は東方の国で主に見かける和風という彩を主に取り入れている。」

「魔族達のいる所が和風?」

「なんだその反応は、魔王様の趣味だぞ?」

「いや、なんか意外というか…」

勝手に中世の王国のような物を想像していた、それこそさっきまでいた人間の王国の様なものを。

「まぁ我々がいる所はそんな感じだな。」

「なるほど、なら和名の方がいいか…」

「よし!!俺は決まった!!」

こちらが話している間に考えがまとまったらしい。

「俺はこれから、佐助と名乗る!!」

「お前絶対それ猿〇佐助から取ったろ…」

「いいんだよ、どうせ知ってる人いないし、で?そっちは決まったか?」

「うーん、そうだな…」

僕は武器を造れて、銃器の扱いに人並み以上に長けている。それでいて神眼のおかげで目がいい…目がいい鳥は鷹、銃器の扱いに長けていた戦国時代の偉人は雑賀孫一、優れた刀匠は三条小鍛冶宗近、雑賀孫一が率いていた雑賀衆は八咫烏を家紋にしていた、そういえば妖怪か何かに八咫鋼というやつがいたはず、鋼は刀の材料…

「八咫鋼…うん、八咫鋼。」

「八咫鋼か、とても意味が込められていそうな名前だね。」

「なんか俺よりかっこいいな~…」

「僕はもう、ふさぎ込んでいた頃の"砲真"じゃないからね、八咫烏を家紋として掲げて、雑賀衆を率いていた銃の名手、雑賀孫一のようになる。そういう思いから付けた名前だよ。」

「八咫はそれでわかるけど鋼は?」

「武具錬成で武器を造るから、刀の材料の鋼から取った。」

「それで八咫鋼…良き名だ。」

「ありがとうございます、狼牙さん。」

「ん?なぜ私の名前を?」

「僕の目は特殊なんです、見た相手の情報や心の声を聴いたり、思考を加速させて時間をゆっくりにしてみることや少し先の未来が見えたり、とにかく色々特別なんです。」

「なるほど~、つまり妹の名前も知っているということか。」

「はい、これからよろしくお願いしますね、狼牙さん、白狼さん。」

「うん!!よろしくね!!八咫鋼、あと助けてくれてありがとう♪」

「さて、二人には何かお礼をしたいんだが、ここだと人間たちに見つかる可能性がある、少しここから歩くが我らの王国へ向かおう。」

「方角はどっちなんだ?」

「ここから北東に一直線だ、我らの足なら数分でつくのだが…」

「なら二人は先頭を走ってくれ、俺は八咫を抱えて後ろからついていく。」

「私たちの走力に追いつく気?」

「心配しないでください、こう見えても佐助は足に自信ありますから。」

ただ、神速はとんでもない速度で走るため、三半規管がやられるというデメリットがある。

「ただ、我らの走力についてくるとなると、八咫の三半規管にかなり負荷がかかるのではないか?」

「そこは、思考加速を使えば少しは軽減できるとは思いますけど…」

「なんでもいいからそろそろ行こう?日が暮れちゃうよ。」

「そうだな、では行くとしよう、はぐれるなよ?佐助。」

「上等!!手ぇ離すなよ!!八咫!!」

「努力する、二人とも、案内お願いします。」

魔狼族の狼牙さんと白狼さんの案内で、魔族達の王国に向かった、二人の案内と速力のおかげで、着くのにさほど時間はかからなかった、そして思考加速のおかげで三半規管へのダメージも少なかった。

「ここが我ら、魔族の王国だ。」

「本当に和風だな…門と言い壁と言い…」

「さて、早く入ろう?」

「そうだな、二人は少しそこで待っていてくれ。」

「わかった。」

ドンドン

「魔狼族の狼牙だ!!開けてくれ!!」

ガチャ…

「よくぞご無事で狼牙様…そして白狼様も…」

「うん、ただいま。」

「玄秦、今から二人ほど人間が入るのだがよろしいか?二人は白狼を助けてくれた恩人なのだが…」

「構いませぬ、魔王様から言伝で、魔狼族の捕虜を助けた人間二人が来たら城まで出迎えろ、と言伝をいただいております。」

「お城に?しかも私を助けたこともなんで知って…」

「わからない、だが魔王様の命令は絶対だ、ともかく二人を呼ぼう。」

「二人とも~、入ってきていいよ~」

「失礼します…」

「失礼仕る…」

「あなた方が白狼様を救ってくださった方でございますか?」

「はい、名は八咫鋼と申します、こちらは佐助です。」

「八咫鋼様と佐助様でございますね、この度は白狼様をお救いくださりありがとうございます。」

「礼には及びません。」

「つきましては、魔王様からお二人を城にお招きしろとの言伝をいただいております。」

「魔王様が?」

「そういうことなんだ、ここからは俺たちが…」

狼牙が案内すると言おうとした次の瞬間…

「その必要はない…」

「!?」

やけに貫禄のある声が響き渡った…その声の主は姿を見ずとも直感で感じた。

周りを見ると、魔狼族の二人と門番は膝をついて頭を下げていた。

「これが…魔王…」

辺りに張り詰める緊張感で冷汗が止まらない…

すると、空から黒衣を身を纏い、腰に身の丈ほどある刀を4振り携えた、身長180cm位の男?が舞い降りてきた。

「面を上げよ、我が精鋭たちよ…」

「「「はっ!!」」」

先程まで張り詰めていた緊張感がさらに悪化した、まるで首筋に刃でも向けられている気分だ…

「貴様らが白狼を助けた人間たちか?」

「はい…そうです。」

「そうか…」パチン

魔王が指を鳴らした瞬間、僕と佐助は見知らぬ場所へと飛ばされた。

「え…なんで…」

「さっきまで門の前にいたのに…」

「ここは我が城の本丸だ…」

「「な!?」」

いつの間にか玉座…いや、高座に腰を掛けていた。

(離れててもこの貫禄、まるで蛇に睨まれた蛙になった気分だ…)

「ほぉ…随分と懐かしい言葉を知っているな…そこの前髪が長い人間…」

(な!?心を読まれた!?僕や佐助の心眼と同じ…いやそれ以上!?)

「ふふふ、中々愛い反応をするのぉ…」

僕と佐助以上の心眼、そして一瞬で複数人を瞬間移動できるほどの技の才、そしてこの貫禄…戦おうとすることが馬鹿げている。

「さて、主らをここに呼んだのは他でもない。」

「ゴクン…」

「我と手合わせしてもらうぞ、案ずるな…手加減を望むのであれば手加減してやる、ふふふ…」

この瞬間、僕と佐助は死を確信した…


続く…

この作品を読んでいただきまして誠にありがとうございます。作者の妖峰輪廻です。

1話からかなり間が空いてしまっていましたが、めげずに執筆してしていました。物語自体はかなり進んでいるのですが、後書きに何を書こうか悩んでしまい、結果後書きで悩んで投稿できていませんでした…

なのでこれからは小出しで作品の設定やキャラクターについて話していこうと思います。

今回は主人公の影裏砲真、もとい八咫鋼くんについてお話しします。

彼は名前にもある通り、とても暗いキャラにしようと思いましたが、少し交友関係があると人間味が増すかなと思い、幼馴染で学校の人気者という正反対の友人を付けることにしました。

それにより、人気者の友人のストーカーに殺されてしまうと言った、1話から中々壮絶な事になってしまいました。

彼は作品でも語られている通り、銃器に対して幅広い知識を持っているため、それを活かせる能力がいいのではと思い、武具錬成というスキルを授けました。

最初はナイフやハンドガンといった小さなものしか作れませんが、彼はこれからどんどん伸ばしていきます‼

今出せるキャラの情報はこのような感じです、まだまだ書きたい内容や話したいキャラの設定なんかもありますので、完結までお付き合いいただけると幸いです。

それでは、また次のお話でお会いしましょう。

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