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天使の転生者、アイデンティティは翼だけ!?開催されるカオスな狂宴

皆の者、お初にお目にかかり申す…魔刀衆の参刀・岩鎚(がんど)玄秦(げんそう)である。

話にはたったの一回しか出ていない上に、八咫殿と佐助殿の入国の際にしか登場していない故、忘れている者もいるだろうということで、八咫殿に無理をいってあらすじを変わってもらった次第である。

前回は、空の亀裂からの来訪者、月巴殿を魔刀衆に迎え入れ、八咫殿が造った武器、弓刀・凪月の試し斬り、もとい試し撃ちを行っておった。

しかし、突如空から白き翼を付けた者が降ってきて、その者は自分を天使と言った、無論この世界には天使などという種族はおらぬ、まれに人間が神とやらに祈ってはいるが、神という者もいない。

そして現在はその天使を名乗る者と対峙しているところである。

にしても、他の魔刀衆の皆は八咫殿に武器を造っていただいているのに某だけ造ってもらえていない…

門番という仕事上…持ち場から離れられないのは仕方ないのだが…何であろう…この…仲間外れ感…


「異世界からの転生者?主らの世界からの転生者ではないということか?」

「ま、待て‼この世界には神や他の天使がいないというのか!?」

「だからそう言ってるじゃないか、翼が生えた女の子。」

「そ、そんな…だったら私は…」バタン

「お、おいどうし…」

「翼があるだけの人間と一緒じゃないか…」

「「「え?」」」

天使とは思えない発言が出てきた、なぜ神や天使がいないと翼が生えただけの人間と一緒なのだろうか?

「なんか、悪い人ではなさそうですし、話だけでも聞いてみます?」

「そうじゃな、天守に飛ぶぞ。」パチン

「な、なんだ!?急に場所が変わって!?」

「なんかもう定番ですね…この反応…」

「私は未だになれませんけどね…」

「さて、まずはこちらから名乗るか、我はこの国の魔族を率いている魔王じゃ、貴様の後ろに控えているのは我が精鋭たちじゃ。」

「ま、魔王!?」

「魔王と言っても、外におる魔物たちは我が支配下ではない、あくまでもこの国…いやこの世界におるすべての魔族の王じゃ。」

「あ、悪魔の王ではないの?」

「「「「アクマ?」」」」

「あ、そっちも知らないんだ。」

「まぁそのアクマがなにか知らぬが、その類の者との関わりはない、さぁこちらが名乗ったんじゃ、次は貴様の番じゃぞ?」

「くっ‼まぁ仕方ない…今の私は翼だけが取り柄だし…」

(そういえば、さっきもそんなこと言ってたな…こっちを油断させるための罠かもしれないし、ちょっと見てみるか…)

そう思い、神眼で天使のステータスを閲覧してみた。

(個体名・……… 種族・天使 能力・なし

天使の力の源である神の加護がないため何もできない、ただ翼が生えた人間と一緒。

剣の腕は天使の中でも五指に入る実力だが、それも加護あっての実力、魔法も使えない。)

(本当に何もできないんだ…)

しかし、名前に何やら靄のようなものがかかっており確認できなかった、魔王様のような規格外の場合でもない、こちらでは言語化できない言語だったのだろうか?

「私の名前はヴァルキュリア・シエル・サントロフォン、皆私の事をシエルと呼ぶ。」

((((((((でしょうねっ‼長いもんっ‼))))))))

「天界では五指に入る実力だが、今はそこらにいる魔物相手でも手こずる自信がある。」

「なんの自信じゃそれ?まぁ良い…ともかく、お主がなぜここに来たかもわからんし、しばらくはここに身を置いて…」

(グゥゥゥゥ…)

「誰じゃ?腹の虫が鳴いておるぞ?」

「あたしたちではないよね?横から聞こえなかったし…」

「うん、どっちかって言うと前から…」

「すまない…実は二日前から何も…」

「馬鹿か貴様‼ちゃんと食事はとらんかっ‼ちょっと待っておれ‼今何か作ってくるからの‼」

「僕も手伝います‼」

「私もお供します‼」

「あたしも手伝います‼」

「助かる‼狼牙‼刀睡‼八咫‼」

こうして、四人で魔王城の厨房まで行った。

「にしても天使って何食べるんだ?」

「なんか分からないかい?八咫?」

「流石に天使が食べてるものまでは…」

「なんでも良い、ともかく各々得意なものを作れ、口に合わずとも口に入ればよい‼」

「「「はいっ‼」」」

こうして出来上がったのが、鯵に似た魚の開きと、鳥のもも肉のような物の塩だれのから揚げ、炊き込みご飯と、いちご大福みたいな和菓子である。

なお調理したのは順に朧様、狼牙、八咫、刀睡さんである。

「刀睡さんこれどうやって作ったんですか?」

「ん?餅の生地にあんこ入れてイチゴ入れて包んだ。」

「生地はどっから…」

「作った。」

「あんこも…?」

「作りました。」

「この短時間でとんでもないことやってる…」

「ま、まぁとりあえず、持っていくかの…」

「そ、そうですね…」

この四品をシエルさんの所まで持っていた。

「ほれ、できたぞ。」

「なんだ…このおいしそうな匂いは…」

「から揚げに焼き魚、炊き込みご飯にいちご大福…え、いちご大福ぅ!?」

「まぁそうなるよね…」

「さぁ、冷めないうちいただいちゃいな。」

「じゃあ…お言葉に甘えて…いただきます…」

シエルさんはまず焼き魚を一口食べた…

「どうかの?味は…って!?」

シエルさんは突然泣き出してしまった。

「な、泣くほど酷かったのか!?それとも魚は苦手だったのか!?」

「違います…私…今まで…誰かにこんなに…こんなに優しくされたことなくて…」

「そ、そうだったんだ…」

「天界でも…いつも一人で…誰かに認めてもらいたくて…強くなって…」

「そうか…ほれ、もっと食べろ。」

「はい…」

そうして、シエルさんは料理を全て平らげた。

「ごちそうさまでした。」

「お粗末様じゃ。」

「ほら、これで涙拭きな、かわいい顔が台無しだよ?」

「ありがとうございます…えっと…」

「あぁそういえば私たちは名乗ってなかったね、刀睡ってんだ、よろしくね。」

「トウスイさん…ありがとうございます。」

「私たちも名乗っておこうか、私白狼‼」

「狼牙です、よろしくお願いします。」

「佐助だ、よろしく。」

「月巴と言います、よろしくお願いします。」

「八咫鋼と申します、お気軽に八咫とお呼びください、よろしくお願いします。」

「ハクロウさんにサスケさん、ツキハさんにヤタさん、そしてロウガさん…と…」

「すまんの、わしは傍らに立つ者にしか名を教えておらんのじゃ、とは言ってもお主の事が嫌いというわけではないから安心せい。」

「かしこまりました、魔王様。」

「さて、では話してくれるか?お主の事を…」

「はい…私は天界でずっと一人でした…親も、友も、誰もいませんでした…」

「どうして…?」

「理由は、私のこの翼です…この翼は天界の中で最も美しいと言われた翼で、堕ちて堕天使になる事を危惧されていたからです…」

「たったそれだけの理由で…いや、人間も一緒か…」

「その、ダテンシというのはなんじゃ?三人は知っておるのか?」

「はい、私達がいた世界では、天使は悪に身を染めると堕天使になると言われてます。」

「人間でいうところの異端と一緒です。」

「堕天使になると、白かった羽が黒くなったりしますね。」

「うーむ、堕天使についてはわかった、じゃがそれと迫害になんの繋がりが?」

「私の羽は、色で言うと純白なんです、純白の羽の中でも私の羽は最上位に位置していて、そういった羽の持ち主が堕ちてしまうと、天界を滅ぼすのも容易な力を持った堕天使になってしまうと言われているんです…」

「それで迫害かい?天使とやらも随分と馬鹿なことをやるねぇ、そんなの逆効果だってのに。」

「多分それが狙いなんです…天使の中でもランクっていうものがあって、それが高いほど発言力が高くなるんです…」

「やってるやつの方が堕ちそうですけど…」

「神監様にばれなければどうということはないんです…ただ神監様は心の色を見るので、どちらにしろバレるとは思いますけど…」

「心の色?神監?」

「悪行を働くと、心が黒く染まっていって、その色が神監様に黒だと判断されると、堕とされてしまうんです…ただ、私がここに来る前は神監様に会っていないんですよね、羽も白いままだし…」

「ということは、天使の誰かに殺された…って考える方が妥当ですよね…」

「そもそも天使に死という概念はあるんですか?一応神様の使いですし…」

「一応天使も死ぬことはあります、ですが、死ぬとは言っても数刻もすればまた記憶を持って生まれるので、あまり賢いやり方ではないですけど…」

「実質不死身か…でもそれも神様の加護とやらで?」

「はい、今の私はその加護がないので一度死んでしまえば…もう…」

「しかし、そうなるとますます謎じゃの…誰がどうやってここに送り込んだのか…」

「そういえば…天界から落ちると、どこか違う世界に飛ばされるとか言われていた気が…あと、誰かに押された感覚も…」

「なるほど、謎は解けたの。」

「シエルさんをよく思わない誰かが天界から突き落としたってことですね。」

「しかも発言力を得るために…人間と変わらないじゃない…」

「まぁ過ぎてしまったことは仕方がない…重要なのは今をどう生きるかじゃ。」

「今を…どう…生きるか…」

シエルさんは悩んでいた、その気持ちは八咫や佐助、月巴には痛いほどわかる、彼らは一度死んでから、ここにいる、最初は何をしようか悩んでいた、だが洗脳された白狼や魔王様、狼牙や刀睡さんがいてくれて、進むべき道を決められた。

「シエルさん、何も今すぐに答えを出す必要はありません、僕や佐助、月巴さんもそうでしたから。」

「え?三人とも?」

「そう、俺たちは一度死んでここにいる、最初は何をしようか全く分からなかった。」

「でも、刀睡さんや魔族のみんなのおかげで進むべき道が見えてきたんです。」

「進むべき…道…」

「そうじゃの、まずはゆっくり考えるとよい、それまでは…そうじゃな…」

シエルさんの考えがまとまるまでどこに泊めるか迷っている時…

「では、私の家に泊めるのはどうでしょうか?」

手を挙げたのは狼牙だった。

「良いのか?じゃがお主の家にもう空き部屋は…」

「それは問題ありません、これから部屋が一つ空く予定ですので。」

「ん?」「え?」

「そういうことなら問題はないの、ではよろしく頼む。」

「え?どういうこと?狼牙?」

「あぁ二人の部屋を一つにしようと思ってな。」

「へ?それ大丈夫なの?」

「問題ないだろ?思いを伝え合ってそれをよしとしてるんだから。」

「へ?」「え?」「なっ!?」

「別に隠すほどの事でもないだろ…」

「もうそこまで進んでいたとはのぉ…」

「ははは白狼とさささ佐助が!?」

「ちょちょちょっと落ち着いてっ!?八咫君!?」

「ぷっ、ふはははは‼」

「あっ‼シエルちゃん笑った‼」

「説明してよ‼佐助ぇぇ‼」

「その前に亡烏をしまえ‼八咫‼」

「そういう関係になったなら言ってよぉ‼」

「頼むから落ち着けぇぇぇぇぇ!?」

「待てェェェェェ‼」

「はははははは‼」

「良いね良いねぇ‼シエルちゃん笑ってる方が可愛い‼」

「そうじゃの、人生笑っておる方が楽しいからのぉ、ハハハ。」

「誰かこのバーサーカー止めてェェェェェェェ‼」

こうして、このカオスという言葉がこれほどまでに相応しい狂宴は夜まで続いた…


続く…



この度はオタク学生が異世界で勇者として転生したけど魔族達に味方しますを読んでいただきまして誠にありがとうございます。

作者の妖峰輪廻です。

本日二回目の投稿です。

さぁ今回は前回初登場した魔族サイドの天使・ヴァルキュリア・シエル・サントロフォン、略してシエルについてご説明していきます。

」ずは名前についてです、名前はミドルネーム以外は神話上に登場するヴァルキリーとサンダルフォン、そしてメタトロンをアナグラムにしたものとなっています、ちなみにリアは間に合わせです。

やはり天使ということもあり神聖な名前にしたく、神話上に登場する大天使の名前や女神の名前を使うのが良いと思い、このような長い名前になってしまいました。

そして性格は少しダウナー系にしてみました、高飛車な天使も良かったのですが、それでは読者の方々の反感を買いそうなキャラになってしまいそうなのでダウナーな天使にいたしました。

シエルについてお話しできるのはここまで、キャラクターのプロフィールや本編では語れない番外編も同時に制作しているのでそちらも良ければ覗いて行ってください。

それでは、また次のお話でお会いしましょう。

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