転生しすぎ‼異世界からの転生者はまさかの天使!?
皆様お初にお目にかかります、私は八咫鋼様の中に宿る精霊・加具那岐です。
今回は私が八咫鋼様にあらすじをやってみたいと言いましたら、快く了承してくださったので今回は私が担当いたします。
前回は、刀睡様と琥珀咲様のほうで何やら賑やかな気配を感じていました、佐助様や白狼様、狼牙様の所では、何やら甘酸っぱい出来事があったような気配を感じております、そしてこちらでは、八咫鋼様が朧様に急接近‼これはお二人がくっつくのも時間の問題ですぅ‼八咫鋼様の中に眠る者としてはお二人がくっついて幸せになってほしいところですぅ‼ちなみに現在は天守閣にて魔刀衆の方々を待っているところです。そういえば、魔刀衆の参刀の方…門で見て以来、見てないような…
天守閣にて…
「そういえば鋼、お主、スキルが転成したとかなんとか言うておうたが、効果まで変わっとるのか?」
「さぁ?転成して間もないから…ちょっと確認しますね…」
[加具那岐 効果・生物以外のすべてを創造可能、複合・複製・錬成・模倣も可能、付与できるのは魔術・能力・転生スキル、それぞれ付けられる数は10個ずつ、すなわち全て合わせて30個付けられる(現時点)。]
「これが、転成を果たしたスキル…」
能力面を見てもトップクラスの汎用性と性能だが、恐ろしいのは最後の方に書いてある現時点という文字…つまり転成をしたスキルでも、練度を上昇させれば以前加具那岐が話していた…いやそれ以上の、魔術・能力、そして転生者の最初に渡されるスキルを全て宿した武器が造れるかもしれない、まぁ造ったところで絶対使いずらいが…
「そういえば、その琥珀に渡す武器、名は決めたのか?」
「そういえば決めてませんねぇ…」
いつもであれば自分で考えた名前を武器に付けるのだが、今回は…
「こいつの名前は…朧が付けてくれ…です…」
「随分頑張ったの…」
「まだまだ慣れないなぁ…」
「ゆっくり慣らしていけばよい、さて、それより名前じゃな…ん~名前か~…ん~…」
魔刀衆の二つ名は朧が考えているため、自分よりもネーミングセンスはあると思うのだが…
「弓刀・凪月、凪の水面に映る、二つとないはずの月…」
「弓刀・凪月…完敗です…」
薙刀の薙を凪にし、薙刀と弓の二つの形態を凪の水面に映った月と本物の月で表す、そして凪をそのまま読まずに"りょう"と読む、流石は二つ名を考えるだけのネーミングセンスである。
「そうかの?琥珀の二つ名に少し合わせた名前にしたのだがの。」
「お、狼牙達が来た…みたいだ…」
「では、いつも通りに戻すかの。」
「はい。」
「おはようございます、八咫、魔王様…」
「おはよーございます‼」
「おはようございます…」
「おはよう、三人とも。」
「おはよう、狼牙、白狼、佐助。」
「ん?その武器は?」
「これ?これは琥珀咲さんに渡す武器だよ、ここに残るにしろ外に出るにしろ、身を守る術は必要でしょ?」
「確かにな、これを造ったから昨日転成したのか…」
「ん?何でそのこと知ってるの?」
「実は俺、今朝精霊が宿ってな…」
「精霊ってこんな感じの?」パチン
「お呼びでしょうか、八咫鋼様。」
「おぉなんか出てきたのぉ。」
八咫が指を鳴らすと、背後に八咫のスキルに宿る精霊・加具那岐が現れた。
「そうそう、こんな感じ…ってえぇぇ!?なんで出てきてんの!?」
「転成を果たすと、宿主の世界への干渉、つまり現界が可能になります。」
「なるほど。」
「では、よろしいでしょうか?」
「はい、急に呼び出してしまってすみません。」
「いえいえ、では…」スゥ…
そういって加具那岐は帰っていった。
「さて、あとは刀睡さんと琥珀咲さんを待つだけなんだけど…」
「ぃ~ゃ…」
「はははは‼」
突然遠くの方から叫び声と甲高い笑い声が聞こえてきた。
「噂をすれば何とやらじゃの…」
「よっと…おはようございます、魔王様…」
「おはよう、刀睡、そして琥珀…」
「おはようございます、魔王様…」
「さて、昨日の問答の答えを聞かせてもらおうかの…」
「はいっ、私は琥珀咲という名を捨て、月巴として、魔王様に忠誠を誓います。」
「ほう…その言葉に偽りはないな?月巴よ…」
「武を重んじる者に二言はございません‼」
「よくぞ言った…お主を我が精鋭として迎え入れよう。」
「ありがたきお言葉…」
「では、住居は刀睡の家で引き続き良いかの?」
「はい、家の者達にもそのように話しております。」
「よろしい、では八咫…例の物を…」
「はっ‼月巴さん、これを…」スッ…
「これは…」
「八咫が主のために打ってくれた物じゃ、名を弓刀・凪月という、主の牙となる武器じゃ。」
「弓刀・凪月…私の…武器…」
「それからこれも渡しておこう。」
「これは…マフラー?」
「我が精鋭、魔刀衆の証じゃ、まだこの国では人間に対し、敵意を持っておる魔族もいる、その者達から守るためとでも言っておこう。」
「ありがとうございます。」
「そして、魔刀衆の皆には二つ名がある、狼牙は魔爪、白狼は狼双、今ここにはおらぬが参刀の玄秦は岩鎚、刀睡は鏡海、八咫は無尽、佐助は裂風じゃ、そして月巴、お主の二つ名は…月華じゃ。」
「月華…月の華…」
「魔刀衆の漆刀・月華の月巴、これからの活躍に期待しておるぞ。」
「はっ‼」
「さて、では民に報告をしに行くかの、行くぞ‼我が精鋭たちよ‼」
「「「「「「はっ‼」」」」」」
そして魔王様は城の屋根に上り、民に向かって声を発した。
「魔族の国・ヨモツに暮らす全ての民に告ぐ‼此度、我はまた新たな精鋭を迎え入れた‼その者の名は月巴‼我と伍刀の手合わせによって生まれた、空の亀裂からの来訪者じゃ‼ここに宣言する‼空からの来訪者、月巴を魔刀衆の漆刀・月華の月巴に任命するっ‼」
(ウォォォォォォ‼)
「相変わらずすごいねぇ…」
「流石は我らが魔王様…」
そうして、魔王様と共に天守閣に戻った。
「さて、では…」
「魔王様…少しよろしいでしょうか…」
月巴さんが口を開いた。
「構わん、申せ。」
「はい、私は八咫君や佐助君のような特異な力がないのですが…」
「うーむ…八咫、少し見てみよ、主の目ならばなにか見えるであろう。」
「はっ‼」
この時、魔王様も見れるでしょと思ったのは内緒である。
「ちょっと失礼しますね…」
(個体名・月巴 種族・人間 能力・鷹の目 天矢 豪刀
鷹の目・風向き、空気の湿り気が目視で分かるほか、数百km先の対象を鮮明に目視できる。
天矢・放った矢が重力の影響を受けず、音を置き去りにする速度で放つことが出来る。
豪刀・武器を重さを感じることなく扱える。)
「中々にすごい能力持ってますね、弓使いとしては文句なしの実力になりますよこれ。」
「そ、そんなに?」
「まず、今の風向きって言えます?」
「え?南西に向かって吹いてるけど…」
「今微弱な風しか吹いてないぞ!?」
「この風速で言い当てるのかい…」
「それが一つ目の能力、鷹の目です。風向きや空気の湿り気が目視で確認出来て、数百km先の対象を鮮明に目視できるみたいです。」
「まさに弓使いにはうってつけじゃないかい‼」
「まぁ次に言う能力のせいで風向きや湿り気を活かせる場面がないんですよね…」
「え?」
「二つ目の能力が、天矢。放った矢が重力の影響を受けず、音を置き去りにする速さで矢を放てるみたいです。」
「確かにそれじゃあ、風向きがわかっても意味ないね…だって音置き去りにしちゃうんだし…」
「鷹の目はあくまで遠くの標的の位置を見るのに使ったほうが良いわね…」
「最後三つ目の能力が、豪刀。武器の重さを感じることなく扱えるようですけど…」
「そうね…弓を早く引き絞れるようになるのはありがたいけど…」
「まぁ、今判明してる能力はこの三つですね、あとは月巴さんの練度次第です。」
「ありがとう、おかげで少し不安が取れた。」
「それはよかったのぉ、さて話を戻すか、月巴は…あぁ…刀睡どちらが良い?」
「何がでしょう?」
「主と同じ道場で働かせるか、もしくは主の所におる蜃竜の呉服屋の手伝いをさせるかじゃ。」
「私の道場でお願いします蜃竜には到底任せられません(早口)」
「そ、そうか…では刀睡の道場で一緒に働くとよい、我の呼びかけに答えてさえくれれば特別なことはせんでもよい。」
「御意…」
朧様も若干引くレベルの早口で道場を選んだ刀睡さん。
「では、一先ずは以上じゃが、最後に凪月の試し斬りと行くかの。」
「ですが、修練場では距離に限りが…」
「八咫、行ける?」
「さあね、加具那岐になったばかりだからどこまでできるかはわからない、けどやってみるよ。」
「では、行くかの。」パチン
皆で一斉に修練場まで飛んできた。
「え!?私たちさっきまで天守閣にいたんじゃ…」
「そういえば月巴さんは初めてでしたね、魔王様の瞬間移動です。」
「それよりもどうするんだい八咫?まさか今から作り直そうってんじゃ…」
「そのまさかじゃ。」
「でも八咫の能力は武器を造るのと神眼じゃ…」
「能力が転成したんじゃ、今の奴は、万物を造りだせる。」
「さぁてと、転成してから初のお仕事だ、加具那岐さん‼」
「お呼びでしょうか、八咫鋼様。」
「あれが…転成した能力…」
「この広間一体を造り変える、大きさを変えずに視認する距離とかをブラす。」
「虚像を生み出す結界をこの広場一体に貼るのですね。」
「そう、虚像に攻撃を当てると本物のように反応するようにもして。」
「御意、幻術を使った実践戦闘の部分はいかがいたしますか?」
「そうだね、この修練場で訓練した者の動きをトレースした幻術体を生み出す機能を付けよう、以前の魔王様の本気の半分とやってみれば皆力つくだろうし。」
「御意、それでは開始いたします…」
「おぉお、空間が歪みだした。」
「見て‼奥の方‼」
「すごい、本物のようだ…」
「完了しました、初仕事はこんなものでしょうか?」
「うん、ありがとう、加具那岐さん。」
「礼には及びません、それでは…」
「ご苦労じゃ、八咫。」
「仕事したのは加具那岐さんですけどね…いよいよ僕の存在意義が…」
「いんや、あんたも十分頑張ってるじゃないか?」
「八咫の考える力があってこそ加具那岐さんも力を発揮できるってことだよ。」
「八咫とカグナギさんは一心同体なんだから、どっちかが欠けたら意味ないよ?」
「もっと自分の頭と腕、あと心を信じろよ、お前が出来るっていうのは俺が一番見てきたからな。」
「いずれお主はわしの傍らに立つ男なんじゃからな、他でもない”八咫鋼”じゃぞ?能力ではなくな。」
「ありがとう、みんな…」
「さて、もう湿っぽいのは無しじゃ‼八咫、どうやるのか説明せい、月巴は位置につけい。」
「「はっ‼」」
朧様と八咫、月巴が準備している中、後ろで残りの4人は何やら話していた。
(なぁ…さっき魔王様さぁ…)
(あぁ…傍らに立つ男って言ってたよな…)
(普通優秀な奴を指すんだったら右腕になるとか、左腕になるとかじゃない…?)
(でも、傍らって…すぐ近くって意味だよね…)
(まさか…)
(そのまさかだろうね…)
(まぁ無理もないさ…血のつながってない男女が二人で同じ屋根の下にいれば…)
(何も起きない方が不思議ってもんか…)
(あんたら二人もね…)
((!?))
(気づいてないと思ってんのかい?私は恋の匂いには敏感だよ?特に初々しい物のね…)
(その嗅覚は魔狼族以上ですね…)
「お主ら何をしておるんじゃ?」
「いえ、何も…」
こうして狼牙・白狼・刀睡・佐助の中で、甘酸っぱい秘密が出来た、なおこの会話には入っていないが加具那岐さんもこの甘酸っぱい秘密を知っている。
「まぁ良いか、では始めるぞ。」
「はい‼」
「さてと…じゃあこいつでいいかな…」
虚像の空間で八咫は何かを映し出した、だが何かは小さすぎてわからない…
「なにを映したんだ?」
「大体100km地点に石孔雀一頭、しかもめっちゃ動くやつ。」
「石孔雀ならわかりそうな気もするが…こうも離れると何も見えないな…」
「動きが単調で分かりやすい…」
月巴はそう言うと、弓を引き絞り…位置調整し…放った。
「ふぅ、体は堅そうだから頭を狙ったけど、動きまわるから狙いずらかったなぁ。」
「当てた…のか?」
「遠すぎてそれすらわかんない…」
「一応こっち側ではわかるけど…うん、当たってるね、しっかりと頭に…」
「石孔雀の頭って結構小さかったよね?」
「それをあの距離で的確に射貫くたぁ、なんて腕だい…」
「試し打ちはこれでいいですか?」
「いえ、凪月はそれだけじゃないんです。」
「え?他にも機能が?」
「ここを、こうして…こうすると…」
「おぉ‼薙刀になった‼」
「薙刀の試し斬りの相手は…こやつにするかの。」
「あれは、”亡武者”、しかも薙刀持ちか…」
「薙刀同士の戦いか…これは面白くなりそう…」
ドゴーン‼
突然何かが勢いよく落下してきた、辺りは粉塵に包まれた。
「ゲホッゲホッ、みんな大丈夫!?」
「ゲホッ‼何とかなぁ…」
「急になんだ?匂いはしなかったぞ?」
「虚像空間でも匂いは検知できるはずじゃぞ?」
「てことは、また転生者かい?」
「そうだとしても、何でこんな短期間で?」
やがて粉塵が晴れてきた、そこに立っていたのは…
「ふぅ…やれやれ、何なのだ?この国は?」
その姿を見て朧様と八咫は瞬時に武器を構えた。
「何なんだこっちのセリフじゃ…」
「そのなり…天使様が何の用だ?」
「「「テンシ?」」」
「は?お前ら天使を知らないのか?」
「そんなものはこの世界にはいないぞ?」
「随分と口が過ぎるなぁ、天使を知らないとはな…神への冒涜に値するぞ?」
「だからそんなものはこの世界にはいない、いるのは人間と魔族だけじゃ。」
「何だと?じゃあ…ここは…」
「天使を知らないってなると…この世界の奴じゃない…」
「てことは…」
「「別の異世界からの転生者!?」」
続く…
この度はオタク学生が異世界で勇者として転生したけど魔族達に味方しますを読んでいただきまして誠にありがとうございます。
作者の妖峰輪廻です。
さぁ今回は新キャラとしてまさかの天使が登場しました‼あまり魔族が味方サイドの物語で、天使が味方サイドに来るというのは見たことがないので、少し斬新さを入れようということで、天使を入れました‼
天使の名前や性格などは、次回明らかになるのでここでは明言いたしません。
ということで、今回の後書きは短いですがこれにて終了です。
最後に、本編では語れない描写やキャラクターのプロフィールをまとめた番外編も同時に制作しているので良ければ覗いて行ってくださると幸いです。
それではまた次のお話でお会いしましょう。