秘境霊峰の温泉
「オンセン?」
「ああ、簡単に言うと天然の風呂だ」
「お、お風呂ですかっ⁉」
このゲーム世界にも風呂は存在する。
本編だと王都の学園生活が中心だったので普通に大浴場はあったが、温泉というのはなかったな。
この世界の風呂事情というのは、異世界モノにありふれているように高級品の贅沢品という扱いだ。
大貴族や大商人が自分達の権威や財力を見せつけるために、派手な風呂と魔石をふんだんに使った豪華なものを作る。
そういうのは当然庶民の手には届かない。
唯一ホタルの故郷であるサクラ国だけは庶民にも風呂があるという設定のみが明かされる。
「お、お風呂ッ……お風呂なんですか?」
「ああ。温度も丁度良いし、危険な成分は含んでなさそうだ。入れるぞ」
「うわっはぁ~! お風呂だ~~~~♪」
一番先に大喜びの感情を解放したのはホタルだった。彼女は風呂に入ったことはない筈だが、概念としては知っているのかもしれない。
「シビル君、一緒に入ろうよ」
「そうだな。皆一緒に恋人になった記念もあるし、裸のお付合いといこうか」
「は、はわわっ……♡ し、シビル様と裸のお付合い♡」
「うむっ。風呂というのも贅沢なのに、主にご奉仕できるとは幸福の極み」
ホタルに続いてフローラもセイナもいそいそと衣服を脱ぎ始める。
つい先ほどまで緊迫した戦いの連続だっただけに、心を解放できるこの瞬間を全力で楽しんでいるようだ。
しかしこちらを見ながら恥じらいの表情で服を脱ぐ手が止まる姿は萌えのひと言である。
「んおっ……ちょっと深いな。座ってリラックスするには適していないようだ」
お湯に浸かれるだけありがたいが、中腰にならないと肩まで浸かれない。
中途半端な深さなのでどっちかっていうと熱々の温水プールって感じだな。
「心配ないぞ我が主。先ほどの戦いで新しい技を身につけた……。むぅうんっ」
「わわっ、セイナちゃんが大っきくなった」
「龍化スキルの応用で、龍の特徴を出さないまま体だけ大きくするコントロールを身につけた」
「へえ、凄いなセイナ」
こんなのゲームにはなかったぞ。ここでも特別感のあるスキルを身につけたらしい。
「さあ我が主よ、私の上に乗って存分に湯を楽しんでくださいませ♪」
「え? セイナの上に乗れってこと?」
「その通りにございます。岩場でゴツゴツしていてはリラックスできません。是非私の体を敷物としてお使いください」
セイナは自ら岩風呂の中に入り、両手を広げて誘ってくる。
体の大きな彼女は確かに俺の体をスッポリ納めてもまだ余るほど大きい。
それにプラスして、このシビルの体は背があまり高くないのだ。
今の時点で190近くあるセイナに対して、俺の身長は155センチくらいしかない。
「そうか。でもそれならホタルたちを先にしてやってくれ」
「お気になさるな。3人分程度の重さなど、私には何の問題にもなりませぬ」
「せ、セイナちゃん、大丈夫なの?」
「もちろん大丈夫だ。こういう時のためにデカい体をしているのだ」
「そ、そうか。じゃあお願いしようかな」
セイナの座った膝の上に腰を下ろし、背中は彼女の大きくて弾力のあるおっぱいに包まれる。
おおふっ、これは温泉とは違う意味でポカポカして気持ち良いぞぅ。
「ああ、良い気持ちだ。温泉のあったかさに加えてセイナの体温も心地良い」
「光栄の極みにございます我が主」
セイナの乳房にはコリコリとした乳首がしっかりと現出していた。
褐色の肌にピンク色のコントラストが美しい。
彼女達も意識すれば肉体はエロ同人仕様になるらしい。
「ああ、我が主の背中の感触……。それを支えることができる至福の極みにございます」
セイナはさっきから極みが多いようだ。幸せそうだからいいんだけどね。俺も嬉しい。
「さあホタル、フローラも遠慮なく乗るがいい。みんなで一緒に入ろう」
「ありがとうセイナちゃん」
「セイナさん、痛かったら言ってね」
「問題ないぞホタル。君たち三人の体重くらいでは、この体はビクともしないからな」
確かに天然の岩場はゴツゴツしていてゆっくり浸かるために座るのに適していない。
セイナの弾力がありつつも、しっかりと女の柔らかさを有している肉の座布団とでもいうべき膝とおっぱいの感触で心地良く浸かることができる。
「ああ、いいな……我が主に組み敷かれている時と同じくらい心地良いぞ。岩に食い込む皮膚に掛かる体重がミシミシと……」
なんか危ないことを言い始めたぞ……。
セイナも中々極まっている。
彼女の場合、夜の営みの時は退廃的なドMになる。
自ら椅子になって、そのうえに乗っかってフローラを抱いた時は、その振動だけで絶頂していたくらいだ。
「ふわぁ~、気持ち良い~」
ホタルは俺の膝の上で気持ち良さそうに伸びをする。
戦いの連続で疲れ切った肉体に温泉の温かみが染みこんでくるようだ。
「この温泉というお風呂、お湯に多量の魔力が含まれているようです」
『この霊峰ドラグニートにはマナが豊富な大地の流れの合流地点が存在している。魔導師であるそなたなら、浸かっているだけで魔力の底上げになるだろう』
「ほ、本当ですか」
「それならここのお湯をアイテムボックスに収めておくか」
「液体を収めておく容器がありませんけど」
「ああ、俺のアイテムボックスは改良してある。液体そのまま入れておいても他と混ざることはないよ」
「え、ほ、本当に。それって凄い魔法ですよ。アイテム化できるなら国宝級です」
「そうか。じゃあ平和になったら売りさばいて一財産儲けるか」
「や、やめた方がいいですよ。絶対目を付けられます。下手をすれば誘拐されるかも」
「まあその辺はエミーがなんとかしてくれるだろ。さて、とりあえずこれからの方針だけど、そこら辺を話しておこうと思う」
俺の言葉に全員の顔に緊張が走る。
「まず、あと10日ほどこのドラグニート周辺のドラゴン達相手に修行しようと思う。俺は皆の強さを数値化できるスキルを持ってるから、十分だと判断したら魔王の元に向かおう」
「ま、魔王がどこにいるかご存じなんですか?」
「ああ。俺の知っている通りなら、魔王はここから北西にあるベルクリフト大森林の奥地にある遺跡ダンジョンの中で誕生し、その後で魔皇国の北にあるバレルゴール山の中腹に城を建設するはずだ」
正確に言うと魔王の元となる邪悪な意思みたいな奴が遺跡の奥で目覚め、そいつに取り憑かれた魔族の1人が魔王として覚醒するはずだ。
『ふむ。確かにあの方向には奇妙な魔力を感じておりました。魔王であったとは。今はそれほど強くは感じませぬが』
「ああ。今はまだ魔王として覚醒していないはずだ。奴が覚醒すると世界中の魔物が凶暴化するから、それが合図となって戦争が起こる筈だ。できればその前に決着を付けたい」
『では我の背中で遺跡までご案内いたしましょう。その魔力の出所なら把握しております。上空から乗り込めば大森林の迷路を通らずに済みましょう』
「本当か? それはありがたいな」
ベルクリフト大森林は、RPGに一つは出て来そうなテンプレダンジョン、『迷いの森』と呼ばれるほど広大な森林地帯となっている。
途中にエルフの国である『ベルクリフト王国』があり、そこを拠点としてダンジョンを攻略するのが本筋だった。
『ふむ。あの国ならば我を信仰している筈なので拠点にすると良いでしょう。遺跡のダンジョンはあの国のエルフが管理している筈なので、一度立ち寄って我が許可を出させましょうか』
「それはありがたいな。頼むよサダル」
『御意』
渡りに船だった。小説本来の流れだと、ホタル達はエルフから誤解を受けながら戦いに巻き込まれ、和解するまでに時間が掛かる。
確か遺跡の奥にある深淵部――、つまり魔王の意思が誕生しているフロアの入り口を封印しているのはエルフ族の使う精霊魔法で、それを経由しないと奥に入れなくなっている。
「では次なる目的地はエルフ王国の首都、タークフォレストですね」
「ああ。その前にまずは修行だ。明日からまた大変だから、今日はゆっくり疲れを癒やそう」
「あ、あの~シビル君」
「どうしたホタル?」
「えっとね、今日さ、いっぱい戦ったし、セイナさんもフローラさんも、いっぱいいっぱい頑張ったよね」
「そうだな。みんな立派な戦いだった」
「それに、シビル君も沢山戦って、私達を守ってくれたし……」
何か言いたげにモジモジと言葉を遠回しに紡いでくるホタル。
もうここまで言われれば何がしたいのかよく分かる。
だけどホタルの口から言わせたい。
「うむっ! 我が主の昂ぶった熱をぶつけてほしいっ!」
「わ、私も……ご褒美、ほしいです」
遠慮の無いセイナと乗っかるフローラ。
「はは。それじゃあお疲れ様会を開こうか」
「えへへ、言わなくてもわかっちゃう?」
「言わせたいな。ホタルは何をして欲しいんだ?」
「そ、それはその……え、エッチ、してほしい」
そんな奥ゆかしい反応を見せるホタル。
俺が戦いの熱量をぶつけてハッスルしてしまったのは言うまでもない。
『よっしゃぁあっ! そうと決まればミルメットちゃんの出番ですよっ!』
大はしゃぎするミルメットのゲスな煽りを聞きながら、ヒロイン達との時間をたっぷり楽しんだ。




