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第41話 そして今に至る

 それから俺たちは最奥目掛けて突き進んだ。幸いな事に邦夫が杉戸たちを後ろに下げながら進んでくれたおかげでスムーズに進めている。

  

 当然途中にはモンスターもでてきたが邦夫はこのダンジョンのレベルで考えると十分強く一見すると俺が手を出すまでもないように思えた。


 しかし今後の事を考えればあまり良いことではない。杉戸の鞭の効果で大人しくしているが後に警察に引き渡す必要があるわけだしな。


 そうなると邦夫のレベルを上げても意味がないしその結果杉戸の鞭の効果が薄れないとは言い切れない。


 なのでここは杉戸に上手いこと邦夫に命じてもらい援護に徹してもらい、ある程度弱らせたところで杉戸や柔剛やカブトがトドメを刺すというやり方に徹してもらった。



「はぁ!」


 杉戸が鞭をしならせアリのモンスターに命中させる。一部のアリは杉戸に近づこうとしたがそれを邦夫が阻んだ。


「今だ! 柔剛、カブト」


 モンスターが邦夫に跳ね除けられたのと確認し俺の指示で柔剛とカブトが攻撃した。カブトの突撃でアリの頭が砕け、柔剛の背負投でアリが地面に叩きつけられた。邦夫の援護のおかげでここまででレベルがあがり柔剛も小学生とは思えない程の力を発揮していた。

 

 カブトも見た目はただのカブトムシなのだが戦闘力は間違いなく上がっているな。一方で援護を徹底させた邦夫のレベルは上がっていない。流れとしては完璧だ。


 そして順調な歩みで俺たちはいよいよダンジョンの最下層にやってきた。なぜわかったかと言えばこのフロアにこれまでと明らかに系統の異なるモンスターがいたからだ。


 それは巨大な蜘蛛だった。見るからにこのダンジョンのボスといった感じだ。蟲だらけのこのダンジョンらしいボスだが、とにかくデカく更に周囲には配下の蜘蛛も従えている。配下はボスの蜘蛛よりは小さいがそれでも大型犬程度の体躯は備えていた。


「な、なんか気持ちわりぃな」

「皆! 気をつけてね!」

「御主人様には指一本触れさせねぇぜ!」

「ギィ!」


 杉戸たちも抗おうとしてくれているけどな、流石にこのレベルはキツイだろう。ボスは俺が相手して配下の蜘蛛も出来るだけやっておきたいところだ。


「ウィンドステップ!」


 俺は風魔法で移動速度を上げて真っ先に敵の群れの中に突っ込んだ。そして更に魔法を行使する。


「ワールウィンド!」


 魔法によって発生した旋風で配下の蜘蛛が吹っ飛んでいった。どの程度かと思ったがこの程度なら問題なさそうか。


「す、すげぇ」

「お兄ちゃん凄い!」

「ギィ!」

「へ、な、中々やるじゃねぇか」


 俺の魔法を見て杉戸たちからも感嘆の声が漏れていた。多少は心地よい気分でもあったがボス蜘蛛の背中から更に追加の蜘蛛が飛び出てくる。


 こいつ子ども感覚で蜘蛛を生み出すのか。前言撤回やっぱ面倒だな――


「ロックサークル!」


 土魔法を行使。岩石が幾つも浮き上がり衛生のように俺を中心に周り始めた。俺の意思で自由に飛ばせる岩石だ。これでとりあえず片付けていこうと思ったが――予想以上に数が多いな……。


「お兄ちゃん! 僕たちにも任せて!」

「お、おうよ! レベルも上がったし新しい技だって覚えたんだぜ!」

「ビィ! ビィ~!」

「あんただけにいい格好はさせないぜ!」


 お、おお……何か随分と頼りになることを言っているな。邦夫に関しては本当に、今だけは別人のようじゃないか。


 しかし、ここに来るまでにレベルが上がったとは聞いている。配下の数も多い。途中までの戦いぶりから見るに少しは任せてみてもいいのかもな――

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