表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/44

第4話 迷宮喰らい

 ダンジョンと宝箱は切っても切れない仲だ。ダンジョンの中には定期的にこういった宝箱が出現するからだ。

 

 正直仕組みはよくわからないが、元の世界ではダンジョンが外から餌をおびき寄せるために用意しているともされていた。


 そういう意味ではダンジョンも生き物みたいなものかもしれない。


 どちらにしてもこうして見つけたのだから開いて見るとするか。一応罠が無いかを調べておく。


 あ、やっぱ罠だ。でも開けたらちょっとした毒ガスが出る程度だな。このぐらいならちょちょいのちょいと。


「よし解けた!」


 思わず言葉が漏れた。腕も落ちてないな。宝箱を確認すると中には袋が一つはいっていた。


 これは、魔法の袋か。元の世界では馴染みの魔導具の一つで、見た目以上に物が入るのが特徴だ。


 まさかこんな便利アイテムが手に入るなんてね。ここはそこまで難易度の高いダンジョンではないから、この袋もそこまで容量が大きいわけじゃないかもだがこれがあるとないとじゃ大違いなのも確かだ。


 でも、これでダンジョンで嵩張るものが手に入ってもある程度は大丈夫か。


 そう思いつつ魔法の袋を回収。腰に吊り下げ探索を続けると更にもう一つ宝を見つけた。


 こっちにはこれといった罠は掛けられておらず中を確認すると金貨と石が詰まっていた。


 金貨はわかるけど石の方が多いな。何で石? と思ったがこれ鉱石か。見た感じこれも金っぽいな。金の鉱石ってことだ。


 折角だからこれも貰っておく。なにかの役に立つかもしれないしやっぱりこういったお宝を見つけるのもダンジョンの醍醐味ではあるからな。


 石は当然嵩張るが早速さっきに手に入れた魔法の袋が役立った。


 元の世界でもダンジョン探索の時にこれがあるとないとで大違いだったからな。


 それから先も敵は大したことなかったのでスムーズに探索は進んだ。途中に更に宝箱を二つ見つけた。中身は宝飾の施された短剣やポーションだった。


 そして地下五層――奥へと進むとこれまでの魔物とは異なる魔物が出現した。


 見た目はスライムだがゼリー状の体の中に目玉がプカプカ浮かんでいて気味が悪い。通常のスライムよりも大きく成人男性ぐらいそのまま飲み込めそうだ。


 おそらくだがダンジョンが用意したボスだろう。元いた世界でも最下層にはダンジョンのボスが現れた。長いダンジョンだと中ボス的なのもいたりした。


 ボススライムは半透明な体を伸ばし触手のようにして攻撃してきた。


 粘液も飛ばしてくるし面倒な相手だ。それほど難易度の高いダンジョンではないとは言え、最下層のボスは通常の魔物よりも遥かに強い。


 油断していい相手でもないか。ボススライムは一度に無数の触手を伸ばしてきた。

 

 それをウィンドステップの魔法を行使し避ける。更にフライトの魔法で頭上を取った。


 本体の中にプカプカ浮いていた目玉が忙しなく動いている。こいつ目に大分頼っているが一つの目玉じゃ立体的な動きについてこれないようだ。


 とは言えフライトの魔法はそこまで空中で機敏に動き回れるわけではない。


 相手が俺を見失っている間に――


「風魔法・ウィンドアロー!」


 これは中級の風魔法だ。風の矢を放ち相手を攻撃する。一発一発の威力はそうでもないのだが魔導力がある程度高ければ連射が出来る。

 

 俺は風の矢を連射しゼリー状の肉体を削りながら遂に本体の目玉を貫いた。

 

 それで終わりだった。ボススライムが消滅し後に宝箱が残された。中には指輪が入っていた。


 この手のアイテムはなんらかの魔法の効果が付与されている場合も多い。なにかの役にたつかもしれないから身につけておくとするかな。


 鑑定の効果でもあれば指輪の効果もわかるんだけどな。まぁでも悪いものではないだろう。


 さて、ただのダンジョン攻略だとボスを倒して宝箱を手に入れた後はそのまま引き返すことも多い。


 既に現れているがボスを倒した後外に脱出できる転移の魔法陣が現れることも大きいだろう。


 だが俺の目的はこのダンジョンを消すことだ。ダンジョンコアを破壊してしまわないといけない。


 ダンジョンもコアを破壊されたくないから素直に場所なんて教えてくれないけどな。


 だから自分で怪しいところを探す。幸い元の世界の経験で何となく怪しそうな場所は予想がついたりする。


 ここかなと思うところで壁をたたきながら耳を澄ますと音で一部の壁が薄いことがわかった。殴るとあっさり破壊された。


 崩れた先は通路になっていて先に進むと翼の生えた面長な魔物が立っていた。その後ろに巨大化した心臓のようなコアが見える。


「馬鹿な、人間がこんな場所にまでくるとは」

「知能があるタイプか。なら聞かせてもらおうか。何故本来ダンジョンのない地球にコレがある? お前の目的はなんだ?」

「我は大いなる意思の下に生まれし存在。このダンジョンを守り育てることこそが使命」


 言うが早いか手から岩の槍を放ってきた。話は通じそうにない上、明確な質問の答えも持ってなさそうだ。


 知能はあっても目的はダンジョンを守ることだけらしい。まぁこの程度の低層ダンジョンの主が詳しいことを知るわけもないか。


 とは言えさっき相手したのがボスならこいつはダンジョンの大ボスだ。当然これまでの相手よりも手強い。


「ウィンドカッター!」


 風の刃で大ボスを攻める。しかしわりとすばしっこい。


 翼をはためかせ空中に逃げて俺の魔法を避けていく。


 そして大ボスの周りに岩が幾つも浮かび上がり、それを同時に放ってきた。


「これは避けきれないか――」


 両腕を正面で交差させて防御を固めた。だが避けきれないと思った一発が当たる直前に跳ね返されて大ボスに戻っていった。


 これはもしかしたらさっき手に入れた指輪の効果かもな。反射の効果でも付与されていたか。


 自らの攻撃が戻ってきたことで焦ったのか空中で大ボスのバランスが崩れた。


 その隙を見逃さない。


「風魔法・ウィンドアロー!」


 風の矢を大ボスに向けて連射した。全身を貫かれ大ボスの断末魔が轟いた。


 大ボスは力なく地面に落下し粒子になって消え去った。後には何も残らない。


 通常のボスと違いコアを守る大ボスは倒しても何もないんだよな。これまでそうだったし大ボスから何かを得たという話を聞いたこともない。


 この倒しても何も残らないというのがダンジョンコアの破壊を躊躇わせる理由の一つかもしれない。

 

 とは言え今暮らしているこの世界においてはそもそもダンジョンなんてトラブルの元でしかない。


 だから容赦なく壊させてもらう。奥には俺の胴体程ある紫色の水晶のような物がふわふわと浮いていた。


 これがダンジョンのコアだ。これを破壊することでダンジョンは崩壊する。

 

「こっちの世界では容赦なく壊させてもらうぞ!」


 俺は拳でコアを破壊した。コアは意外とあっさり壊すことが出来る。元の世界でも少しは壊したことがあったがこっちでもこれは変わらなかったな。


 そしてコアを破壊した後に発生した粒子が俺の中に取り込まれていき力が漲り、頭の中に声が響き渡る。


――コアの破壊により【迷宮喰らい(ダンジョンイーター)】の効果が発動しました。

――レベル18→レベル20へレベルアップしました。

――新たなスキル【土魔法】を取得しました。

――初級土魔法【ストーンボルト】を取得しました。

――初級土魔法【ロックサークル】を取得しました。

――中級風魔法【エアロハンマー】を取得しました。

――新たなスキル【鑑定阻害】を取得しました。

――新たな称号【現代迷宮の先駆者】を取得しました。


 おっと無事迷宮喰らい(ダンジョンイーター)の効果が発動したようだな。

  

 そう、これが迷宮喰らい(ダンジョンイーター)の特徴だ。破壊したコアの力を直接取り込む事でステータスが強化される。


 更にコアを取り込むと怪我なんかも治る。どんなにボロボロになってもコアを破壊できれば完全回復できるのはありがたい。


「さて急いでもどらないとな」


 コアを破壊した以上ダンジョンが崩壊するのも時間の問題だ。巻き込まれると厄介なので急がないといけない。


 ボスを倒した後に出現した魔法陣もコアを破壊してしまうと使えなくなる。


 だからダッシュで戻ったのだけど、何か体が軽いな。コアを吸収してレベルアップしたからかもしれない。とりあえず出て落ち着いてから改めてステータスを確認してみるかな――

ここまで読んで頂きありがとうございます。この先が気になる、更新が楽しみと少しでも思って頂けたなら、この下の★を増やしての評価やブックマークをして頂けるとモチベーションアップに繋がり励みになります。


本日は夕方にもう1話更新予定ですどうぞ宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 迷宮喰らいっていうんなら取り込むとかすればいいのに、マジでこの主人公バカ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ