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第39話 鞭の詳細

「凄い……こんなにあっさり倒せるなんて」


 杉戸が目を白黒させて呟いた。二人からみれば相当な強敵だったということか。


 だが付け焼き刃でステータスを得た程度の相手だ。スキルの使い方にもなれていないわけだからな。正直敵ではなかった。


「すげぇぜおっさん! これもステータスの力なのか!」

「誰がおっさんだ誰が」


 柔剛が興奮気味に言ってきたが、さっきからおっさん扱いが解せんぞ。まぁこの年の子からみれば俺はもうおっさんなんだろうが。


「えっと……ところでこの後、どうしたらいいのかな」


 気絶した邦夫を見ながら杉戸が困った顔を見せる。まだ幼い二人じゃこいつの扱いに確かに困るだろう。

 

 とは言えそれは俺も一緒だ。はぁ頭が痛い。この邦夫は勿論こっちの二人とカブトムシにまでステータスが備わってるんだからな。


「ビィ! ビー!」


 するとカブトが突如鳴き声を上げ奥の方に行ってしまった。


「ちょ! カブト勝手に動いたら危ないよ!」

「追いかけようぜ!」


 おいおい。結局二人もカブトを追いかけていってしまったぞ。たく、とりあず邦夫はまだ起きないだろうから俺も後に続いた。


「ビ~ビ~」

「あ! 宝箱!」


 俺が追いつくと杉戸と柔剛が目を輝かせて壁際のそれを見ていた。宝箱を見つけたか。ダンジョンではこういった宝箱がよく現れる。こういうのを生み出すことでダンジョンへの呼び水としているわけだ。


「早速開けてみようぜ!」

「待て待て迂闊に手を触れるな」


 宝箱に触れようとした柔剛を俺は制した。


「え? なんでだよ」

「宝箱には罠が仕掛けられてることもある。迂闊に触れると危険なんだよ」

「うん。確かにゲームでもそういうこと多いよね」


 杉戸は理解が早かった。ただしこれはゲームではない。現実である以上トラップ次第では死に直結する。


「そういえば途中の宝箱でも杉戸が言ってたな」

 

 柔剛が思い出したように言ったが、おいおい。


「途中にも宝箱があったのか?」

「う、うん。それには罠がなかったんだけど……」


 杉戸が答えたが、それは本当に運が良かっただけだぞ。


「全く。もう済んでしまったことを言っても仕方ないが気をつけてくれよ」

「う、うん。ごめんなさい」

「悪かったよ今度は気をつけっからさ」


 杉戸はもうしわけなさそうにしていて柔剛はあっけらかんとしていた。二人の性格は異なるが仲は随分と深めたようだな。


 とにかく宝箱のチェックは俺が行った。見てみたがこれも罠は特になかったな。


「問題なしだな。で、中身はっと」

 

 宝箱をゆっくりと開ける。杉戸と柔剛も興味津々といった様子だったが中に入っていたのは、一本の巻物(スクロール)だった。


「巻物?」

「なんだよこれだけかよ」


 中に入っていたのは青い紐で括られた巻物だった。柔剛はガッカリしてそうだがこの巻物には覚えがある。


「これは鑑定の巻物だな。これを鑑定したい道具の前で広げると知りたい道具の詳細が巻物に写し出されるんだ」


「へぇ。そんな便利なアイテムもあるんだ」


 杉戸が巻物を見て感心していた。


「ちょっと待てよ……杉戸これを使えばあれわかるじゃん!」

「あ、そうか!」

 

 柔剛に言われ思い出したように杉戸が口にしてズボンに巻き付けていたそれをほどいた。


「これ宝箱に入っていたんだけど」


 杉戸が見せてきたのは一本の鞭だった。革製のようだが宝箱から手に入ったということは確かに何か特殊な効果が備わっている可能性はあるな。


「これも見れるのか?」


 柔剛が聞いてきたが鑑定は武器でも問題ない。


「大丈夫だと思うぞ。ちょっと待っててくれ」

 

 杉戸が持っている鞭に意識を集中させて巻物の紐を解いた。巻物が淡く光り広げていくと鞭の詳細が文字として写し出される。


「どれどれ」


 俺は文字を読み取っていった。


------

名称:従属の鞭

種類:武器

ランク:A+

効果:この鞭で打たれた相手は従順になり言うことを聞くようになる。相手との関係性によって従順になるまでに必要な回数は異なる。

---


「…………」

「どうですか?」

「一体どんな凄い鞭だったんだよ教えてくれよ!」

 

 鑑定の内容を確認した俺に杉戸と柔剛が食いついてきているが、これはなんて説明していいものか困ったな――

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