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第37話 駆けつけた先のピンチ

 ダンジョンに潜ってから俺は気配を頼りに先を急いだ。なんとなく胸がザワつく気がしたからだ。その先で見覚えのある少年を見つけた。

 

 以前このダンジョンが出来た山で見た眼鏡の少年、確か杉戸という名前の子だ。それにもう一人も覚えてる。カブトムシを奪おうとしていた子どもだな。


 ただ、現在その二人は明らかに年上の少年に狙われていた。もう一人の方は年とは不釣り合いな凶悪な目をしていた。


 シャツやズボンにも血が染み付いていて手にも赤く染まったハンマーが握られていた。


 どう見てもヤバい状況だな。杉戸がどこで手に入れたのか鞭を振っているが使い慣れていないのは一目瞭然だった。逆に相手は杉戸に比べれば戦い慣れしてそうだ。


 杉戸の鞭は相手には通用しない。あっという間に距離を詰め、ハンマーを振った。俺はすぐさま杉戸との間に割って入りハンマーを受け止めた。


「おいおい。ガキがこんなもん振り回してんじゃねぇぞ」


 どういう状況かわからないが、とにかくこのまま見過ごしてはおけない。しかしこいつ、結構パワーがあるな。俺だから耐えられたが普通なら成人した男でも耐えられないだろう。


「……誰だおっさん?」

「あ、貴方は前の!」


 目の前の狂気じみたガキが怪訝な顔を見せ、後ろの杉戸は俺に気がついたようだった。


「よう。これ、一体どういう状況だよ」

「あんた前にいった変なおっさんだよな!」

「変なは余計だ!」

「ギィ!」


 前に杉戸からカブトムシを奪おうとしていた少年が叫んだ。俺を覚えていたようだが一言余計すぎだろう。そしてカブトムシが側で飛び回りながら鳴いていた。


 このカブトムシ、何か前と雰囲気が違うな。いや、カブトムシだけじゃない。杉戸もこっちの少年も何か違う。勿論それは二人を襲っていたこっちのガキもだ。


「オラッ!」

「おっと!」

 

 ハンマーを持ったガキが俺目掛けて蹴ってきた。避けたがその拍子にハンマーが相手の手に戻り距離が離れる。


「お前、この俺の攻撃を受け止めるってことはさてはステータス持ちか?」

「何?」


 思わず眉間に力が籠もった。こいつ今ステータスって言ったよな。しかも俺もってことは――


「……もしかして杉戸もステータスがあるのか?」

「え? あ、うん! 僕もだけど柔剛くんもカブトもステータスがあるよ。あとはそっちの邦夫にも……」


 杉戸が教えてくれた。その話に俺は頭が痛くなりそうだった。


「そんなにステータス持ちがいるのかよ……一体どうやったんだ?」

「えっと何か変わった蝙蝠を倒したら……」

「俺は杉戸のペットになったらステータスついたぞ」

「ギィ!」


 杉戸が言ってる蝙蝠は恐らく魔物だったんだろうが、柔剛の言ってる意味がわからんぞ。


「で、そっちは?」

「あん? ここに来たら妙ちくりんな生きもんが多かったからな。殺しまくったらステータスってのが手に入ったんだよ」


 やっぱり魔物を倒した影響か。ただこのダンジョンが出来た時期を考えると杉戸が倒した魔物はここのとは別か。もしかしたら前のダンジョンから抜け出していた魔物がいたのかもな。というかそれしか考えられないか。


「もしかして、貴方、えっと……」

「俺は飛斗(あすと)だ。まぁ似たようなもんだよ」


 杉戸が名前を知りたそうだったから教えた。ついでにステータスについても話をあわせておいた。本当はこっちに来る前からステータスは持ってるんだけどな。


「マジか。これで数なら俺たちの数だな!」

「油断は駄目だよ。飛斗さん! あの邦夫はレベルがもう13もあるんです! 気をつけないと!」


 レベルが13? あいつの話しぶりだとこのダンジョンには初めて来たような感じだったな。そう考えると確かにレベルが高すぎるな。ということはなにかしら成長系のスキル持ちってところか。これは確かに放ってはおけないな――

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