読者への挑戦
聖堂の扉は、開かれる。
その動き出した扉を、【表】からは八木黒彦が、【裏】からは的羽森子が見つめていた。
これより始まるのは、全てを解き明かす【解決編】。
その前に、この物語を追ってきた貴方に今一度問いかけたい。
それはもちろん、犯人は誰で、どうやったのか? ということだ。
不死身の人外が紛れ込み、何度も何度も同一人物が死に続ける異常な殺人劇とはいえ、その全ては説明がつけられるものだ。
むしろ、八木の視点と森子の視点、どちらも知り得る貴方こそが、真実に一番近いと言える。
犯人は誰か? それを正しく判断するためにも、今一度これまで出てきた不死鳥に関するルールをおさらいしたいと思う。
・ルール【鳳凰堂椿は有史以前より生き続ける不死身の人外であり、不死鳥。これからも真の意味で死ぬことは永久に無い】
・ルール【鳳凰堂椿は対象となる人間の完璧なコピーとなることができる。他の動物や無機物にはなれない】
・ルール【死後、鳳凰堂椿の体は五分後に再生が始まり、意識の回復までには一時間かかる】
・ルール【鳳凰堂椿が死から復活する時、死ぬ直前の姿と同じ姿で復活する】
これまで続いてきた、極楽島に立つ不死鳥館での連続殺人。
人間に化けていた不死身の鳥、鳳凰堂椿がこの島で命を落とすことは、これ以降ない。
不死鳥に関するルールも、これ以上増えることはない。
犯人の特定に繋がる物は今この時点で全て明らかになっている。
果たしてこの異常な殺人劇は未だ死亡者ゼロのまま、一体どこへと向かうのか。
どうか最後まで見届けてほしい。
長々と引き止めてしまったが、これでようやく――。
【表】と【裏】は一つになる。