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殺人館の不死鳥  作者: かなかわ
黎明編
3/38

第始章【表】不死鳥館の殺人

 命は、炎に似ている。


 煌めき、ゆらめき、温かい。


 人を温め、誰かを燃やし、誰かのものを消していく。


 物を動かす力となり、誰かの道を示す篝火ともなる。


 炎は、命に似ている。


 消える時は、音を立てず――。


 ※


 太平洋に浮かぶ島、極楽島に建つ、【不死鳥館】。その一室にて、ある炎が一つ、断ち切られようとしていた。

 断ち切る――それは、レトリックなどでは無く、文字通りであり、それ以上でも以下でもなかった。

 窓から差し込む月の光に照らされるのは、二人の人間だった。

 一人は直立し、一人は倒れ伏せている。

 一人は巨大な刃物を持ち、一人は倒れ伏せている。

 一人はそれを相手の首筋に当てがい、一人は倒れ伏せている。

 一人はその手に力を込め、一人は倒れ伏せている。

 一人は、その刃を――。

 一人は、倒れ伏せたまま、しかしその顔は天井を向いていた。

 一人は、その顔を、いや頭を、抱え上げ――。


 残されたものは、一つの首無し死体であった。


 そう、これから始まる物語は、二百年前に生まれた不死鳥伝説から続く首切り連続殺人事件。

 この第一の被害者は始まりに過ぎない。

 絶海の孤島、集められた招待客、腹に抱えた秘密の殺意。絡みゆく過去の事件。


 果たして、犯人は誰か?


「いやあああああああああああああああ!」


 そしてこの物語の開始のブザーは、その生首の発見者である、一人の少女の叫び声だった。


「どうかされましたか!」

「森子さん、離れましょう。見てはいけません」

「いやあっ! 椿ちゃん! いやあああ……」

「は、はあっ? どう言うことだよ!」

「月熊さん、こちらへは来ないで食堂へ!」

「なんなのよ……」

「馬鹿野郎! 見るな!」

「キャァアアアアアアアア! 何よこれ、なんなのこれ、何なのよこれえ! これ、何かのドッキリ? そうなんでしょ、みんなでアタシを嵌めてんでしょ!」

「少し黙れ!」

「本当に、鳳凰堂さんは死んでいるんですか……?」

「君は首を切られても生きている人間を見たことがあるのかね?」

「皆さま、落ち着いてくださいませ。まずは警察に連絡を……」


「椿、ちゃん……」


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