幕間
かくして、鳳凰堂椿の生首と共に殺人事件の幕は上がる。
けれどこの物語には、八木黒彦の目に映らない箇所がどうしても存在する。
解散後、八木は漆田羊介に出会った。月熊大和に出会った。大神狼華に出会った。
だが、その時他の人間はどこで何をしていたのか?
その答えは、もう一人の主人公が目撃している。
この物語は八木黒彦の視点を【表】とするならば、もう一人の主人公の視点は物語の【裏】を映す。
これより物語は時間を遡り、宿泊客が解散したあの時刻へと戻る。
物語の果て。【表】と【裏】が一つになる時。
この物語はどういった様相を呈するのか。
もしそれを考えていただけると言うのであれば、この物語に敷かれる絶対のルールを一つ、伝えようと思う。次の文章に嘘はなく、矛盾もなく、言葉の綾をとることもなければ、覆されることも、この物語において絶対にない事を誓う。
・ルール【鳳凰堂椿は有史以前より生き続ける不死身の人外であり、不死鳥。これからも真の意味で死ぬことは永久に無い】
なお、【ルール】は物語が進む中で追加、捕捉されることもあり、その場合はそれらしい文言と共に隅括弧で囲うものとする。