シン・モモタロウ ①「桃太郎」
「鬼を退治しに行って参ります!」
早朝、俺は村人たちの前で部下となった猿吉、犬夫、雉介と共に宣言した。
村人たちは万歳三唱だ。
村長は「あいつらが隠し持っている財宝を全て奪い取って来い!」と檄を飛ばす。
婆さんは泣きながら十八番のきび団子を渡してくれた。
「鬼と闘う前に必ず皆で食べろ。力沸くぞ!」
船に乗りこんで鬼ヶ島めざし、いざ出発!
しかし、心は浮かない。
なぜ、俺が鬼退治の隊長に選ばれた?
他の皆も鬼退治なんかやりたくない、敵うわけがない、どうせ死ぬんだと落ち込んでいる。
海に出て半日が過ぎたところで、大しけにあった。
荒れ狂う波に翻弄され、船はほぼ全壊。
そんな状態で、ある島に漂着した。
「みんな、無事か?」
俺は猿吉、犬夫、雉介に聞いた。
「ああ、なんとか生きてる」
「ここは鬼ヶ島か?」
猿吉、犬夫、雉介が不安そうに俺に聞く。
隊長の俺は自らを鼓舞するように言った。
「ああ、きっとそうだ。村に帰るには鬼を殺して船を奪うしかないぞ。そうだ、これ食え!」
婆さんから貰ったきび団子を皆で食った。
「なんだ、こりゃ!」
「めちゃくちゃ美味い!」
「うぉー! 体が燃える!」
皆、力が沸いた。
血が体中をグルグル駆け巡る。
頭に血が上ったのか、皆、酔っぱらったみたいに、顔が真っ赤になった。
元気百倍、一気に島に上陸し、駆けまわった。
もうやけっぱちだ。
「桃太郎様が成敗してくれる! 神妙にしろ!」
すると島民は口々に絶叫して逃げ出した。
「鬼だ! 鬼が来た! 逃げろー!」
最近、小説を書き始めました。
一人で書いているので、何でもいいのでコメントをいただければと思います。
よろしくお願いします。