表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/42

【出席番号28番】波高島 望(はだかじま のぞむ)

「若彦ー! アタシと一緒にイクよー!!」


今回登場する地域にお住まいの皆さま、および関係者の皆さま……まじ (馬路・島根県大田市)でごめん (後免町・現在の高知県南国市)。

 期末テストが終わり、これで2学期の行事は終業式と年末の大掃除くらいになった。今年も残すところあと1ヵ月だ。


 まぁ生徒のイベントはこんなものだが、我々教師は一般的な会社員同様、12月は年内に済まさなければならない仕事が多くて忙しい。中には「これ、年明けてからやってもよくね?」と思われる仕事も紛れ込んでいるが……。

 そんな中、たまたまこの日の放課後は自分の仕事が早めに終わり、いつもいる国語準備室ではなく職員室でコーヒーを飲みながら()()()()()休憩をしていた。

 オレにとって職員室にいるということは何のメリットもないのだが、唯一の楽しみが「美味しいコーヒーが飲める」ことだ。実は職員室にはコーヒーが好きな先生同士でお金を出し合って購入したコーヒーメーカーがあり、オレもその一員なので自由に飲むことができる。豆を挽いてから淹れる本格的な機械だ。

 コレがなかったら職員室に用はない。ま、もっとも今は自分の仕事が終わってヒマを持て余している時だ。ここで帰るそぶりを見せたり、ヒマなことがバレると他の先生から雑用を頼まれてしまう。オレはパソコンを開いて仕事をする「ふり」をしていた。それにしても仕事終わりのこの1杯は美味いなぁー。



「ねー、月美ちゃーん! どこがいいと思う?」


 さっきから隣のH組副担任の《御坂(みさか) 月美(つきみ)》先生の席で、ある生徒が話し込んでいてウザい……H組の《波高島(はだかじま) (のぞむ)》だ。お嬢様が通うこの学園には相応しくないギャルっぽい見た目で言葉遣いもいわゆる「ため口」だが、こう見えて旅行会社の社長の娘だ。小さいころから国内外、あらゆるところに旅行に行っているらしい。

 そんな波高島が、地理担当の御坂先生に何やら相談している……どうやら卒業旅行の行き先を決めたいらしい。推薦等ですでに進路が内定した人もいるだろうが、世間一般の高校3年生からしたら、これから受験が本番という人生がかかった大事な時期に卒業旅行の計画とは……この学園は世間離れしているなぁ。


「うーん、国内って言ったわよね? 温泉なんかどう?」

「あー、だったら乳頭温泉がいいなー」


 乳頭温泉か……確か秋田県にある温泉郷だ。3月でもまだ雪深い所だから卒業旅行でゆっくり旅するにはいい場所だなぁ……あぁ、羨ましい話だ。


「いいわねぇ、あそこは七軒の宿泊施設があるんだけど全部泉質が違うの! だから全ての湯を巡ってゆっくり浸かるといいわよ」



「へぇー、そっかぁ……()()()()()()()()()だなぁー!!」



 ――え? 今の表現おかしくないか?


 それを言うなら「乳頭温泉に浸かったらさぞかし気持ちいいだろうなあ」って言うべきところじゃないのか? 何でもかんでも略して表現するのは良くない! それに……今の言い方じゃ周囲に誤解を与えてしまうぞ! すると御坂先生が、


「あっでも望ちゃん、観光とかはするの? まぁ付近に観光地がない訳じゃないけど……どちらかというとあそこはゆっくり温泉だけを楽しみたい人向けよねぇ」

「あー、できれば観光やショッピングやグルメも楽しみたいなぁー」

「じゃあ北海道とかは?」

「あっ、いいねぇー北海道!」


 北海道か……そりゃあそこなら何でも揃っているだろう。食べ物もおいしいし、函館や札幌といった有名観光地もある。


「アタシ、洞爺湖に行ってみたいんだよねー」


 洞爺湖? 珍しい所に行きたがるじゃないか。まぁ以前サミットが開催された場所だし、それをきっかけに政治のことを勉強してくるのも悪くはないな。


「洞爺湖? あら珍しいわね……何を見に行くの?」


 すると波高島が大きな声で



「アタシ、()()島が見たーい!!」



 〝ブーッ!!〟


 オレは飲んでいたコーヒーを噴きだしてしまった。


「ケホッケホッ……オマエ、一体何を……」

「えっ若彦! 何、聞き耳立ててんのよー、マジキモい」

「そんなの聞く気がなくても聞こえてしまうわ!」


 すると御坂先生がクスッと笑って


「若彦先生、珍小島って洞爺湖と陸続きになっている小さな島の名前ですわよ」


 なんだそうなのか……っておい波高島! 御坂先生にそういうワードを言わせるなよ……だけど何で波高島はそんなところに行きたいんだ?


「でも望ちゃん、3月の北海道ってまだまだ寒いから防寒対策はしなくちゃね」

「そっ……そうかぁー、アタシ寒いの超苦手じゃん! やっぱムリ!」


 だったら乳頭温泉もムリじゃねーか! なぜそこを選んだ?


「やっぱ暖かい所……沖縄がいいなー」


 沖縄か……行ったことないけど3月でも暖かそうだな。首里城や水族館……いろいろ観光もできそうだ。


「やっぱ沖縄っていったら……アタシ()()行きたーい!!」


 〝ブブーッ!!〟


 オレは飲んでいたコーヒーを再び噴き出してしまった。


「なっ……オマ……まん!?」

「はぁ? 若彦、オマエ何考えてんの? 漫湖って那覇市(と豊見城市)にある湿地帯だよ! 街の中に自然の風景が広がって希少な鳥とかいて……ラムサール条約に登録もされていて近くには漫湖公園もあるんだよ」

「あ……あぁそう……か……い」

「そういや若彦さぁー、アンタいつも出席とるときアタシの名前でエロいこと想像してない?」

「しっしてねえよ!」

「そぉ? この前なんか『のぞむ』を『のぞく』って言い間違えてなかった? てっきり若彦ってヌーディストビーチ覗きたい願望があるのかと……」

「言い間違えてねぇし願望もねぇよ!」


 そう、この波高島という生徒は苗字の読みが「はだかじま」、つまり「裸の島」になってしまうのだ。ニュアンスを間違えると「ヌーディストビーチのあるアイランド」と捉えられかねない……名前を呼んだだけでセクハラになる。なので名前を呼ぶときは邪念を捨てごく自然に呼ばなければならない。

 それにしても……波高島は偶然()()()()地名のところばかり選んだワケではないよな? 明らかに狙っているとしか思えん。


「でも望ちゃん、漫湖は見に行くだけなの?」


 ――だから御坂先生にそういう言葉を言わせんじゃねぇよ!


「あ、アタシ絵を描くのが好きな人じゃん!?」


 初耳だよ! とりあえず波高島の話は聞かないようにしよう……無視無視! オレはパソコンで仕事をするふりをしながら再びコーヒーを味わっていた。


「だからさぁー、漫湖の風景をス()ッチしたいんだよねぇ……あれ? ス()ッチだっけ? あーよくわかんないや!」


 ――あぁもう気になる! それを言うならス()ッチだろ!?


「いいや日本語で! アタシ()()()()()したーい!」


 〝ブブーーッ!!〟


「若彦! もぉさっきから何いちいち反応してんだよ! こっちは旅行の話をしてんだよ……何なの? どうせ何かエロいこと考えてたんだろこのヘンタイ!」


 くっそぉー! わかっていても耳から入ってくるのは公の場所で口に出してはいけないワードばかりだ! どうしても波高島の(ペース)に飲み込まれてしまう……。


「望ちゃん、さっきから国内ばかりだけど……海外は? 春休み長いし、それに望ちゃん海外慣れてるでしょ?」


 まぁそうだよな……波高島はすでにこの歳で、海外の有名な都市はほとんど行ったことがあるらしい。それにしても御坂先生の前振りがフラグにしか思えなくなってきたのは気のせいか?


「あー、そういえばマリリン(多麻 鞠)がバリ島行くって言ってたよ!」

「あら? 鞠ちゃんはバリ島なの? いいわねぇ」


 へぇ、多麻はバリ島か……バリ島と言えばビーチリゾート、確かアイツはビーチハンドボールやりたがっていたからその繋がりか?


「キンタマーニ高原見たいんだって! 向こうに着いたら()()()()()()()()()マリリンの顔写真送ってもらおうっと」


 〝ブブーーーッ!!〟


 そっちかーい! どこまでタマが好きなんだ多麻(アイツ)は……。


「若彦! キンタマーニって有名な観光地だぞ! キンタマーニなめんなよ」

「い、いやなめてはいないが……」

「もう! 若彦はここにでも行ってろ!」


 と言って波高島が差し出したスマホの地図には……「スケベニンゲン」というオランダの都市が表示されていた。


「で、望ちゃんは行きたいところあるの?」

「アタシはぁー……中央アフリカ行きたーい」


 中央アフリカ? あまり聞かない場所だな……まぁどうせ理由は、



「チンコ川見たーい!」



 ――やっぱり! もう驚かないぞ。


「チンコ川? あそこは自然保護区だから野生のゾウとかいるらしいわよ」

「え? ゾウ()()……」


 おい何だよ「並み」って言葉どこから出た? それとさっきから御坂先生も、言わなくていいのにわざわざ地名を復唱していないか?


「チンコ川って確か、源流から合流地点まで全て中央アフリカ国内なんだよね?」

「あら? 確か合流地点はコンゴとの国境だったはずよ」

「えぇっ!? 中央アフリカだけじゃないの? コンゴと被っているんだ」


 ――おい、それってショックを受けるほど重要な問題か?


「ねぇ若彦……()()()()()()()()()?」

「知らねぇよ!!」


 ていうかなぜそれをオレに聞く?


「でも望ちゃん、中央アフリカは治安が悪くてレベル4の退避勧告が出ているからチンコ川行ったらダメよ!」

「えぇそうなんだ……ムリじゃん」

「他にはないの?」

「んーとねぇ、場所がまだよくわからないんだけど……中東の方にマンジルって場所があるらしいんだよねー」


 〝ブーッ!!〟


 オマエ場所知らないって……地名優先で決めているのかよ?


「でもねー、さっきから『マンジル 地名』って検索してんだけど全然出てこないんだよぉ……()()()()()()()()!」


 〝ブブーッ!!〟


「望ちゃん、マンジルって地名じゃなくてホテルの名前じゃない? 確かモロッコやドバイにあったような……」

「え? じゃあ『マンジル ホテル』で検索っと……あっ、出た出たー! 気持ちイイー! ()()()()()()()()()()()!」


 〝ブブブーッ!!〟


「もう若彦うるさい! お前みたいなスケベニンゲンは中国の洞庭湖にでも沈めてやるぞ! この童貞がっ!」


 おい、最後フツーにディスったよな!? ダメだ、波高島がいるとコーヒー何杯あっても足りない。


「モロッコとドバイじゃずいぶん離れているわね? どっちにするの?」

「うーんわかんない……じゃあいいや、他の国にしよっと! あ、カナダがいいかなぁ……森林や湖の絶景があるし……」


 カナダか……そういえばカナダにはモレーン湖という景勝地があったよな? オレも行ってみたい場所だ。 だが波高島のことだ、おそらく……



「湖に行きたーい! チン湖とオマン湖ー!!」



 〝ブブブーーーッ!!〟


 ――ダブルで来やがったぁああああ!!


「チン湖とオマン湖、合わせて行きたーい!」


 も……もうコイツが帰るまでコーヒー飲まねぇぞ。


「望ちゃん、オマン湖って確か2ヵ所あったはずよ……どっちのオマン湖のこと言ってるの? 私はノースウェスト準州だと思っていたんだけど」

「アタシはサスカチュワン州だと思ってたけどぉ……えー、どっちがいいんだろ? 決められないよー」


 どっちでもいいわ! っていうかなぜ御坂先生はコイツの話に合わせられるんだろう? むしろ楽しんでいるようにも見える……憧れの人だが、何か変な人だ。


「あっそうだ! 若彦に()()してもらって決めよう」


 いや何でオレが決めるんだよ? しかも投票って……?



「ねぇ若彦! アタシの(推す)オマン湖と月美ちゃんの(推す)オマン湖、どっちに入れたい?」



 え? そっそりゃあもちろん御坂先生のオマ…………って、


「答えるワケねぇだろぉおおおおおおお!!」


 もうやってられんわ! オレは職員室での仕事(コーヒーブレイク)を切り上げ国語準備室に移動することにした。今ここで帰ると他の先生に雑用を押し付けられそうだから、明日に回していた仕事をやってから帰ろう。



 ※※※※※※※



 ――結局残業してしまったな……まぁいつものことだが。


 夏の間はこの時間、まだうっすらと明るかったが今は真っ暗だ。そりゃそうだ、もうすぐ冬至がきて今年も終わりだ。


「あっ、若彦ーっ」


 ――げっ! 校門の前に波高島が居やがった。


「オマエ何してんだよ? こんな時間まで」

「えへっ、月美ちゃんと話し込んでいたらさぁー遅くなっちゃったぁー!」


 御坂先生もこんなヤツに付き合わされて気の毒に……。


「若彦ー、よかったら一緒に帰らない? こっちの方でしょ?」

「他に帰るヤツいないのか? だったらいいけど……」


 こんな遅い時間に女子生徒が1人で帰るのは危険だ。ましてや波高島はこの容姿(ギャル風)……誘惑が多いだろう。

 駅の向かって波高島と並んで歩いた。そういえばコイツに関して、ひとつ気になることがあったので聞いてみた。


「なぁ……そういえばオマエ、この間の進路希望調査でウチの大学から専門学校に変えたよな? 何があったんだ?」


 そう、ウチの学園は基本的に大学までエスカレータ式だ。なのでほとんどの生徒は学園の大学進学を希望する。


「あぁ、あれ? 最初は大学の外国語学部を希望していたんだけど……アタシ、ツアーコンダクターになりたいんですよ! で、観光関連の学部がウチ(の大学)にはないから、専門学校で学んでから旅程管理主任者資格を取ろうかなって……元々語学は得意だし……」


 そうなんだよな……コイツはこんな見た目だけど5か国語を話せる才女だ。


「でも……いずれはお父さんの会社を継ぐんじゃないのか?」

「うん、いずれは会社で事務仕事だろうけど……やっぱり、旅行者の気持ちにならないと良い旅は提案できないと思うんだよね。だから……アタシも旅が好きだから世界中飛び回って、旅行者の気持ちに寄り添えるツアコンになって経験を積んでいきたいって思ってるよ」


 波高島は目を輝かせて答えた。そうか、それで進路を変更したのか。何も考えていないように見えて、コイツはちゃんと将来のこととか考えているんだな。


「ところで波高島、旅行の行き先は決まったのか?」

「うん、ロシアに行くことにしたよ……モスクワ! 歴史的な建築物とか美術館が多いから……ほら、アタシ絵を描くのが好きな人じゃん! 小学校以来行ってないから楽しみなんだぁ!」


 いやだからオマエの美術好きは初耳だっつーの! それにしても小学生でロシア旅行か……中流階級のオレには縁のない世界だ。


「モスクワだけなのか? 他にどこか行かないのか?」

「えー!? モスクワって結構見どころ多いんだよ……まぁ、クレムリンの南側にあるヤキマンコにも足を延ばすけどね」


 やはりそこはブレないんだな……あと、寒いの超苦手じゃなかったっけ?


「そうか、まだ先の話だが気を付けて行って来いよ」

「うん、あっそういえば若彦!」

「ん? 何だ?」

「あのさぁ、卒業旅行とは別に……卒業したら若彦と一緒にどうしても行きたいところがあるんだけど……」

「え、どこだよ? よくわからんが一応聞いておくよ」



「……ラブホ♪」



 はぁああああ!? 何言ってるんだコイツ!? 卒業して教師と生徒の関係じゃなくなったからっていきなりそんなこと考えてるのかよ? バカかコイツ……


 ――いや待てよ?


 今日の流れで行くと、もしかして「ラブホ」という名前の観光地が実際にあるのかも知れない……またオレが動揺するのを見て「若彦エローい」とか言ってからかってくるんじゃないのか?

 だが、もし仮に観光地だったとしても……ついこの間まで教師と生徒の間柄だったオレたちが2人っきりで旅行はさすがにマズいだろ? ここはひとつ、探りを入れてみよう。


「なぁ波高島……その旅行ってオレと2人だけなのか? いくら卒業したからといってさすがに2人っきりは世間体が悪いだろ」

「あぁ大丈夫! H組のみんなと一緒だよ! みんなも一緒に行きたいって言ってた。要するに若彦は引率って形かな? やっぱ成人男性がひとりいてくれると安心じゃん!?」


 そうか、H組の連中も一緒か……じゃあやっぱ観光地だな?


「そうか……あ、でもオレは3月でも普通に仕事で忙しいぞ! 日帰りでないと厳しいな」

「うーん、本当は泊まりで行った方が楽しいけど……日帰りで大丈夫だよ」


 日帰りできるのか? じゃあ国内で間違いないだろうけど……聞いたことがない地名だな。仕方ない、恥を忍んで聞いてみよう。


「あのさ、ぶっちゃけどういう場所なんだ? その……らぶほって……」

「あー、宿メインなんだけどぉ……お風呂が広くって心身ともにリフレッシュできる場所だよ! 他にもアミューズメントが色々あるよ!」 


 そうか……ってことは温泉施設か何かか? らぶほ……あ、伊香保(いかほ)温泉みたいな場所なのかな? だったら最近オレも疲れているからリフレッシュにいいかも?


「そうか……まぁ、土日で日帰りだったら行ってもいいが」

「え? じゃあラブホ行く?」

「あぁ、行ってもいいよ」

「ホント!? マジで? やったぁー!!」


 波高島が目をキラキラさせて喜んだ。


「じゃ、さっそくみんなにL●NEするね」

「あぁ、ちょっと待った! ところで、その『羅布保(強()と湯()院と伊香()から漢字を充ててみた)』とかいう場所は……遠いのか?」

「え、何言ってんの……そこだよ!」


 と言って波高島が指差した先には……


 師走の夜に怪しげなネオンの光が輝く……


 紛れもない『ラブホテル』の看板だった。




 ――なぜここだけストレート(ひねりなし)でいったぁああああああああ!?




「若彦! ちゃんと言ったよね? しっかり録音させてもらったよ」


 と言うと波高島はスマホを見せてきた。


「バッ……バカじゃねーの!? そっそれはその……H組の連中が行くって言うから……だっだいたい、ラブホにそんな団体が入れるワケねぇだろ!?」

「えー何言ってんの若彦! 今は女子会でも使えるんだよー! 別にH目的で使わなくてもいいんだし……ま、でもアタシたちは()()()ですけどー!」

「はぁ!? 何言ってんだよオマエ!」

「だってぇ、みんなで()()()()()()()しようって話になったんだもーん! 若彦! 当日は精力剤1ダース以上用意しとけよ! 体力続かないぞー」

「するワケねーだろ」


 すると、波高島が興奮したような状態になってきた。


「じ……実はさぁーアタシ、エロいワードを耳にすると……メッチャ興奮するんだよねー! 月美ちゃんに旅行先を相談していたときも……自分で言ってムラムラして……さらに月美ちゃんの言葉でムラムラして……もー相乗効果でムラムラムラムラしちゃって……もっもう我慢できなぁーい!」


 おいまさか……


「わっわわわ若彦! 今から2人っきりでラ……ラブホ行こ!」

「なっ何でだよ!」

「下見よ下見! 3月のハーレムツアーの下見!」

「何だよそのツアー? オレがキャンセルするから最少催行人員未達で中止だ! だから下見もしねーよ」

「えー何でー、制服姿のJK抱けるチャンスだよー! ねねっ若彦、ラブホで一緒に日本一周しよ! 洞庭湖(千葉県)から珍小島(北海道)を経由して処女湖(淡海湖・滋賀県)と漫湖(沖縄県)見て……そして……はぁはぁ……女体入口(バス停・長野県)から生出し(愛知県)で……あ、それがダメなら寸又峡(静岡県)でもいいよー! わっ若彦! アタシ、若彦のこと大好きだよ! だから……だから最後はオーストリアのフッキングへ一緒にイキたぁああああああい!!」


 さっきから街中で何言ってんだこの【変態】!! オレはオマエのことが……



 キラーイ(ハンガリーの温泉地)!!



 ついでにH組の変態ども! 何がハーレムツアーだよ? オマエら全員……



 アホバッカ(南米・スリナムの村)ーーーーーーー!!


西湖(さいこ)(山梨県富士河口湖町)まで読んだー!? (つぎ)(兵庫県姫路市)に通津(つづ)(山口県岩国市)くよー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ