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【出席番号26番】鳥坂 音(とりさか おと)

「先生……クッチャクッチャ……もっと聴いて……クッチャクッチャ」


音嫌悪症ミソフォニアの方は聞かな……読まないでね】

 

 あー、癒されたい!



 最近オレは疲れているのを実感している。仕事が忙しいということも理由のひとつだが、最大の原因はH組だ。

 4月に入り、1年生のときからずっと担任をしているH組の生徒が3年生になった途端、毎週のようにその【変態】っぷりがあからさまになっている。1、2年のときにはそんな様子など微塵も感じられなかったのに。


 しかもオレが、副業を禁じられているこの学園に内緒で、H組の生徒をモチーフにした百合小説を書いているラノベ作家だということが少しずつ生徒にバレてきている。幸い学園の教職員にはバレていないようだが、誰が情報を漏洩しているのかわからず、そのことがオレを疑心暗鬼にさせて余計に疲れが増している。


 何でもいい……癒されたい。


 そういえば先週も《天目(てんもく) (なみ)》という生徒にえらい目に遭わされた。神からのお告げでアンテナから電磁波を防ぐとか言い出し、危うく股間にアルミホイルを巻かれそうになった。もう「電波」とか勘弁してほしい。

 とりあえず放課後になったのでH組の生徒(ヘンタイ)は早く帰宅してくれ。そしてあと4ヶ月もしたら彼女たち(アイツら)も卒業……もう少しの辛抱だ!


 そんなことを考えながら廊下の窓越しに校舎裏の敷地を眺めていると、何やら怪しい動きをしている生徒を発見した。

 この学校の裏には大きな公園があり、校舎裏にはフェンス越しに公園の木々が広がっている。ここは普段、生徒が入り込まないエリアだ。


 その生徒の顔をよく見ると……げっ! H組の生徒だよ。


 生徒の名前は《鳥坂(とりさか) (おと)》、よく見ると耳にはヘッドホン、左手には音楽プレーヤーのような機械、右手にはパラボラアンテナを持っている……


 ――んっ? アンテナ?


 まさか……コイツも天目と同じ「電波系」か? 冗談じゃない! ウチのクラスに2人も電波がいてたまるか!

 ここは立入禁止ではないが明らかに挙動不審な行動をしている。オレは鳥坂に注意するため校舎裏に向かった。



 ※※※※※※※



 校舎裏にやって来た。ええっと、鳥坂は…………あ、いたっ!


 さっき校舎から見たときと様子は変わっていない……いやそれどころか微動だにしていない。こちらにも気づいていないようだ。オレは鳥坂に声をかけた。


「おい鳥坂! 何やってんだ!?」


 鳥坂は驚いて「キャーッ!」と声を上げた。するとその声に反応したのか〝バサバサッ!〟と鳥が飛び立つ音がした、鳥坂はヘッドホンを外しながら


「あぁああー! 行っちゃった……先生! 何てことするんですか!?」


 どうやら何かの邪魔をしたみたいでガチギレされた。


「え? えぇ、あぁ……す、すまん、っていうかこんな所で何してんだ?」

「何って? バードウォッチングですよ」

「バードウォッチング? その変な格好でか?」

「あぁこれですか? まぁ正確に言うと鳥の鳴き声を録音していたんです」

「録音? えっ、じゃあそのアンテナは……?」

「えっ、これはアンテナじゃなくて集音マイクですよ! でもってこっちがPCMレコーダー……これで録音するんです」


 そうだったのか、アンテナだと思っていたのはマイクだったんだ。


「ふーん……それにしても鳥坂、こんな所に鳴き声録るような鳥なんているのか? スズメしかいなさそうだけど?」

「何言ってるんですか、こういう人家のある身近な場所には、意外と多くの種類の鳥がいるんですよ! しかも落葉してきたこれからの季節は鳥を見つけやすい絶好のシーズンです」

「へぇ、そうなんだ……で、鳥坂は何を録ろうとしていたんだ?」


「モズです!」


 ――モズ? えっ何? 正直よく知らん。


「普段は山間部にいる鳥なんですけど秋になると低地にやってくるんです。で、この時期は縄張り争いのために鳴き声が変わるんですよ……『高鳴き』って言うんですけど……」

「そうか、じゃあその高鳴きとかいうのを録ろうとしていたのか? 邪魔しちゃって悪かったな……じゃあそのモズって鳥はもうここには戻って来ないのかな?」

「あー、たぶんここを縄張りとしているから、また来ると思いますよ」


 なるほど、色々知ってるんだなコイツは。っていうかやっとH組に変態ではないまともな生徒がいた! バードウォッチング(正確には録音)なんてなかなか高尚な趣味じゃないか。


 あ、そういえば……


「なあ鳥坂、オマエの録音って……鳥の鳴き声専門なのか?」

「いえ、基本的に自然の音……()()()()を録ってますよ。滝の音、雨の音、風で草が揺れる音……自然の音って神秘的ですからね! コレクションもいっぱいあります。よろしければ先生も一度聞いてみますか?」


 そうか! それなら……


「なぁ鳥坂、だったらさ……いわゆる『癒し系』の音ってあるのかな? そういうのが聞きたいなぁ、例えば小川のせせらぎとか波の音とか……」


 すると鳥坂はニコッと微笑み


「ありますよ! そういえば先月、生物部に行ってニコちゃん(金井 虹)たちに協力してもらって秋の虫の音を録りましたけど」

「いやそれはいらない」


 ――オレは虫がキライなんだよ! 生物部とは関わりたくない。


「そういえば、今は虫が全部死んじゃったみたいですけど心ちゃん(霧山 心)が全部持ち帰ったそうですよ」


 ――うげっ! 死体マニアの霧山か……できれば一生知りたくない情報だ!


「ほっ他にはないのか?」

「んー、まぁさっき先生が言われた小川のせせらぎの音とか波の音とか……あとは鳥のさえずりの音とかですかね?」

「あぁ、じゃあその中だったら……鳥かな?」


 鳥という言葉を聞いた瞬間、鳥坂の目が輝いた。


「わかりました! ()()()ですね? じゃあ編集して明日持ってきます! あっ、データはCDに焼いてきますか?」

「いや、こっちでコピーするからメモリーでいいよ」

「了解でーす! ちなみにモズは普段のさえずりの方は録ってありますよ! 私はどちらかといえば高鳴きよりこっちの方が好きですけどね」



「へぇー、百舌鳥(モズ)ですか?」


「うわっ! ビックリした」


 すると突然、オレの背後から声を掛けてきたヤツがいた。産休代替教員で古典を教えている《雁坂(かりさか) 良夢(らむ)》、通称ラムちゃん先生(男)だ……なんでここに?


「じ……じゃあ私はこれで!」

「おぉ鳥坂、頼んだぞ」


 ラムちゃん先生の顔を見た途端、鳥坂はそそくさと帰っていった。そういえばこのラムちゃ……君、他のクラスの生徒からは「カワイイ」と絶大な人気を誇っているのだが、なぜかH組の生徒からは人気がない。逆に意識的に避けられているようだ。なぜなんだろう?


「モズって他の鳥のさえずりを真似るから〈百の舌の鳥〉って書くんですよね」

「あ、そうなんですか」

「ちなみに……万葉集には百舌鳥を詠んだ歌は二首しかないんですよね……ひとつは春の歌、もうひとつは秋の歌です」

「へぇそうなんだ、ちなみに()()()()なんですか?」


 ラム君は学生時代、万葉集を研究していたらしい。だが詠まれた歌、全て暗記するのは無理だろう? オレはちょっとイタズラ心で彼に無茶ぶりをしてみた。


「秋の野の尾花が(うれ)に鳴く百舌鳥の声聞きけむか片聞け我妹(わぎも)


 あっさりと答えやがった。コイツ、まさか全部暗記しているのか?


「この歌は人によって解釈が変わるんですよねぇ、おそらく〈片聞け〉をどう訳すかによると思うんですけど……それにしても、これだけ歌があるのに百舌鳥を詠んだ歌が二首しかないってのも……面白いですよね、あははっ」


 ん? そこまで面白いか? まぁコイツが万葉集好きなのはよくわかった。


「ちなみに……彼女が言っていた百舌鳥がまた来るって予想はおそらく、アレを見て言ったんでしょうね?」


 と言うとラム君はフェンスを指さした。古くなったフェンスから金網が一部突き出している所があり、そこにバッタの死骸が刺さっていた。


「うわぁ!」

「百舌鳥の〈はやにえ〉ですね、縄張りがある証拠です……あ、そういえば若彦先生は()()()()()でしたっけ? すみませーん」


 ――!?


「あれ? 何でラム君はオレが虫嫌いなこと知っているんですか?」


 オレが虫嫌いだということは、H組の一部の生徒しか知らないはず。するとラム君は一瞬、しまった! という顔をした。


「え? あぁ……御坂先生から聞いたんですよ」

「いや、御坂先生も知らないと思うけど……」

「えっそうでしたっけ? あれ? じゃあ誰か他の先生から聞いたのかなぁ? それとも生徒さんだったっけ? あははっすみません、ちょっと記憶が曖昧で……じゃあ私はこれで」


 と言うとラム君は帰っていった。


 何でアイツはオレの秘密を知っているんだ? まさか他の秘密(ラノベ作家)まで知っているんじゃないだろうな? 変なヤツだと思っていたが……ますます怪しくなってきた。



 ※※※※※※※ 



 次の日……アパートに帰ると早速、鳥坂から借りたUSBメモリのデータをパソコンにコピーした。


 ――ん?


 フォルダ名が『鳥の音』になっている……普通、「鳥の鳴き声」とか「鳥のさえずり」とかって書くんじゃないのか?

 まぁいいや、鳥坂(アイツ)の語彙力が足りないんだろう。オレはビールとつまみを手元に置き、部屋を暗くしてリクライニングシートに座った。

 ヘッドホンを付け、ファイルを再生した。いいねぇこういうの! まさに『癒しの時間』だよ。昼間の疲れが一気に吹き飛ぶに違いない!




 ……少なくともこのときはそう思っていた。




 再生を開始してから2、3秒後、



『ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ……』



 突然の大音量、うわっ! 何だこれは?


 いきなり「うがい」のようなけたたましい音が聞こえた。最初は意味がわからなかったが……もしかしてこれは、音量調整用の試験信号みたいなモノなのかな?

 音量が大きすぎたようだ……少し下げてみた。


 しばらく無音状態が続く。どこで録っているのだろうか? すると、



『くしゅんっ!』



 おそらく鳥坂だろう……クシャミが聞こえた。これは寒い屋外で録っているのかも? 風邪ひかないようにしないとな……って、こういうのは普通、編集でカットするんじゃないのか?

 それにしても女子高生っぽいかわいいクシャミだったよな……だが、次の瞬間



『ズズッ! ビィィィィィィィィィィィィィィィィ!!』



 ――鼻をかんでいるのか? 汚いよ、音が……っていうかカットしろ。


 またしばらく無音状態が続いた……おい、鳥のさえずりは? すると今度は



『グッグゥ~~~~!』



 何だこの音は? これは4時間目の授業中に時々聞こえる音に似ている……ひょっとしてお腹鳴ってるのか? 再び無音が続き、やがてガサガサッという音が聞こえた。いや、だから鳥はっ!?



『……バリッ! ボリッ! ……ザック、ザック……』



 今度は何だ? あ、これって咀嚼音だな……何かパリッとしたモノを食べているように聞こえる。最近よく聞くASMRってヤツか?

 何を食べているんだ? 煎餅か? ポテトチップスか? っていうか鳥が全然出てこないじゃねぇかっ!?

 初めはそのサクサク音に思わず聞き入ってしまい、何かオレもポテチかなんか食べたくなってきたなぁ……と思っていたが、やがてその音は変化して……



『クチャ……クッチャクッチャクッチャクッチャクッチャクッチャ……』



 ――食い方汚いっ! 一気に食欲失せたわ。



『プシュッ!』



 今度は何だ? 炭酸飲料のキャップを開けた音みたいだが?



『ゴクッ! ゴクッ! ゴクッ! ゴクッ! ゴクッ……』



 やっぱ飲んでやがる……一気飲みだ。



『ぷはぁ~っ…………ゲフッ!!』



 ゲップしやがったよコイツ、しかもかなりデカい! っていうか何これ!? さっきから美しい鳥のさえずりじゃなくて汚らしい下品な音しか聞こえてこない。


 ――オレは一体何を聞かされているんだ?


 しばらくしてパタパタとスリッパで歩くような音が聞こえた。え? ここって外じゃないの?



『バタンッ!』



 ドアを閉める音だ。やっぱりおかしい! オレはてっきり外で鳥が来るのを待ちながら何か飲み食いしていると思っていたんだが……



『ゴソゴソッ』



 今度は一体、何をやっているんだ?



『…………ジョボッ!』



 ――?



『ジョボジョボジョボジョボ……』



 ――???



『…………プゥッ!!』



 ――!!!?



『カラカラカラ……』


『ゴソゴソッ』


『クイッ!』


『ジャァアアアア……』





 ――何じゃこれはぁああ!? これは()()現象ではなくて()()現象の音だ!





 何の音か察しがついたが正解したくないわっ! 何でこんな音を録っているんだよ!? 何かの間違いだと思いたい……


 ――ん? 間違い?


 そういえば、よく動画配信者が生配信の後にスイッチを切り忘れて……とかいうハプニングの話を聞いたことがある。鳥坂のコレも録音ボタンの切り忘れとかそういうヤツなのかな? だとしたらこれは相当恥ずかしいモノだ! きっと彼女も間違いに気付いた瞬間、顔から火が出る想いだろう。

 これは事故だ! 聴かなかったことにしよう。何か聞かれたら「あ、ごめんごめんまだ聴いてないや」と言ってごまかしておこう。


 だが再生されたこのファイルの続きに、オレの気遣いを「台無し」にしてしまう音声が入っていた。



『若彦先生ー! いかがでしたか? 私のオシッコの音! 興奮しましたかぁ!? じゃあ()()()もお楽しみにー!!』




 ――事故じゃなくて故意だったぁああああああああっ!




 癒されるどころか、かえって不快な気分になってしまった。



 ※※※※※※※



 翌日、()()急ぎオレは鳥坂を生徒指導室に呼び出した。


「鳥坂! これはどういうことだ?」


 オレはカバンから()()出したUSBメモリを机の上に置いて問いただした。まるで()調べのようなシチュエーションだ。だが鳥坂はおっ()()した様子で


「これって? 鳥の音ですよ」

「ふざけんなよ! オレは鳥のさえずりとか鳴き声が聴きたかったのに何でオマエの放尿音を聴かされなきゃならないんだよ!」

「えー! 私、確認するとき〈鳥の音〉って言ったハズです! フォルダ名にもそう書いてあったでしょ?」

「そっ……それはそうだったかもしれないが……でも鳥じゃないよな?」


「鳥ですよ! 正確には『()()出す()』です!」


 は? はぁああああ!? 予想外の答えに驚いたオレは()肌が立った。


「なんじゃそれ!?」

「あ、実際に鳥もいましたよ! 私が食べていた……あれ、フライドチキンです」

「どぉでもいいわっ! その情報」


「で、先生! 聴いてみた感想どうでした?」

「どうもこうもねぇよ! 何なんだアレ? 鼻をかむところから始まって、お腹が鳴ったり汚い咀嚼音出したり……挙句の果てに放屁や放尿かよ?」

「あ、始まりの音はうがいですよ! ガラガラっていう音……」

「うがいかよっ! 試験信号かと思った……それより! オマエなぁ、あんな音を他人に聴かせて恥ずかしくないのかよ!?」



「恥ずかしいですよ……だから……興奮するんです」



「え? なっ……何だって?」


 オレは完璧に聞き()()をしていたつもりだが、思わずもう一度聞き直した。すると、鳥坂の目の色が変わった。うっ()()とした目だ。


「興奮するんです! せ……先生! 私、実は……露出狂なんです!」


「はぁ? それはマズいな、日本の刑法では公然わいせつ罪になるぞ! やったら退学は確定だな」




「いえ、そうじゃなくて私……『音の露出狂』なんです」




 ――は?


「私……自分の身体から発する恥ずかしい音を周囲に聴かせるのが趣味なんです! 特に好きな人に直接生音(ライブ)で聴かせるのが大好きなんです!」



 うわっ、露出狂って基本【変態】だがコイツはトリッキー(奇をてらった)な【変態】だ。



「でも見られるのは恥ずかしいんで……好きな人には目隠しをしてもらって、耳元で私のお腹の鳴る音、ゲップの音、オナラの音、オシッコの音を聞いてもらいたいです。先生! 私……先生のこと好きなんです! だから……『鳥(坂)の音・第2弾』はぜひ生音で聴いてほしいんです」

「はぁ? 引くわ……っていうかその第2弾って一体何なんだよ?」


「私のオナ()ーの音です! もちろん実況も付けますよ♪」


「やめろぉおおおおおおおおおおお!」

「わっ私、興奮してきました……だっ、だから今すぐここでしたいです。せっ先生ぃ、むこう向いて座ってもらっていいですかぁ? そしたらぁ私はぁ机の上でぇオナ()ーしますからぁ……ちゃんとぉ聴いてく・だ・さ・い・ねっ♪」


 だんだんと鳥坂がねっ()()とした声になってきた。目も、何かの(とりこ)になっているような感じだ。


「やめろオマエ!! 狂ってる」

「何でですかっ……あ、そうか! 先生は童貞だから私とS●Xする音がいいんですね? じゃあヤリましょう! 私はもうすぐ卒業ですけど……こっちのほうも卒業したいです」


 〝ブチッ!〟


 もう限界だ。まともに話すゆ()()などない。オレは怒りが頂点に達した。


「いい加減にしろぉおおおお!!」


 ()()乱したオレは真剣な顔で鳥坂を怒鳴った。すると鳥坂はオレの顔を見て目をまん丸くしたまま動きが止まった。やがて、オレの豹変に驚いた鳥坂が……


「…………ヒック!」


 なんだ、今度は「しゃっくり」か? これもあまり人前で出したくない音だから鳥坂は()()あえずオイシイとでも思っているんだろうな?


「……イヤッ!」


 ――え?


「イヤッ……ヒック……しゃっくりヒック……イヤだぁああヒック」


 鳥坂の顔はみるみるうちに、まるで唐辛子の()()ニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーでも()()過ぎたかのようにひ()()で真っ赤になっていった。


「ヒック……私ヒック、しゃっくりの音はヒック絶対にヒック聞かれたくないのヒック……お願い先せヒック、耳をヒック……耳をふさいでぇえええ!! ヒック」

「え? オマエしゃっくりはダメなの?」


 しゃっくりは他の音に比べ、()()わけ恥ずかしい音ではないはずだが……?


「イヤぁああああああヒック、コレだけはダメぇええええええヒック、こんなの聞かれたら私ヒックお嫁に行けなぁああああああヒック、先生のお嫁さんになれなぁああああああヒックはっ恥ずかしいよぉおおおおおおヒック!」


 変態の価値観はどう()()まとめても理解できない。さて、こんな()()とめのないやり()()は終了しよう。生徒指導室を借りていたので、汚れたままにしないで手っ()()早くホウキとチリ()()で掃除して戸締りしたら、しゃっくりの止まらない鳥坂を保健室の()居地先生に引き()()をしてもらって……




 ()()こぼしのないほど完璧だ、「立つ鳥、跡を濁さず」だな。


最後まで聴いてくれてありが……ゲフッ! 次回もお楽し……プゥッ!

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