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水橋に夕陽丘との関係を迫られた俺は夕陽丘と友達であると言う関係にした。本当は夕陽丘の脅されている関係であるが、これを夕陽丘に口止めされている以上言えるはずがない。
頼む信じてくれ……
俺は黙り込む水橋の様子を伺う。
「分かった信介のこと信じる」
本当は嘘をついている俺からしてみれば、心が痛くなりそうなことを言われたような気がするが、水橋が信じてくれたので、ひとまず安心だ。
けれどもこれには続きがある。
「だけどこれが嘘だと分かった場合は分かっているよね?」
「は、はい……」
壁ドンをきめた水橋には迫力を感じた。
情けない話、俺の腰は少し抜けた……
俺はとあるトラウマを思い出した。
あれは俺が中学生の頃。
俺は一度水橋をぶちぎれさせてしまった事がある。
その事件を俺はバレンタインデーお返し事件と呼んでいる。
あれはとある女子生徒と水橋にチョコレートを貰った俺だが、俺はその女子生徒にしかチョコレートのお返しをしなかったと言うのがきっかけで水橋をブチギレさせた。
勿論、水橋にお返しをするつもりでいた俺だが、当日、ひとつチョコレートを持っていくを忘れ、優先的にその女子生徒にあげることにしてしまった。
そしてそれをたまたま水橋に見られ、災厄な展開を迎えた俺に水橋は「どうして私のはないの?!」と俺にブチギレさせ、その後は水橋による、陰湿な嫌がらせが始まったと言う事件だ。
その一部を紹介しよう。
「おはよう!上城くん。うーん今日も良い天気だね……」
絶対わざとやっているだろう!と分かりやすいほどに、にやりと笑った水橋。
この当時から目立つことをせずにいつも一人でいた俺にとっては地獄なようないじめが始まる
さぁここで問題。
いつも目立つている美少女が、いつも目立たない俺に話をかけてきたらどうなる?
1 クラスの注目を浴びる
2 クラスメイトから変な噂をされる。例えば付き合っているじゃないか的な
3 男子から異様な視線を受ける。
答えはずべて。
朝から俺は異様なほどに目立ってしまった。
「ねぇ?上城くんおはようは?」
「お、おはよう……ございます……」
ちくしょうー!本当は水橋を無視したい。
たがこんな美少女に話しかけられているのに無視はクラスの男子たちに喧嘩を売っているに等しい。
俺は拳を強く握り耐える。
「よしよし良くできました」
満足げに俺の頭を撫でる水橋。
こんなことされるのは小学生の低学年以来。
多分、水橋と俺しかいなければ俺は水橋を怒っているに違いない。けどクラスの前はそれすら出来ない。
仮にやってみれば俺はおめでたくクラスの的になる。
それを計算している水橋はきっと俺のことをざまぁー!とさげすんでいるに違いない。
そして朝の嫌がらせからは序の口。
昼休みには水橋とお弁当を食べることとなり、放課後は水橋とイチャイチャ放課後デート。(俺が逃げたりしないように俺は水橋と手錠で繋がれています)
結局、俺は一日水橋に振り回されクラスいや、学年全体に俺と言う存在を知られてしまった。
そしてその後は、俺の生活はひっそりした生活から激変。
周囲の女子からはやたらと俺と水橋をくっけるような行動をされたり、男子には放課後呼び出されては「水橋とキスとかしたか?」などしつこく聞かれるようになった。
と水橋をキレさせるとめでたく、俺の生活は滅茶苦茶になると身をもって分かっているので、絶対水橋をキレさせないようにしないといけないのだ。
けれど俺はまた水橋をブチギレさせるてしまうかも知れない。
そう思う不安要素がこのあとのイベントにある……
それがこの後、夕陽丘と集まる昼休みである。