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薄暗い教室に連れ込まれた俺の前には水橋が腕を組む。そして薄暗くて確実とは言えないが俺がみる限りだと水橋は俺を睨みつけ怒っているような表情をしている。
といっても困ったことだ……
俺は水橋を怒らせるようなことにはしてない。
なので俺の勘違いと言うことも……
俺は恐る恐る水橋に声を掛けてみることを試みた。
「あのー水橋さん……今日はどういったご用件で?……」
「ねぇ、信助」
「は、はい!」
俺は背筋がビクッ!とした。
なぜなら水橋の声音で分かる。
あのいつも明るい女性らしい声音から一転、水橋の今の声音は低くやっぱり水橋は怒っている。
「あんた今日の休み時間ずっと陽ヶ丘さんといたでしょ?一体何していたの?」
「えっ?」
何故それを知っているのだ水橋。
だってあの時は水橋は教室の近くには居なかったはず……
俺は動揺した。
まさか夕陽丘と俺のやり取りを見ているとは……
「えーっと」
落ち着け俺、まずはこの局面をどう切り抜くか考えるんだ。
水橋に夕陽丘と居たところを見られた以上、俺は水橋が納得する説明をしなければならない。
そこで以下の考えを思い付いた選択肢から適切な回答を選ばなければならない。
選択肢1「えっ夕陽丘?誰それ?知らないなー水橋の見間違えじゃないか?」
選択肢2「実は夕陽丘とは友達なんだよーそれで話が盛り上がってさぁー」
選択肢3「実は夕陽丘にお前のことで脅されているんだ」
以下の選択肢から水橋に返答することにする。
これで選択肢を間違えればどうなるか分からない。
なのでここは慎重に……
俺はじっくり考える。
まず最初の選択肢はなしだ。
なぜなら水橋は夕陽ヶ丘のやり取りをみてしまっている。そこで丸見えの嘘をついても意味がない。仮にも「見間違いじゃないか?」と言ったとしても水橋は「絶対見間違えじゃない」と高確率で言ってくるに違いない。
なので1はなし。
残るは2選択肢。
だがどちらを選ぶべきか……
2の方は一番安全な選択肢だと思う。
だが不安要素が2つある。
その1 俺に女子の友達がいることに対して水橋が嫉妬。
その2俺みたいな陰キャラに女子友達がいると信じてくれるのか?
その二つがこの選択肢の不安要素である。
そして3の選択肢
この選択肢はかなり危険である。
なぜなら水橋がこのことを知ってしまったら夕陽丘に何をしだすか分からない。
そして夕陽丘も同様。水橋に何かされた場合はそれに対して報復をしてくる可能性がある。
なので3も危険がある。
一体どうしたらいいのだろうか。
こうしている間にも夕陽丘との約束が迫ってきている。
俺は少し焦りながらも考えた。
そしてたどり着いた答えが
「実は夕陽丘とは友達なんだよーそれで話が盛り上がってさぁー」
俺は2の選択肢を選んでみた。
果たしてこの選択肢が吉と出るか凶と出るか
次回に続く。