4 スキャンダルには気をつけよう!
水橋と付き合い始め数日がたったある日。
これとってまだ水橋と付き合い始めたと言っても実感がわかない。
そんな時それは突然やってきた。
いつも通り学校に登校し廊下を歩いていると後ろからツンツンと肩を叩かれた。
「あのすみません。あなた上城 信助さんですよね?」
「はい、俺が上城ですが……」
声をかけてきたのは夕陽ヶ丘 由紀乃。俺と同じ学年である女子生徒。だが俺と夕陽ヶ丘はこれと言って接点がないため話したことがない。
そのためほぼ初対面である。
「やはりそうですかお初にかかれて光栄です」
「あ、あの……」
「あっ、失礼致しました。わたしの名前は、夕陽ヶ丘 由紀乃と申します。貴方にちょっと御用件がありまして接触致しました」
「用件?」
「はい、この件で……」
「こ、これどうして……」
夕陽ヶ丘は俺と水橋が手を繋いで仲むつましい写真を見せてきた。
「それは私の実力ですよ」
ふふと小悪魔のようにほくそ笑んだ夕陽ヶ丘。
すると夕陽ヶ丘は胸ポケットから名刺を取り出し俺に渡した。
「改めまして私、新聞部次期部長 夕陽ヶ丘由紀乃と申します。この件についてお話を聞きたいのですがよろしいですよね?」
「あっ、いや……」
グイと距離を詰めてきた夕陽ヶ丘。
ここの状況で言うのもなんだが夕陽ヶ丘は意外にもふくよかな胸をお持ちである。おまけに夕陽ヶ丘からフルーティーな香りが鼻孔をくすぐる。
「それでお聞きしても……?」
「あっ……ちょっと今は……」
「はぁ……そうですか……」と残念そうに言った夕陽ヶ丘。
これは噂で聞いたことだが新聞部の人間はあまりよろしくないと聞く。
例えばこのようにスキャンダルを握った相手からは口封じのためにお金を強要したり、時にはその相手を脅しパシリや、新聞部の労働者として奴隷にすることもあると聞く。だが見た感じ、夕陽ヶ丘がそんなことをするような人間には見えないが……
「なら、この写真を明日の新聞記事にしてしまいましょう」
「それも一面記事で……」と耳に囁いた後夕陽丘はふふっと笑った。やはり新聞部の噂は本当だ。であればおれもそれ相応の対応をとらないと危ないかも知れない。
「分かった。話すだからそれだけは……」
「さすがは水橋様のハートを射止めただけのあること。では……」
俺と夕陽丘は昼休み食堂で落ち合う事を約束し俺達は別れた。
「おはよう。上城君」
「おはよう」
声を掛けてきたのは水橋。
普段、人目がないところでは心置きなく話し合う俺たちだが水橋は目立つことを嫌う俺を気遣っていつもは他人のように接してくれる。だからこのことに関してはとても感謝しているのだが今日はそれが邪魔になる可能性がある。俺は水橋に夕陽丘のことについて相談しようと接触したいところだがクラスメイトがいる教室では水橋に声をかけられない。そのため水橋が一人になるタイミングまで待っているが一向にその時がこない……
そして時間は3限目の休み時間。
昼休みは夕陽ヶ丘の指示で早めにこいと命令されている。そのためこの時間を逃せば水橋に相談するチャンスはない。俺はラノベ小説を読みながらチラチラと水橋をの様子を伺う。水橋は現在、俺のクラスの内野 綾香と水嶋 葵と仲むつまじそうに喋っている。
(早く一人になれ……)
そう思いながらラノベ小説を読み続ける。そしてこうしている合間にも刻々と時間は過ぎていく。
(早く……早く……)
時間が過ぎていくごとの焦りから、俺は知らぬ間に貧乏揺すりを始めだんだんと激しくなっていた。
そして休み時間もあと5分。
水橋がついに一人になった。しかも教室を出た。
これはチャンス。
俺は急いで教室を出て水橋に声をかける。
だが教室を出たところで奴はいた。
「やはり水橋さんに声をかけようとしましたね……」
「ゆ夕陽ヶ丘……」