3 101回目の告白
ホワイトデーのお返しを忘れていた俺に突き付けてきた水橋の条件は……
「わたしと付き合ってください!」
水橋水樹に告白を受けてから通算約101回目。
俺は水橋といるだけで目立つと言うことから常に水橋の告白を全て断ってきた。
だがこれも今日で最後かも知れない……
「……」
黙り込む俺。
もしこの告白で「はい」と返事をしてしまえば俺の願いである「静かな生活を送る」と言う願いは消えてしまうのは明白。だが今回こう言う事態を招いたのは俺に責任がある。
「はぁ……分かった」
「ホ、ホント!」
目を少女漫画のように輝かせ近づいてきた水橋。
きっととてもうれしいのだろう。そんな水橋に指を突きつけ俺は言った。
「ただし、少し条件がある!」
ホワイトデーのお返しを忘れた俺が悪いのだが、このまま水橋がいい思いをするだけで不公平である。
「うんうん、いいよ!」
快く承諾してくれた水橋。
先程と違いとても気分が良さそうだ。
ならこの条件も上手くいくはず
俺は水橋の機嫌を損ねないように恐る恐る聞いてみた。
「そ、その付き合う期限なんだが……お試しと言うことで1週間だけで……」
「うん、いいよー」
「ほ、本当か?!」
「だって、一応相性とかあるじゃん!」
「水橋……」
「まぁ、私達ならきっとうまくいくと思うけどね!」
「そうだな……」
出来ればあまり上手くいかず「やっぱり付き合うことはやめよう」の方が今後の俺の生活的にはありがたい……
放課後 学校の門にて
「じゃあ、かえろっか?」
水橋は俺の方を振り返り綺麗な左手を伸ばしてきた。
「はいはい」
水橋の手を握るなんて幼稚園ぶり。久しぶりに握った水橋の手はとても柔らかくまだ冬だと言うのに暖かった。てかそんなことよりも、こんな姿他の誰かに見られたら明日には学校の噂になってしまう。
俺は辺りをチラッと見まわした。だが幸いなことに俺たちの姿を見ている生徒はいない。
それに安堵した俺。
だが俺はまだ知らなかった。
「ふふっこれはかなりスクープかもしれませんね・・・・・」
のちに俺と水橋が手を繋いでいる写真が撮られるとは・・・・・・