2 ホワイトデーのお返しはしっかり返そう!
今日はホワイトデー。
幼馴染である水橋 水樹は俺のチョコレートのお返しを楽しみにしていた。
だがそんなことを忘れていた俺はチョコレートのお返しなんか持ってきていない。
その結果、水橋は泣いた。
「まぁ、気持ちは分かったから落ち着け。なぁ?」
誰もいない屋上
幸いにも他の生徒はおらず下手な注目を浴びずに済んでいる俺だが早くしないと誰かが来てしまう可能性がある。なので俺は泣いている水橋をどうにか落ち着かせようと必死である。
「ならチョコレートのお返し……」
顔を背けながら俺の方へ手を出してくる水橋。
だがそんなことをしてきたところでチョコレートが出てくるなんてことはない。
「だからないと言っているだろ……」
するとその言葉を聞いた水橋の手はまるで力をなくしたように落ちた。
するとこちらを見た水橋。
だが水橋の顔を見てみると鼻水をたらし水橋の目からは涙があふれていた。
そして子供のように大泣きをし叫んだ。
「どうしてよー!」
耳がキーンとなるくらいうるさい水橋。
そして俺に近づいてきた水橋は俺の肩をぽこぽこと殴り始めた。(痛くありません。ただとても鬱陶しいです)
全くたかがチョコレートくらいで大騒ぎする幼馴染は迷惑である。
「あっもう!分かったからやめてくれ!」
「じゃあ教えて!なにが分かったのよ!」
「そ、それは……」
俺は黙りこんだ。
「もう!何も分かってないじゃん!」
より早くより強くぽこぽこと殴る水橋。(先程よりちょっと痛いです……あとより一層鬱陶しいです)
「痛い、痛いから」
水橋はこう見えても優しい女の子。
仮に痛くない攻撃だとしても、こうやって痛がることで水橋も殴るのもやめてくれるだろう。
そう思いなが俺はいたがり続けた。
「うるさーい!」
聞く耳を持たずに殴ることをやめない水橋。
これでは永遠に続くような気がする。
そう思った俺はここでついに折れた。
「分かった!分かったよ!このチョコレートの件の穴埋めはしっかりする。だから許してくれ!」
すると水橋は殴っている手を止め、涙もまるで嘘だったかのようにとめた。
「ホ、ホント?」
「あぁ本当だ」
「ホントにホント!?」
「あぁ」
「ホントにホントにホント?」
「あぁ」
そう聞いた水橋は涙を拭った。
そして、満面の笑みをこぼしながらこう聞いてきた。
「なら、私のお願いも聞いてくれるよね?」
ここで断った時点で初期段階に戻ってしまう。
なら、多少の犠牲を払ってでも俺は「はい」と答えなければならない。
「あぁいいぞ。なんでも言ってみろ!」
俺は胸を張ってそう答えた。
すると水橋は小声で「じゃあ……」と言った。
そして俺の手を握り
「私と付き合ってください!」
水橋に「私と付き合ってください!」と告白されてから約100回。そのたび俺は断り続けてきたがついに……