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その2ー4

俺は、スーツが汚れるのも気にせず、地面に座り込んでいた。

ここは、人が通るとは思えないような路地裏。

以前、二人の少女と出会った場所に似ていた。


「今日は、あなたに伝えたいことがあったんだ。本当は、もっと遊んでいたいんだけどね。」

俺は誘われていたらしい。

まぁ、ここまで入り組んだ場所を、振り切らないような速さで走っていたのだから、多少は予想していたが。

しかし、あの追いかけっこは、彼女・・・朱音的には遊んでいたのか。


「その前に、いいか。」

やっと息が整ってきて、まともに声が出るようになってきた。

「なあに?」

「君たちは、何者だ?どうして、人の死体を食べていたんだ?」

そう聞くと、彼女は少し困ったような表情をして言った。


「そうだね・・・。おねえちゃん風に言うなら、ボクたちが何者であるか、あなたに明確に理解できるように説明する言葉を、ボクは持ち合わせてない・・・かな。」

正直、意味不明だった。

それは、説明したくないのか、してはいけないのか、それとも、言葉そのままの意味なのか。

しかし、言葉は通じているんだから、説明することはできると思うんだが。


「言葉が通じているなら、説明することはできるはずだろう?」

「確かにそうだね。

じゃあ、お兄さんは、この世界がもう元のカタチじゃなくなって、変容しているって言ったら、信じてくれる?」

なにを言っているんだ?

この娘は、一体何者なんだ?

いや、もしかしたら、ただの妄想癖のある痛い娘なのかもしれないが。

「こいつは一体何を言ってるんだ?って顔してるね。

だから言ったんだよ。わからせられないってね。

ヒトは、それぞれ個々の常識を持ってる。その常識からあまりにも逸脱した話をすんなり受け入れられるヒトってのはなかなかいないものなんだよ。」

彼女は笑っていたが、どこか悲しそうな、寂しそうな雰囲気を感じた。


彼女の言っていることは尤もだ。

俺も、先程彼女の言ったことをすんなりと受け入れることができていない。

彼女は、まるで、これまでも同じようなことを数々の人たちに言ってきて、経験したかのような口ぶりだった。

落胆。そんな感情が、彼女の表情と、態度から感じ取れた。


「これ、返すね。」

朱音と名乗った少女が、傘をさしだしてきた。

俺は、この傘を受け取っていいのか?

このまま受け取ってしまって、この少女との関係が、終わってしまって、それで俺は満足なのだろうか・・・・・・・・・・。



俺は、彼女の、傘を突き出している手を引っ張り、引き寄せて言った。

「教えてくれ。すべてを受け入れてみせる。」


俺の目には、彼女を納得させられるほどの、炎が宿っていただろうか。

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