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栃丸の過去

この話、一番しょーもないです

わしは栃丸。男のような風貌ながらに実は女の子である。

わしは田舎の民家に静かに爆誕した。爆誕っていうと、どかーんとか思うじゃろ。そこがミソじゃよ。わっはっはっは。こほん。

わしはごくごく普通の女の子だったの。昔はこの喋り方なの。なんといっても、ショートカットが大好きな女の子。ロングの髪の毛が嫌いで、髪が肩に着く前には床屋に行くようにしてたの。

お母さんもショートカットで、もしかするとその影響があったのかもしれない。

私はいつまでもショートカットで生きていくつもりでいたの。

でも、それは突然起こったの。

その時、床屋の人が新人でいつもより短めに切ってくださったの。

わしは、別にショートはショートだから良いかって、あまり気にしなったの。

でもね、学校であるうわさが流れ始めたの。

「女子の中に紛れ込む変態男子がいる」ってね…。

最初は何も気にしてなかったの。ふーんぐらいの気持ちでそんなことすっかり忘れていたの。

でも、ある日気づいたの。女子トイレに入る瞬間「え?うそ?」って声が。私も最初は気のせいだと思ってたの。また違う日入ったら「あれ男子?」って…。あ、私、男子に見間違えられてるんだな、って気づいたのよね。でも、勘違いだよって言えば済むとか思って軽い気持ちでいたの。

でもそっからよ、ことが大きくなっていったのは。

それは更衣室。一人で着替えている時、誰か入ってくるのね。その人は私の後ろ姿しか見ないからもちろん勘違いするわよね。

また、それは銭湯。私が女湯に入った瞬間の「え?男?」みたいな冷たい視線。怖くてそれ以来銭湯には行かなくなったわ。

そしてなんといっても女性専用車両。これはひどかったわ。私が乗車した瞬間、みんな私を女装した男子だと勘違いして、私を別の車両に追い出したの。これは泣ける。

学校でも、私が気にしていない間にもうわさはどんどん広まって、ある日全校朝会で、話題になったの。

校長先生が、

「えー、最近、女子トイレにふざけて入ってる男子や、みだらな行為をする男子がいるらしい。心当たりがある奴は早いとこ名乗り出てきなさい」ってね。

私、怖くてね。勘違いです、なんていったら皆どう思うんだろうとか、ね。

だから、私、黙ってたの。髪が伸びればうわさもなくなるって思ってね。

でも、なかなか髪も伸びないの。

どうしようどうしよう、って悩んでいたら名案が浮かんできたの。

いっそ、男になっちゃおう、ってね。

そこから私は少しずつ、誰にもばれないように男になっていったの。顔の表情とか、声とか、歩き方とか。大変だったけど勘違いされるよりはマシって考えてやり続けたの。

そして、中学に入学するときには名前も偽名を使って庄司にして、学ランで過ごしたの。

いろいろ、バレそうになった時はあったけどなんとか切り抜けてきたの。

それでも、私は女の子でありたかった。

だから、教師としてこんなひどいことを二度と起こらせないようにしようと決めたの。

そっからはひたすら勉強したの。そのころにはもうすっかりショートカットは大嫌いになっていたわ。また勘違いされるからね。

でも、人生の半分、男で生きてきちゃったから、男の生活から女の子に戻すのはとても難しかったの。だから最初のうちは男教師としてやってこう。そして、また少しずつ女の子に戻っていこうって決めたの。

それでもこの長い髪はもう二度と短くしたくはないから、じゃあカツラで隠そうってことで、今のわしが形成されたんじゃ。

そして今年。桃色フェイクのニュースをテレビで見たんじゃ。桃色フェイク、坊主になる?ってな。その坊主アイドル目前のニュースを見たとき、わしゃ戦慄したわい。メンバー全員坊主になって坊主アイドルを目指しているなんてな、わしには到底考えられることじゃないわい。

なんとしても、この子たちを止めなければ、わしよりひどい人生が待つことになる、と思ったわしは、ちょうどその時行われていたマネージャー募集の広告に載っていた電話番号にすぐ電話したんじゃ。

ほんと、その時、桃色フェイクのマネージャーがいなかったのは不幸中の幸い極まりなかったんじゃよ。

アイドル甲子園も近いわけだし、すぐマネージャーになれたわな。マネージャーになって聞いてみたんじゃよ。なんで坊主なんかにするんだって。そしたらこう答えたわい。最近売れなくなってきたから、坊主アイドルになれば、一躍有名になって、またお客さんも増えるんじゃないかって彼女らは答えたワイ...。アイドルにも色々事情はあることが初めて分かったわい。それでも坊主だけは阻止させてもらった。わしが君たちを有名にするから、と言ってね...。これがついこの前のことじゃ。もう色々大変だったんじゃよ。


しょーもなっ

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