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黒加根、死す

今回、主人公死にます

本番当日。

メリハリメッセの会議室にて、今日の進行の大まかな内容について、各アイドルのマネージャーに説明の最中である。

朝はやくから集合したということもあり、俺はひとつあくびをかました。

「それでは、ステージに出た際のはけ方についてステージ中央部にある…」

説明されている言葉も俺の耳を右から左へ抜けていき、全く理解していない。我ながら大胆である。

聴いているフリをしながら、各アイドルのマネージャーたちに目を配っていった。

ふむ。大体4グルー…4?4ってスクナっ!

あ、そっか。新人アイドル選手権だもんね。

とはいえ、相手を観察するのは大切である。あ、虫眼鏡忘れたな。いや、植物観察かよ。

一人目。おいらの向かいに座っている男だぁ。うん。ガタイがいいねぇ~。肩幅がでかすぎて下敷きみたいになってんぞ。顔は優しそうだけど、根は怖い的な?

二人目。一人目の横に座っている細めのやーつ。メガネが光って、どことなくカリスマ感。会社だと専務の立場にいそうな感じ。

ほんで俺の隣におる三人目。…うん。さっきから鼻息がすごいなぁ!鼻息すごっ過ぎて、もうその鼻息で誕生日ケーキのろうそく消しなよってレベル。

そして、空白の席。説明している人の横にある椅子。椅子の上には、緑のカゴ。もう一人マネージャーがいるのだろうか。

緑のカゴ...。流行ってんのかアレ?俺も今度そのカゴで学校行ってみるか。

「あれ。そういえば一人マネージャーがいませんね…」

ちょうどいいタイミングで気づいてくれた。

「えーっと…アイドル名がストロンガーの方ですね。あとで連絡してみます」

フム。ストロンガーか。強そうじゃないか。

言い忘れていたが、このアイドル甲子園は二つのアイドルグループが踊りや歌唱力、アイドルらしさが評価され、会場にいる観客全員が投票する系のやーつ。投票には一人一つのつひょうスイッチが配布され、どちらのアイドルに投票するかを決めることができるのである。いや、どこの最先端技術革新ノーマライゼーションだこれ。ちなみにノーマライゼーションは字面がかっこいいからくっつけた。意味は…えーと知らん。

そして、一番重要な第一試合の相手。くじ引きで決めるのかと思って昨日くじ引きの練習したがどうやら勝手に決められるらしい。俺の努力…。

「えーと、ホワイトリターンさんの相手はストロンガー?さんですね…」

来ちゃったー来ちゃったよー。パリにぴちゃったよー。一番最悪なパT-んがきたよこれ。得体のしれないマネージャーと戦うパターンがぴちゃったよー。

けれど、逆に追い返してやるという気持ちにすれば怖いものなんてないんだ。かえってヨーグルト食べることだけ考えればいい。そう、あたって砕けろのやーつだ。

「はいじゃぁそれではプログラム通り第一試合ホワイトリターンさんは準備お願いします」

よりによって一番最初やん。もうやだ。

俺は係員の指示のもと控室へと案内される。やべー緊張してきた。マネージャーのする仕事なんて特にないんだけどな。

はっ!でもこのあとショートカット娘三人に会えるじゃないか!キタコレ!

緊張も忘れて興奮に飲まれていた俺は控室に向かう足取りが軽くなったのを感じた。

あまりのコミュ力の低さに、返答することも忘れていたことに気づくのはそのあとトイレに

入ってからであった。






「はい、それではこちらでお待ちください。時間になりましたら係員がお声がけいたします」

係委の案内によって俺はドアの前へと連れてこられた。

ドアの横に白井上。そこにはホワイトリターン様控の文字。

おお。よく見るやつだ。こりゃーもう俺たち有名人だな…。

「このドアの向こうにショートカットが…」

ショートカット愛に高鳴る気持ちを抑えきれなくなった俺はかぶりつくようにドアノブに手を乗せた。

どくどく、どくどく。(心臓の音)

がちゃ。

「失礼しまー…」

一瞬ショートカットの少女三人が目に映った。

しかし、俺が見入ってしまったのはそこじゃなくて、少女たちに取り巻く魅惑の衣である。

「こっここっここの変態!!!」

そう、着替え中である。

なんでこうも、俺はラーッキスケベに出会ってしまうのだろうかと、自分を褒めたたえた刹那、白婿がリモコンを手に取った。おいばか、それ投げんなよ。

白婿の手は怒りマーク入りのごつごつ握りこぶしで、気づいたらもう投げるモーションになっていた。

あ、やばい死ぬ。

こつんとおでこに当たった。

司会が天井へと変わる。ああ、俺これ倒れてるな…。

どさっ。目がうつろになって意識が遠のく。

こういう時になってまず思う。あ、あとでトイレ行こ…。人間って意外と冷静だ。

誰かが体をさすっているが誰かもわからない。

そして俺はそのまま…。

ご愛読ありがとうございました

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