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龍之介は夏目を攻略できるかどうか?[第3話]


龍之介は先日志貴から借りた夏目漱石のこころを読んだ。

感想を言いに、志貴の机の方へ向かう。

「正田さん、先日はありがとうございました。こころを読んできました。」

「志貴でいいよ。堅苦しいしな。それでどうだった?」

「はい。…ところで、今日は夏目は?姿を見ないようですが…。」

「ああ…蒼は具合が悪くて保健室行ったみたいだ。あそこには昔馴染みの先生がいるからな。」

「はあ…そうなんですか。分かりました。あの、こころの感想なんですけども」





・・・・・


件の夏目は、腹痛にみまわれ保健室のドアの前に立っていた。コンコンと2回ノックし、失礼しますとドアを開ける。


中には、大人びた一人の男性がいた。彼の名は、盛凱亜(もりがいあ)。この保健室にいる先生で、昔は海外に留学していたこともある。


「よう、今日はどうした?」

「盛先生。すみません腹痛で休みに来ました。」

「そう。まあ、休んでけよ。」

盛は夏目にベッドの前まで促し、夏目がベッドに入るのを見守った。


「最近はどうだよヒロ。何か最近可愛がってる子がいるんだって?誰でも彼でも手を出しちゃいけませんよ。お兄さん悲しいなあ。」

「何なんですか盛先生。俺のことなんだと思ってるんですか?」

夏目は怪訝そうな表情をする。


「いや、あんなに俺が可愛がってたヒロもこんな大きくなったなあと思って。覚えてるか、お前がまだ小さい頃俺と一緒にお風呂入ってたんだぜ。あの頃は可愛かったよお前は。俺の後ついてまわって中々離れなかったガキんちょだ。」


「また昔のことを…。俺は今アンタに感謝してますよ。俺に夏目漱石の坊ちゃんを貸してくれたのはアンタだし。入学してすぐの時にアンタが貸してくれたから。」


「そうだったな。中々面白いだろ?」

「ええ。おかげで最近は本ばかり読んで友達と語り合ってます。」

「それで龍之介くんと仲良くなったわけだ。志貴から聞いたぜ。」


「志貴…なんでこの人に言ってんだ。でもいくら昔馴染みだからと言って高校生の交友関係詮索するのもどうなんですか?盛先生にだって交友関係があるでしょう?」

「あるよあるよ。色んな女の子とお友達。一人中々いい娘もいるしね。」

「…そうですか。」

夏目はふうとため息をつく。


「だが、お前がそういうの辞めろって言うのなら、俺は女断ちしてもいんだぜ?」

「は?」

「お前が俺のことだけ見てるってんなら俺はお前のことだけを見てる。」

「なんで。今いい娘がいるって言ったじゃないですか。」

「それはそれ、これはこれ。恋は罪悪だなんて言うけれど、俺はお前のことを好きだと思うこの気持ちを罪悪だなんて思わない。」


そう言うと、盛は夏目の寝るベッドに座ると、夏目の方へ顔を向けた。夏目の枕元に手を置くと、ギシッと音がする。


「小さい頃から俺のこと見てて、俺のことそういう意味で好きだと言うんですか?」

「分かんねぇよお前はまだ若いから。大人にならないと分からない感情ってもんがあるんだよ。俺の場合は、お前のことが好きだという感情だ。」



・・・・・


「志貴さん、夏目漱石のこころを読んだ感想なんですが、まず冒頭で主人公が先生と呼ぶ方を慕って歩き回っていた表現がありますね。主人公が先生と一緒にいる際の恋は罪悪だというシーンはやはり印象的で。おそらく今後の展開の伏線となる表現なのだろうと思い、どんな風に話が進んでいくのか楽しく読んでいました。主人公の友人のKも印象的ですが。」


「そうだよな。結構文章長いけど、やっぱ描写が丁寧で。そういや、蒼遅いな。そろそろ迎え行こうぜ龍之介くん。」

「そうですね。具合が悪いのか気になりますし。」

そう言うと、志貴と龍之介は教室を立ち去り、夏目のいる保健室へと向かっていった。



龍之介は夏目を攻略できるかどうか?第3話です。

読んで下さいましてありがとうございます。

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