龍之介は夏目を攻略できるかどうか?[第2話]
前回のあらすじを説明しよう。
高校に入学した夏目 蒼は図書室で勉強している麻生 龍之介に出会い、声をかける。
龍之介は夏目に羅生門を読んで感想を聞かせてくれと言われ、しぶしぶではあるが感想を言うと、夏目に面白い奴だと気に入られる。
そこから二人は友人になるのだが、今回は果たしてどんな話だろうか?
・・・・・
最近声をかけてきて自分と友達になった夏目に関して、龍之介は一つ分かったことがある。
夏目はとにかく友人が多い。皆から慕われているのは彼の温厚さや優しさがそうさせるのか。常に周りに人がいる。
教室のど真ん中の席には人が集まって賑やかに談笑をしている。中心には夏目 蒼。とても楽しそうな声が止まない。
龍之介は廊下側1番前の席で本を読んでいた。
あれから、夏目に本を勧められて羅生門を読んでからは、芥川龍之介の作品を読むことが最近多くなっていた。彼の作品は難しい表現や話の展開、読むと考えざるを得ない話など色々あるが、それがまたクセになる。
なんだかまた新たな自分と向き合うようなそんな発見があるのは中々に楽しい。
・・・・・
「芥川龍之介の作品読むのにハマった…。」
「マジ?!」
なんて龍之介が夏目に言うと、夏目は声色高くして喜んだ。
夏目は大方クラスメイトに布教が成功して喜んでいるのだろう。
「じゃあさ、こんど色々読みあって好きな作家の作品語ろうぜ!」
なんて夏目が提案すると、確かに感想とか意見は言い合いたいし聞きたいと思い、龍之介は了承した。
「連絡先教えてよ。」
「はい。」
夏目と龍之介は連絡先を交換し合った。
「んじゃあ、これで俺らは友達だね!」
「んなベタな。…それでいいですよ。」
「よし、俺ら友達ね!」
なんて言うと、今日はこれで解散となった。
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数日後の朝、龍之介はいつも通りに廊下側の1番前の自分の席に着くと、斜め後ろ辺りの席から名前を呼ばれた。
「おはよう龍之介くん!」
「夏目…おはよう。」
「龍之介くんもこっち来なよ!前に言ってた作品の感想語り合おう!」
「おっけ…」
龍之介は自分の席を立ち、夏目の席の方へ向かった。
「よう、あんたが蒼がよく話してる面白い奴か?」
「え。俺?」
「あ〜ごめんごめん。紹介するよ龍之介くん。こいつは正田 志貴。俺の昔からのダチだよ。志貴、彼が麻生 龍之介くん。最近仲良くなったんだ。仲良くしろな。」
夏目が交互に紹介し、志貴と龍之介は挨拶した。
「蒼は昔から色んな奴巻き込むのが好きなんだが、仲良くしてやってくれ龍之介くん。ついでに俺とも仲良くしてくれると嬉しいんだが。」
「はい。これからよろしくお願いします正田さん。こちらも仲良くして貰えると嬉しいです。」
龍之介と志貴はお互いに挨拶を終えると、夏目に向き合った。
「んで、感想だったか?」と志貴が夏目に尋ねる。
「そうそう!俺はねやっぱ、夏目漱石の吾輩は猫であるが好きだな。猫の視点ってこんなんなのかな〜とか。俺ん家で飼ってる猫も実は俺の喋ってる言葉分かるのかな〜とか思っちゃったり。」
「お前はそんなんばっかだな蒼。龍之介くんは?」
「はい。芥川龍之介の地獄変ですかね?今のところ芥川龍之介の作品ばかり読んでいるのですが地獄変は特に怒涛の展開というか…。目の離せない瞬間がこの作品にありますね。正田さんはどうですか?」
「俺はそうだな。夏目漱石のこころかな。」
「その理由は…?」
「理由はまあ、俺がこころの文庫本貸すから読んできなよ。したら俺と語り合おうぜ。」
「そうですか…分かりました。是非貸していただけたらと。」
志貴は自分の机からこころの文庫本を取り出し、龍之介に渡した。
「んじゃ、そろそろ今日はお開きだな。それでいいか蒼?」
「うん、いいよ。二人ともありがとう。また色々語ろうね。」
夏目がそう言うと、龍之介と志貴は自分の席に着いた。
第2話はここまでである。
また次の話で。
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連載小説第2話です。
夏目と龍之介の話に志貴が追加されました。
今後もう1人追加される予定ではあります。
よろしくお願いします。
前回の小説に感想と評価の方ありがとうございます。
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