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龍之介は夏目を攻略できるかどうか?[第1話]


皆さんは、芥川龍之介の葬儀記という作品を読んだことはあるだろうか?芥川龍之介の作品と言えば、羅生門、蜘蛛の糸、杜子春、地獄変等といった作品は有名なことは周知の事実であろう。

また、鼻という作品は当時夏目漱石に認められた作品であり、後に芥川龍之介は夏目漱石の門下となっている。当時芥川龍之介の作品を周囲は中々認めてくれなかった中、夏目漱石に認められたことはとても芥川龍之介に影響を与えたであろう。


そんな折、芥川龍之介の師匠である夏目漱石は病気で亡くなる。夏目漱石を亡くした芥川龍之介の当時の思いを芥川龍之介調の、芥川龍之介本人の文章により綴られている作品が葬儀記である。

この作品については、皆さん機会があったら是非読んでいただきたい。



さて、本題はここからである。

時は20XX年、ここ日本国内の某高等学校には高校1年生の気難しい男の子が一人いた。真面目で感情表現が不器用なその彼は名を龍之介と言った。同じクラスにはとても温厚な男の子が一人、名は夏目と言った。夏目は温厚で優しそうなほんわかした雰囲気を持つが、いざとなると頑固で自分の意志を貫き通す。感情表現がとても上手く、人のフォローも上手かったりする。そんな龍之介と夏目のお話が今回の作品というわけだ。




・・・・・


入学して1週間が経ち、夏目は教室のど真ん中に位置する自分の席で本を読んでいた。夏目漱石の坊ちゃん、親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている主人公の人生の一部が綴られた物語だ。勿論、主人公以外の登場人物の人生の一部が綴られてもいる。そんな人生の一部の中での主人公と他の登場人物が出会った所を切り取った物語である。ただ単に登場人物のみで出来事が進行していくのみではなく、そこにはメッセージ性がある。

なんてことは夏目は全然考えておらず、ただ、高校生だし現代文の科目でも習うだろうから先にちょっと読んでおこう〜なんて気持ちで読んでいた。


「ふんふん。へぇ〜。こんなんなのか。」

なんて夏目は一人本に向かって頷いている。


そんな傍ら、廊下側1番前の席には龍之介がいた。龍之介はただ黙って教室内の喧騒の中で静かにしていた。


これが彼らのある日の朝の日常。


彼らはなるべくして友達となった。

ある日、龍之介は放課後校内の図書室へ自主学習のために行った。

室内には、真ん中に生徒の勉強用に机が並べられており、奥に本棚が並んでいる。

龍之介は本棚に近い位置に座ると、勉強用の教科書とノートを開き勉強に取り掛かり始めた。

するとしばらくして見覚えのある男子生徒から声を掛けられた。

「ねえ君、同じクラスの麻生(あそう)くん?」

龍之介は声を掛けられた方をちらと見ると、同じクラスの夏目が本棚の方にいた。

「そうだけど…。」

「俺、夏目蒼(なつめ ひろ)。君は本は読まないの?」

「俺は本より勉強のがいいから。」

「そんなこと言わずにほらっ。これなんかオススメだよ。芥川龍之介の羅生門。中々にロックでミステリアスで」

「羅生門ぐらいは知ってる」

「でも読んだことは無いだろう?」

「読んだことは無いけど…」

「なら是非読んでみて!俺とか最近は色んな小説読むのにハマりつつあってさ、夏目漱石もいいけど芥川龍之介もいいな〜なんて。」

「あっそう…。」

「でさ、読んだら感想聞かせてよ!」

なんて言い、夏目は龍之介の向かいの席に座るとまじまじと龍之介の方を見る。たぶん読んで感想言わない限りは立ち去らないのだろうとさとった龍之介はしぶしぶ言われた通りに羅生門を読み始めた。


羅生門とは、仕事をクビになった下人が巷で良くない噂のある羅生門を訪ねた際に、そこに捨てられている人間の死骸とその死骸から売れるようなものを剥ぎ取る老婆が出会う物語である。生きるためなら仕方ないしこの死骸も同じような生き方をしてきたんだからいいだろうという老婆に出会い嫌悪感を抱いた下人の話だ。

短編ですぐ読めるがやはりそこには芥川龍之介調の文章と展開が読者を待っている。


龍之介は羅生門を読了後に、夏目に感想を言った。

「なんてかとりあえず俺が言えるのは、俺ならこんなことになる前に違う仕事に就くこと考えるだろうし、もし諦めきれないなら俺にしか出来ない技磨いて唯一の人材ってか職人になるっていうか、こんなその場しのぎで生きようとする下人みたいなのにはなりたくない。」

なんてことを龍之介は言うと、夏目は面白そうに目を輝かせて、

「君、面白いな!名前は?」

「俺は麻生龍之介(あそうりゅうのすけ)

なんて龍之介は言う。かくして二人は友達となった。


そこから龍之介がどんなきっかけでどうして夏目に惚れるのか?

龍之介は夏目にどんなアプローチをして夏目に好きになってもらうのかは、次の物語以降にお話するとしよう。

今回は、龍之介と夏目の出会いの話までだ。



.



連載小説です。

夏目と龍之介の恋愛をよろしくお願いします。

前回の作品に評価ありがとうございます。

今後作品を書く上で参考にさせていただきます。

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