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4 ひのきのぼうと村娘とくま……くま!?

ある日、森の中。熊さんに出会った。


ってリアルだったらかなり危険ですよね。

こんにちわ。『ふりーわ』によく似た世界からお届けします。


今は森の中にいます。壁の中じゃなくてよかったね。


っと思いながら、靴になりそうな草を探してますが、やべ、何かやわらかいもの踏んだ。

靴下ごしに感じる、なにかやわらかいもの。

スルーするに限りますね。男は正面見て生きるものさ!


大きい草はあるんだけど、棘があったり、肌触りがよくなかったりで。

なかなか満足できる素材がありません。

ええい、ここの森は何をやっているんだ女将を呼べ!


どこぞの食通だったらそう言いそうだが、残念ながら騒ぐと熊とか危険生物とかいそうなので、大人しく行きましょう。


神薬草をガムのように噛みながら進んでます。

甘くて旨い。

僕は結構、ガムは長く噛むほうです。ほっとくと2時間くらい噛んでます。


とりあえず、さっき拾った木の枝……、のはずが、紫色の木の棒に変わったので、これを使って道なき道を探索してます。木や草をばっさばっさと薙いで、道なき道を進んでいます。


きっちりと識別しましたよ? さすがに僕も多分異世界……だと思う世界に、召喚後にすぐに呪われたくないので。


とりあえず、呪いはないことを確認した上で。

結果がこんなんだったので装備してます。


伝説のひのきの棒:伝説級。かつて2つの世界を救った勇者が装備していた棒。これで全ての魔物や神さえもフルボッコにした伝説の武器。(敵の)血と涙と汗が染み付いたため色は悪いが、それ以外はカリスマ性抜群。香りもひのきだけじゃなくてなんだかもうビューティフル?


ビューティフル? いや、なんで「?」つけるのかなって思う。

そんなの確認したくない。敵の血とか汗とか涙とか、って、絶対にビューティフルじゃないよね!

匂い? 嗅がないよ? 怖いから。


そして、これを装備するとどうなるかというと、だが。

とりあえず攻撃力とかが……ねえ。魔力も、ねえ。精神力……あかんわこれ。


攻撃力:5000

魔力:10000

精神力:20000

特殊能力:

『フルボッコ』全ての敵に対して、X倍のダメージ。倍数については運次第。

『威圧と祝福』その香りは敵を萎縮させ、味方を鼓舞する。敵のステータスダウン・味方のステータスアップ。

『?????』熟練度が足りません。


さすが伝説級。ひのきの棒ってレベルじゃないぞ。

ちなみに普通のひのきの棒は攻撃力しか上がりません。しかも1しか上がりません。

特殊能力? そんなの普通のひのきの棒にはありません。

熟練度? そんなのあったかな? 覚えがないというかそんな数値は見たことがない。

この世界は『ふりーわ』じゃないのか? ま、そんな考えは後からにしよう。


そういえば、確か攻略サイトで、ひのきの棒、お鍋のふたの盾、布の服、スニーカーとかで戦うとかいう企画が運営者サイトで開催予定とか出てたけど。


まさかこの武器が報酬とかそんなやつなのか?


そうなると後は伝説の……、ってそろえた自分を想像したけど。やだなあそれ。

スニーカーは欲しいけど。


でも、それ以外はどうなのさ。

冒険者とかじゃなくて、とりあえず装備してみた町の人って感じがしないかな?

まだ村人のほうがましだ。

武器が鍬とか鎌だから。


って色々考えてみたら、村人のほうが強い気がする!

装備的にもステータス的にもあと生存本能的にも!

となると、こういう感覚かな。


都会人<町人<村人って感じ。


そうなると田舎は油断できないくらい強いやつらがいることになる。

やばい。この理論で行くと、こんな森に住んでる人間は超強いということになる!


……って、何考えてるんだ僕は。

あ、途中でトレント? まああれだ木の動くやつ。動きはゆっくりなんだけど耐久力があるやつなんだが。

通り道を邪魔してきたので、ひのきの棒でちょん。


塵になってしまった。


すまん! そんなつもりは微塵もなかった。

だが、塵になっちゃったけどねっ!

そんな1人でボケをしてしまったものの。


オサム探検隊は今日も行く。隊員は随時募集中!

よし、テンション戻していこう。

さすがにドロップとかはなかったし。うん。やっぱ塵にするのはよくない。



で、ようやく本題に戻るわけだ。


ある日、開けた森の中。


見るからに凶暴そうな、大きさは全てにおいて僕の3倍くらい。

キルグリズリーと言われる敵で、トレントが雑魚とすれば、こいつはボスクラス。

で、しかも見た目とか風格からして、ボスクラスじゃなくて、本気と書いてマジのボス。

片目にバッテンの傷がついた、熊って。ボス以外の何者でもない気がする!


聞いたことはよくあるけど、それをリアルにやってしまった! というのも『ふりーわ』の醍醐味なんだが。なんだが、これはちょっと、きつくないですか?


で、その熊に追い詰められて、地面にへたり込みながらも、何とか熊と逆方向に逃げようとするのが、多分見た目からしてどこかの村の娘さんだ。


……ごめん、きついのは僕じゃなくて彼女だな。人生的に。


落ち着け。まだあっちは僕には気づいてない。よし、こんなときは馬鹿なことを考えよう。

今の状態を『ふりーわ』っぽいイベント名をつけるならこんな感じだな。


ボーイ ミーツ ガール ウィズ ベアー! もしくは くまー!


で。助けますか? 助けませんか?

さて、究極の選択だが、どうするか。

間違えると、死にますか? 死にませんか? になるし。


ひのきの棒で何とかなる……相手だと思うけど。

防御の面が不安で仕方ないぞ! 普段着に防御力を期待していてはいけない!

靴下に何の防御力を求めるつもりだ?


さて、どうするどうするの僕は。

次回に続くっ!


次回なんてないよ。むしろそんな風になるわけないし。

さ、頑張ろうか。よし、よくわかんないけどテンションが上がってきた。



まあ、戦うんだけどね。『ふりーわ』では、例え魔王だろうが魔龍だろうが、神だろうが倒し方はいくらでもある。そう、攻略法は人それぞれ!

もちろん僕なりの強い敵の倒し方なんていうのも、どれだけでもあるということを証明しよう。


準備はっと。

用意するのは、いたいた。

めっちゃゆっくり攻撃力あんまり、防御と耐久力はそんじょそこらの木には負けない、トレントさん。

1体で大丈夫です。

さっきは10以上いたので困りましたが、今回は1体だけでよかったです。


さっきは全部塵にしたからね!


で、これをどうするかっていうと。

倒すわけです。塵にするんじゃなくて、倒すだけです。

木を橋にするやつです。どこかのRPGやアクションでもある、あれですよ。


ただ、トレントなのでうまくいかないと思うかもしれませんが、そこはトレントはモンスターということをうまく活用するわけです。


こんな風に。トレントの横で、呟くだけで大丈夫。


「倒れるがいいか塵になるがいいか、選べ」


ポイントは獲物、つまりはひのきの棒をこれ見よがしに見せることと、爽やかなそしてにこやかな笑顔ですね。

モンスターだろうと、交渉事には笑顔は大事です。トレントに顔はないけど。


脅迫? 失礼な! ネゴシエイトと呼んでもらいたいものだ。

そう、ネゴシエイターオサム。……駄目だ語呂が悪い気がする。

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