表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

3 くつが欲しいのに凄いやくそうをてにいれた

とりあえず、僕の目標が決まった。

本来の目標は、元の世界に帰ること。ほら、僕、受験生。

頑張って目標の大学に受かって、平凡かもしれないけど幸せな暮らしをしたいんだ。


そして今、出来た目標は、この世界に僕を送り込んだ元凶――多分この世界の神だろうが、それをぶん殴る。

がんばってね、だけでやってられると思ってるのか!

『ふりーわ』の世界は大変なんだぞ!

何せ昔のゲームをオマージュしてる点が多くて、攻略サイトがないと攻略不可とか多いんだからな!

そういうヤバイ点とお得なバグ技のところはきっちり覚えたけどね!

ちなみにお得なバグ技については、実際はバグではなく、ある昔のゲームのオマージュであるためだろう。

あえて仕様として存在しているとのこと。僕のような昔のその元ネタゲームを知らないプレイヤーには、ただお得技としか認識されないけどね。


そして、神を怒る理由のもっともなところがスキルだ。

正確にはスキル欄。

取得できるスキルには制限がある。

最大6つ。それ以上は習得できない仕組みらしい。

らしい、という推測になっているのは攻略サイトなどでも6つ以上持っているという報告がないため。

6つ全部埋めたという人間など極僅かでしかない。埋めた奴は『殿堂入り』と言われ英雄扱いされる。


埋めたそのスキルの内容はともかくとして。


プレイしていた頃は、『何でも識別団』と『無限なるカバン使い』そして『ラッキースター』。

頑張っても4つ目の壁は厚かったよ……。


ちなみに『ラッキースター』は運にプラス補正されるというスキルだが、どれくらい補正されるかというと。攻略サイトでは、クリティカル率やドロップアイテムなどがおよそ5%上がるという代物とかなんとか。

自分ではあんまり分からないものだが、確かに言われればそんな気もしなくもないような、というレベル。


これが今の僕だと『激運神』に替わったスキルだろう。

だが、このスキルが最大補正と言われてもどれくらい補正がかかるのかが不明。

プラスと言っているから問題はない、と思う。


で、元に戻って。

その貴重なスキル欄を訳の分からないので埋められた場合。


一回殴っても、いいんじゃない?(スマイル)

僕はそう思う。誰も否定なんてさせやしないよ?


と、誰に説明してるわけでもないんだけど、自分の正当性をきっちり確認する。

もしこんなので殿堂入りしても、僕としては他に殿堂入りした人たちに心の中で土下座だろう。

あ、ちなみにスキルは基本的には消せないので、なんて困ったゲームだ。


こういう点でもやりなおしが出来ないゲーム、それが『ふりーわ』だ。

なんて面倒な!

なお、セーブを消してもう一度、という選択肢を取ってもいいのだが。

その場合、スキルそのものを取れるかどうかが疑わしい。


スキルが取れる確率は1%未満。

攻略サイトが猛者を集めて統計を取り、そして運営側にも執拗なまでに問い合わせ。

その結果が、1%未満。もっと言うと、0.01%未満。

スキルが取れただけでも、何それマ ジ デ ス ゴ ク ネ ?

と片言になるくらいなので、スキルを取ったら速攻セーブというのが鉄板なのだ。


そして、スキルについては、例えそれが変なスキルでも、『ふりーわ』に基本的にはマイナススキルはないので。


そのスキルをなかったことにするなんて、とんでもない! となるわけだ。


だがしかし。なんだかもったいない。ああもったいない。

せめてこの怒りは神を殴るため原動力としておこう。そうしよう。


とまあ、そんなことを思いながら歩く。


しかし、靴がないと不便だ。

靴は文明の利器だな。ああ、欲しい。


ということで、考えたのが! 画期的なアイデア!

でかい草を抜く。それでとりあえず靴代わりになんとかできるのでは?

という安直な考え。


ほら、わらじだって草じゃないか! という考えでここに至りましたっ!


というわけで、抜くぞ! 抜くぜ! いやああああっほい!


近くにあった大きい草。なんだろうねこれ。

毒じゃなさそうだけど、僕の家の近くに咲いている椿の葉っぱによく似ているような。

つるつるとした肌触り。肉厚な葉っぱ。これなら、いけるんじゃ?


って、特に採取ポイントとかでもないだろうけど。

細かいことは気にするな! この近場に生えてたでかい草を引っこ抜く!


おおっ! 

手の中にあったでかい草が光を放ち、小さくなった。


っておおおおおおい!



なんてことになりやがられましたかっ! ちょおおおい!

誰が手のひらサイズでミラクルフィットしろと言ったあ!


ちきしょおおおお!

草原に寝転がるというか、もうやる気が起こりません。


せめてこの手のひらの草を調べるとするか。『何でも識別団』、レディー……Go!

チン! という音なんて鳴ることはなく、速攻で識別完了。


神薬草:『伝説級』。傷に貼ればたちどころに治し。煎じて飲めば体の不調や病をたちどころに治す。万能霊酒あるいはエリクサーと呼ばれるものの原点。むしろそっちが劣化版でこっちが本物。


なんだと。いや、この驚きは、そんな単調な言葉では表しきれない。

なんでそんな激レアアイテムが生えてるのか?

解説が正しいならば、戦士から錬金術師まで欲しがる伝説級がなんで!?


ゲットレア最高! よし、元気になった。ちょっと……ちょっとだけ食べてみよう。お腹すいたし。


……うんまああああああい! なんtsげkぐおえまあいえつゆい! ホオオオイ!


ちょ、言葉がバグるくらいうまい! 何これ!

強いてってか強いる必要もなくうまい! 味は何というか、爽やかでかつ甘みがあり、それでいて力強さが……駄目だ。言葉では表せない。僕に食レポは向いてない。


よし、非常食として保管。ついでにもう何本か取っとこう。

無限に物が入る道具袋を出して、抜く入れる抜く入れるを繰り返す。


かなり溜まった……100ちょっと超えたくらいでいいか。ステータス画面の道具袋で枚数確認。

またいつか来よう。さらば旨い草! また戻ってくるさ!

なんて思いながら、神薬草を一枚口に含んで歩き出す。


そうして当初の目的を思い出す。


靴はどこかにあるはずだ……! 草原の向こうを見ると。

遠くに森が見えてきた! よし、今度こそ草で靴を作るぞ!


そういえばモンスターとかいるのかな? それはやだなあ。


だって、武器ないもん。

防具? 普段着を防具というのかい?


ま、何かあれば逃げればいいさ。


目的は、靴だけだ! それ以外は戦略的撤退もしくは後方に全速前進で!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ