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5 二〇一号室、雨野松子、?
雨野松子は七四歳。年金暮らしをしている。
浦野ハイツにずっと住んでいる。
雨野は、気配を感じ、部屋の入口へと視線を移した。
少年と少女が、雨野を見つめている。
彼らは不気味な笑みを湛えていた。
雨野はゆっくりと彼らに近づき始めた。
何かを言おうと、口を開いた。
しかし、言葉は発せられなかった。
二人の背後から、大きな影が現れるとメノウとヒスイを押さえつけてしまった。
「この野郎! ぶち殺してやる!」
狂乱状態になった夕柳正彦だった。メノウとヒスイは苦痛に顔を歪めている。
「おばあさん! 警察を呼んで、早く!」
正彦の叫び声に、雨野は立ち上がると急ぎ足で部屋の隅へと向かった。
ドスリという衝撃が正彦を襲った。
正彦の意識は深い淵へと沈み、二度と浮上することは無かった。
「危なかったねえ」
金属製の棍棒のようなものを手にした雨野が、口を開いた。
「ただいま、雨野おばあちゃん」
メノウとヒスイが言った。




