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QUEST  作者: 市尾弘那
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第3部第1章第14話 敵襲(1)

 ロンバルト公国先王フェルナンド7世とその妻アンジェリカ公妃は、非常に仲睦まじい夫婦だった。

 ゆえに、今まで先代が使用していた公王の執務室のテラスには、アンジェリカのスペースとして僅かな庭園と花畑、花籠や籐の椅子が設えられている。

 現ロンバルト公王として執務室を占拠しているレドリックは、執務机に向かうゆったりとした椅子に腰を下ろして座面に乗せた足の片膝に肘をつきながら、窓の外に広がるアンジェリカの庭園に苦い視線を送っていた。

 レドリックにとって今後の展開として望ましいのは、ロンバルトは敗戦国として今後の戦況を静観していることである。理由としては、やはり表立ってはヴァルスにロンバルトの――レドリックの叛心を糾弾されたくなかった。戦況がどう転がるか確定しているわけではない今、万が一ヴァルスが勝利をもぎ取った場合に苦しい立場に置かれることになるのは、避けたい。このままロンバルトは戦線離脱を図り、ヴァルスの敗北が確定して後、レドリックは正式にロンバルトを戴冠、ひいてはヴァルス王女ユリアと婚姻関係を結び、ヴァルス王冠そしてアルトガーデン帝冠を手に入れる。

 いや、ヴァルス王冠に関しては、ユリアを女王として戴冠させても構わないのだ。但し、その実権はあくまでも掌握するつもりでいる。

 いずれにしても、レドリックの裏切りが公になった時に厄介ごとに繋がらないとは言えない。

(ヴァルス王女か……)

 レドリックは弟レガードと違って、ユリアと深い面識があるわけではない。だが数度見かけた印象では、大した美少女だった。妻として迎えるに不満はない。恋愛感情や愛情を抱くことはないだろうが、自らの装飾品としては申し分ない女性だろう。

 問題は、今現在、レガードの身柄がどこでどうしているのかだった。ヴァルスが敗北しようが、レガードが生きている限り、ロドリスを背後につけているとは言えヴァルス王家に食い込むことは難題だ。レドリックの知る限り、未だレガードの抹殺に成功したとの話はない。ロドリスも意外と無能である。

 渋面でテラスの籐の椅子を見遣って、レドリックはアンジェリカの処遇に考えを馳せた。フェルナンドが戦地で戦死してしまっている為、身代わりとしてアンジェリカを公開処刑することでロンバルトの制圧を知らしめるべきとの意見も上がっている。だが、レドリックはその意見に賛成することが出来ずにいた。親愛の情などでは無論、ない。処刑してしまった後から使い道に気がついたところで、手遅れなのである。その辺りを吟味してからでないと、結論を出すことが出来なかった。そしてレドリックには、ひとりで解を見つけ出せるほどの頭脳がない。片腕となるほどの人材に、レドリックは恵まれていなかった。

 ロンバルト王都ウォルムス陥落から一月……光の月も半ばに差し掛かり、ウォルムスを占拠していた連合軍は、ヴァルス侵攻の動きを開始している。

 ナタリア・バートの3万弱の軍がウォルムスから西南へ移動、現在ヴァルス西北のラルド要塞を目指して進軍し、一方でロンバルト東側のヴォルガ要塞とニールブラウン要塞に逗留中のロドリス軍3万5千がヴァルス北東のリミニ要塞を目指していた。ロドリス北部にあるサーディアール要塞に到着したリトリア軍2万は、このまま南下を続けてナタリア・バート軍と合流し、ラルド要塞を攻城する手はずとなっている。

 ヴァルス西北端の港街フォルムスにおけるヴァルス軍とナタリア軍の攻防戦は、次第に激化しているようだった。避難する人民が、エルファーラに辿り着く前に魔物に襲われて死亡すると言う事故が相次いでいるとの噂もある。ギャヴァン沖を船が航行できない今、ヴァルスは海軍の増援をすることが出来ず、陥落まではあと一歩だろうとの見方が日々強まっていた。

 そしてロンバルト公国ヴィルデフラウ城内の『清掃』は、ほぼ、完了している。

 親ヴァルス派――言い換えればレガードを慕う連中は、城内から一掃した。表立っては言わないが、彼らの中にはレガードのロンバルト継承を望む声もあると言う。そして兄より人望の篤い弟を信奉する連中は、熱心だった。ゆえに生かしておくことは、後々の憂いを残すことになる。

 但しその中でも、こちらに翻りそうな者に関しては地下牢に幽閉、もしくは監視をつけて自宅に軟禁と言う形を取っている。味方はひとりでも多いに越したことはないのだから。

(どうすっかな……)

 ラミアからはまだ、良い報告が上がって来てはいない。だが、このままヴァルスの宮廷魔術師が追撃を逃げきってヴァルスに戻ってしまえば、己をかどわかしたのが誰なのかを隠し立てしてやる理由はないだろう。ヴァルスは、ロンバルトへの制裁を考える。と言って、連合軍と足並み揃えてヴァルスへの攻撃に転じるのは現状、無理だ。

 ぎしぎしと椅子を無意味に揺らしながら当て所なく考えを彷徨わせていると、不意に扉をノックする音が聞こえた。顔を僅かに傾けながら返事をすると、開かれたドアの向こうに顔を覗かせたのは連合軍将軍アレックスだった。

「何だ」

 アレックスは、レドリックがロドリスと手を結んだこと、そして敗戦国となったロンバルト公家であることへの侮蔑を隠そうとしない。それがレドリックにはひどく気に入らず、皇帝位を継承した暁には目にものを見せてくれると思っている。

「ハーディンからの使者ですよ。あなたの動向の把握と身辺の護衛の為に、そばに控えることをお許し戴きたい。……エレナ殿」

 体の良い監視と言うわけか。レドリックはだらしなく椅子に掛けたままで、アレックスの方向に目をすがめた。その慇懃無礼な態度とどこか人を小馬鹿にしたような顔つきが、いちいち気に障る。

「はい。……失礼致します」

 そう言って入室して来たのは、女性だった。思いがけず片眉を軽く上げて、来客に目を向ける。背は高く、女性にしてはがっしりとした体つきをしているようだ。フル装備に身を固めていると言うことは、やはり兵士なのだろう。

 女性は一礼して片膝をつくと、レドリックに向けて名乗った。

「ロドリス王国ハーディン王城より参りました近衛警備隊第1小隊隊長エレナ・セル・ド・ロシェルと申します。この度はレドリック殿下の身辺警護を言い渡されて参りました。おそばに控えることをお許し戴きたく存じます」

「許すも許さねぇも、関係なく付きまとうつもりだろう。いーさ。好きにしろよ」

「……は。ありがたく存じます」

 レドリックの言に対する感情を表情に滲ませることなく、エレナは深く叩頭こうとうした。一応は近衛警備隊隊長を名乗るだけあるだろうか。アレックスのように不快にさせることは、とりあえずのところはなさそうである。

 何となくそう見て取ってから、レドリックは椅子の上に体を起こした。エレナに問いかける。

「で?いきなり身辺警護ってのは、どんなわけだ?……ああ。そっちの連合軍将軍。お前はもう下がれ」

 ロドリスの将軍職を全く尊重するつもりのないその態度に、アレックスは微かに顔を顰めながら、口を開いた。祖国を売り渡した男であろうが、敗戦国であろうが、一応はロドリス王国と手を結んだ公族である。アレックスより身分が高いことに違いはない。

「お言葉ではありますがね。私の方からも少々殿下にお話がございます。それが済みましたら退室させて戴きますとも」

 邪魔臭い無頼漢には、さっさと消えて欲しいのだが。

 内心に留まらず、実際に舌打ちを口にしながら、レドリックはエレナに立つように言い渡した。

「そっちの椅子にでも座ったらどうだ?」

「いえ。それは致しかねます。このままで」

「で?」

「……は」

 レドリックに言われたそのままに立ち上がったエレナは、短く問うレドリックに無表情のままに答えた。

「確認させて頂きたい点がございます」

「……何だ」

「レドリック殿下は、ヴァルスの宮廷魔術師の身柄を預かっておられたかと存じますが」

 今度は内心のみでそっと舌打ちをしながら、レドリックはエレナを見返した。

「そうだな」

「現在、ヴァルスの宮廷魔術師の身柄は、如何様いかようになっておりますか」

「……」

「先日、レドリック殿下は、私兵を動かしたかと存じます」

「……」

「その意図は」

「それを聞いてどうする?」

 忌々しげに顔を顰めたレドリックに、エレナは静かに口を開いた。

「誤解なさいませぬよう。殿下の御身を案じておりますゆえでございます」

「どういう意味だ?」

「もしも殿下が私兵を動かされた理由が、ヴァルスの宮廷魔術師の逃亡などである場合」

「……」

「殿下の身に、不都合が生じはしまいか、と」

 ちらり、とレドリックは視線を上げた。エレナが真っ直ぐにその目を見つめ返す。

「……どういうことだ」

「ヴァルスの宮廷魔術師がヴァルスへ舞い戻った場合、殿下はヴァルスからその身柄を狙われる可能性がありはしますまいか」

「……」

「ヴァルスにとっては、些か不満を感じる事態であることは、ご承知かと存じます」

 ご不満なのは確かだろう。現状、唯一の味方国であったはずの後継者が率先して裏切っているのだと知れば、ご不満どころか怒り心頭のはずである。レドリックは鼻の頭に皺を寄せながら、目を細めてエレナを見返した。

「さすれば、ヴァルスが殿下の御身に害を加えようとすることは考えられます。私の派遣は、それを案じてゆえのこと。殿下の安全を、不肖私がお守りさせて戴く所存にござります」

「ヴァルスが俺の暗殺を目論むだろうと……こういうことか?」

 立ったままで深く頭を下げたエレナを見遣りながら、すっと背筋が冷えた。――暗殺。全く、その通りだ。ヴァルスはロンバルトのみならず、いや、レガードをおもんぱかってロンバルトではなくレドリックに制裁を加えようとする可能性がある。無言で一層頭を下げたエレナの態度が、その可能性を示唆していた。

「再度、確認致します」

 無言に陥ったレドリックに、エレナが窺うような視線を投げかけながら、改めて問いかける。

「ヴァルスの宮廷魔術師は、殿下の監視下を離れて逃亡中なのですね?」

「……ああ」

「であれば、ロドリスからも追撃の手を向けさせましょう。アレックス将軍。手配を」

「承った。……つきましては、殿下」

 エレナの言葉を受けて頷いたアレックスは、続けてレドリックに顔を向けた。何やら威圧的なものを感じて、レドリックは内心微かに怯んだ。

「何だ」

「ロンバルトの軍の、再編成を」

「……な」

 アレックスの話は、どうやらそれらしい。対ヴァルスへ向けての、ロンバルト出撃の要請だ。

 咄嗟にレドリックは、椅子から立ち上がっていた。先ほどちらりと頭を過ぎった考えではあるが、実際問題、それは無茶だ。

「馬鹿言えッ」

 ロンバルトは、つい先日までヴァルスと足並み揃えての友軍だったのだ。兵士たちは連合軍との実戦も交えている。幾らなんでも一朝一夕で手のひらを返したように、共に戦ってヴァルスに仕掛けるなど出来るはずがない。統制は取れない。

「今すぐになどと、無茶な話だッ。ロンバルトには親ヴァルス派が多い。昨日今日でいきなりヴァルス軍に仕掛けることなど、兵たちが納得しない。静観するならばまだしも、攻撃を仕掛けさせるのは現状不可能だ」

「何とかなさって下さい」

 声を荒げるレドリックをどこ吹く風と受け流し、アレックスは薄ら笑いを口に刻んだ。

「戦況は既にヴァルスにとって向かい風となり始めている。ここで、唯一の味方国であったはずのロンバルトがヴァルスに進軍してくれば、ヴァルス兵の気力を根こそぎ削ぐことが出来ましょう。良いチャンスだ」

「だからと言ってッ……」

「今日明日でなくとも、結構。但し、このまま静観の姿勢を取るおつもりだけはなきよう、手元に残った部下を使ってロンバルト軍の再編成とヴァルス進撃をご考案戴きたく」

 言葉に詰まるレドリックに、アレックスは薄笑いを浮かべたままで念を押すように、繰り返した。

「再度申し上げます。ロンバルト軍の再編成を、早急にご検討下さいますよう。……我々と同じ目的を掲げるならば……」

「……」

「今一度、殿下の誠意と、実のある行動を。……期待、しておりますよ」


          ◆ ◇ ◆


 アンフェンデスは、ロドリスとリトリアの国境間近にある。アンフェンデスまで辿り着ければ、バートを僅かに挟んで北はもうリトリア……そこから察するに、リトリア貴族であるソフィアの目的は正確にはアンフェンデスではないのだろうとシェインは踏んでいる。

 ソフィアは人に会いに行くと言った。そしてアンフェンデスにいるわけではない、とも。目的は、リトリアへの国境越えだろう。リトリアの何者かに追われている彼女は、恐らくリトリア国内を移動するよりはと一度ロドリスへ入り、ロドリスを経由して横断し、リトリアの目的の街へ向かうつもりなのだろうと推測がつく。しかし、まだそれについての説明は、ない。

 タフタルからアンフェンデスまでは、通常ならば徒歩でおよそ1週間ほどの行程であると聞いている。直線距離にすればそれほどの距離でもないのだが、途中に湿地帯や、やや険しい岩窟地帯を通過するがゆえに移動に多少の時間を要する。

 シェインの同行について、ソフィアは快く承諾をしてくれた。むしろ、願ったりと言うような様子だ。やはりエディと2人では、心許ないのだろう。味方は多いに越したことはないのである。

 共にアンフェンデスへ向かうことに決まり、魔物の出現が多いながらも4日目には中間地点と言える湿地帯に差し掛かっていた。続いていた草原が途切れ、荒れ放題と言うような様子で草木が生い茂り始め、やがて足元がぬかるみ始める。

「やっぱり、迂回路を取った方が良かったんじゃないのか!?」

 垂れ下がってくる木々のせいで、昼尚暗い湿地帯の中空には、ふわふわといくつもゼリー状のものが浮遊している。グレルと言うクラゲのような姿をしたその魔物は、複数の触手に毒を持つ。

 襲い掛かってくるグレルの1匹を剣で真っ二つに切断しながら怒鳴るシェインに、エディの声が答えた。

「戻るか?」

「今更か!?」

「この状態が続くのならば、戻ることを検討した方が早いかもしれないな」

 足元の泥濘でいねいは、次第にひどくなっている。時折足を取られながらも、剣を振るってはグレルを片付け、のろのろと先へ進んでいく。

「こんなところで、一通りは片付いたか?」

 ソフィアがまとめて2匹のグレルを薙ぎ払い、中空に視線を彷徨わせて呟いた。見回す周囲にはとりあえず、魔物の姿は見えないようだ。

「ああいう小粒な魔物は、邪魔臭いな」

「と言って大型に出て欲しくはないのだが」

「それは、そうだけど」

 咎めるように釘を刺すシェインに、唇を尖らせて見せながら、ソフィアは剣を拭って鞘に収めた。3人とも既に足元はどろどろである。

「これ以上深くなると、ちょっと厄介だな。脱け出せなくなるかもしれない」

「やっぱり戻ろう」

 エディの言葉に従って、方向転換をする。今来た道を戻りかけて、不意にソフィアが軽い足取りで小走りに跳ねた。

「あ、ねえ」

「え?」

「ところどころ、足場がある」

「足場?」

 ここの湿地帯は、場所によって深さやぬかるみがまちまちだ。急にふくらはぎ辺りまで浸かってしまう時もあれば、足首までで済むこともある。だが、そう言うソフィアはまるで堅い地面にいるように、軽々とステップを踏んで見せた。

「この……ところどころに、この草が生えているでしょう?」

「どれ……ああ、この紫の斑点のある葉か」

「そう。これの生えているところってのは、ぬかるんでいないみたい。だから、この草を目印に……」

 言いながらソフィアは、再びステップを踏むように軽々と草から草へ、飛び移った。わりと頻繁にある草なので、飛び石程度には足場を確保することが出来る。

「先ほど気づくべきだったな」

「今気がついただけでも感謝してよ」

「それもそうだ。感謝しよう」

 一旦、泥濘がひどい地帯を抜け出して、それぞれ泥を吸って重くなった足を顰め面で簡単に払うと、ぬかるんではいるものの、堅いと言える地面に戻って再び歩き出す。歩き出しながら、シェインは後方を振り返った。

「だが、あの『飛び石』が続くのなら、戻らずとも進めるのではない……」

 シェインが言いかけたところで、ふと前を歩くエディが動きを止めた。そのまま、何かを探るように前方を見据えている。

「? どうし……」

 問いかけて、シェインもその理由に気がついた。何か音がする。草木を踏み分ける音――馬の、蹄だ。

「……どうする」

 エディが前方に視線を定めたままで、短く問う。視線を定めているとは言え、鬱蒼とした暗い森の中だ。その先が見えているわけではない。けれど聞こえる物音は、それほど遠くもない。

「厄介ごとには巻き込まれたくないな」

 答えながら、シェインは内心に微かに湧いた緊張を隠しきれなかった。まさか、シェインを追うレドリック配下の者か。追われる覚えがあるだけに僅かに心を緊張させていると、隣に並んだソフィアもまた、息を飲んだ。

「装備を身につけているな。金属音がする」

 微かに風に乗る音は、馬の蹄や嘶き、そして金属音。だが、聞く限り、フル装備と言う感じでもなさそうではあるが……。

「とりあえず、こっちへ向かって来るようだな。面倒ごとは避けたい。出会いたくないから、やはり戻るのはやめて進もう」

 急遽、方針と進路を180度戻して、今折り返してきたばかりの道を再び先へ進む。自然と早足になるが、後方の物音は騎乗しているのだから、次第に間合いは近くなっていった。内心、焦りを覚える。

 もしもシェインを追う者であれば――シェインの素性がソフィアとエディにバレることになりかねない。それにはまだ時期尚早と思えたし、加えてその中にラミアがいるとすれば、かなり厄介である。魔法を封じられたままでは、勝算がない。

 一方で、ソフィアの方もまた、緊張した面持ちをしていた。ソフィアはソフィアで、追われる心当たりがある。飄々としているのは、記憶喪失の男だけである。

 草木が茂る暗い森とは言え、1本道を辿っていてしかも後者の方が進行速度が速いとくれば、距離が縮まらないわけがない。やがてこちらから視認出来る位置まで姿を現した一団は、シェインたちの姿に目を留めたようだった。

 ちらりと振り返って後ろの集団の姿を確認すると、ひとまずシェインはほっと息をついた。とりあえずのところは、ラミアの姿はないようだ。

 人数は、8人。フル装備で身を固めているわけではない。どちらかと言えば、軽装備と言える。


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