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QUEST  作者: 市尾弘那
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第2部第2章第26話 海底のダンジョン5 【浄化】 後編(3)

 認識したカイルとシンの意図を現実と受け止めたくない俺の前で、シンは腰の袋から金具を取り出した。鉤爪のようになっているそれをロープに引っかけ、2、3回体重をかけるようにしてロープの具合を確認すべく体を弾ませる。

「『風の刃』ッ♪♪」

 キグナスの快調な魔法と爆撃音が続く中、シンがふわりと体を崖下に踊らせた。片手でぶら下がった金具が勢い良くシンごと、対岸に向けて滑り落ちていく。その体重にぐいっと下に一度たわんだロープが、左右の儚いストッパーに支えられて持ち堪える。

「シンッ……」

 なんて剛胆な。

 つい崖を覗き込むと、水面は遙か下、落ちたら間違いなくただでは済まない高さだ。覗き込むだけで胃が縮む。

 シンの背中はみるみる小さくなり、やがて向こう岸に……と、うわああああ……。

 ブチィッ……ガン、ガシャンッ……。

 対岸に突き刺さっていたボーガンの1本が、弾け飛ぶように抜けた。当然渡されていたロープも一緒に弾け飛んで、奈落へ吸い込まれていく。

 思わず息を飲む中、シンは残り2本のロープで向こう岸へと辿り着いた。

「……っかねー……」

「まあ、これ用に改造してあるとは言え、こういうこともあるだろうな」

 そんなあっさり呟くけど、下手したらシンは真っ逆さまだよ、カイル。

「ゲイトッ、もっとでかい発破ってのはねぇのか!?」

「光を与えしウィル・オー・ウィスプよ!!その身を裁きの矛と変えよ。ポエブス!!」

「無茶言うなよッ。こっちだって市街戦で物資が不足してんだッ」

 時折背中から爆風と石礫を感じながら、対岸でこちらに背中を向けて作業をしているシンの背中を見守る。やがてシンがくるっとこっちに向き直り、片手を上げるのが見えた。それに応えたカイルが、シンが持っていたのと同じ鉤爪の金具にロープをくくりつける。

「?」

「スライダーには限りがある。残念ながらひとりにひとつずつ渡してやるわけにはいかんからな。誰かが渡りきったらこれでたぐり寄せる」

 ああ……そうか。

 それからおもむろに、カイルが俺の方を見た。

「じゃあまず行け」

「……」

 俺ですか?

「まさか彼女を先に渡すわけにはいかんだろう」

 カイルがナタを示す。

 そりゃそうだ。そりゃあ、わかってるんだが。

「……」

 ひゅるるるる……。

 つい覗き込んでしまう崖っぷち。

 胃が痛くなるほど、高い。

 頼りになるのは2本のロープ。

 以上。

(……)

「早くしろ。水流が戻る前にこれだけの人数が渡らなきゃならん」

 ですよね。

(仕方ない)

 シンは補強も何もしていない一発目を渡ったんだ。怖じ気付いてどうする。情けない。

 とは言え。

「……」

 スライダーを手に、崖っぷちに立つ。

「うわーお。高いねえ」

 他人ごとのように言うなよナタ。俺が行ったら次はあんただ。

「はあ……」

 不思議だよな……死ぬかもと思ったことは何度もあるし、魔物と対峙したって怖くない。いや、今だって怖いとは多分、頭では思ってない。

 けど、体が。

 胃の辺りをせり上がるような緊張感。これってやっぱり、怖いんだろうか。

「……じゃあ、行きます」

 覚悟を決めて、スライダーを握る手に力を込める。思い切って地面を蹴ると、ふわりと体が浮いた次の瞬間にはがくんと全身に重力がかかった。

(うわー……)

 が、それも一瞬のことで、すぐさま手に持ったスライダーが俺の体を引き留める。ロープがたわんだかと思うと、俺の体はすっさまじいスピードで斜め下めがけて滑り出していた。下る勢いで起こる風が耳元でびゅうびゅうと音を立て、髪がむしられるんじゃないかって勢いで後方に引っ張られる。

(ひぇ〜〜〜……)

 これで手が滑ってみろ。高校生活では味わえない死に様が体験できる。もはや俺の頭にはゴーレムの存在など片鱗さえも残ってはいない。

 耳元で風を切る音と体中に受ける風圧、重力で息が詰まりそうになっていると、やがて速度が緩くなった。ロープの傾斜がなだらかになってきたんだろう。

 みるみる眼前に迫っていた岩肌が、急に近づく速度を落とす。さっきの速度では辿り着いた時に壁に叩きつけられる自信があったが、これなら何とかバランスを取って着地できそうだ。

「ご苦労」

「……っと……」

 滑る勢いに任せて、スライダーから手を放して降り立った俺に、迎えてくれたシンが笑う。

「あー、心臓に悪かった……」

「道が出来ないからな、これ以外にやりようがない。しかも」

 言いながらシンがすぐ近くで上からぽちゃぽちゃと落ちてくる水流を見上げながら、カイルに向かって片手を挙げる。

「時間がないんじゃないか、多分。これを逃すとまた次はしばらく待たなきゃならんだろう」

「うん……そうだね」

 するするとカイルに巻き取られて、スライダーが向こう側へと戻って行く。一方で、シンが再度こちら側のボーガンを補強した。

 スライダーが完全に向こうに戻りきり、続いてこちらに渡ってくるナタが中程まで来たところで、対岸から一際でかい爆音が届く。ゲイトがさっきのよりでかい発破を使用したらしい。

 ただでさえ体のあちこちがぼろぼろと欠けていたゴーレムは、それで間違いなく止めとなったようだ。一挙に残った全身が粉砕され、まるでその一部だけ砂嵐でも起こっているかのようにぱっと細かな粉塵が舞い上がったように見えた。ここから見ても決着がついたことがわかる。

「まだ、大丈夫だよね……」

「さあな」

 時折滝の様子を見上げてみれば、水流が戻るまでにはまだ余裕がありそうではある。

 けれど、急いでおくに越したことはないだろう。

 カイルが対岸でみんなを急かしているのが見える。ゲイト、ニーナ、キグナス、シサーと次々にこちら側へスライダーで湖を渡り、その間、シンは幾度もボーガンの補強をしなおした。

「ひぃぃぃぃ……おっかねえええええええ……」

「いよいよ最後か?」

 滝の裏に見える洞窟に向き合って、けろっとしているシサーがにやっと笑いを浮かべる。

 さっきまでのご機嫌はどこへやら、スライダーですっかり怯えきったキグナスが地面にへたりこんでいる間に最後のカイルが渡り終え、俺は手を貸してキグナスを立ち上がらせると、その肩を軽くぽんと叩きながらシサーに続いて洞窟へと足を向けた。

「ほら……急ぐぞ」

「……うん」


          ◆ ◇ ◆


「資格はもらえなかったけど、大丈夫なのかな……」

 この洞窟もあまり長くはなさそうだ。既に先が見えている。出口へ向けて歩きながら呟く俺に、まださっきの恐怖を引きずったようなキグナスが答える声が届いた。

「どっちにしたってあのまんまあそこにいるわけにゃいかねぇし、しょうがねぇんじゃん?」

「そりゃそうだけどさ、わかってるか?俺たち、ヘイリーの腕輪を手に入れなきゃ、バルザックの行方がもうわかんないんだぞ」

「あ、そうだった」

「……」

 ダンジョンを満喫したみたいで何より。

 短い洞窟を抜けると、小さな部屋に繋がっていた。見上げると、ここの天井もめちゃくちゃ高い。けど、ちょっと不思議な光景だった。

 不思議だったのは天井じゃなくて、壁。

 ぐるりとその小さな部屋を囲むように広がる壁は、ガラス張りのように透けていた。二重構造になっているらしく、内側の壁から隙間を置いて外側にもうひとつ、そちらは不透明な、床と同じ青味を帯びた黒い岩壁だ。

 2枚の壁の間には何もない。少なくとも今のところは。けれど、内側の壁の向こう側に水跡があることと、隙間の床に水の名残がまだ僅かにたまっているところを見ると、水が隙間を満たすようになっているらしい。水位が上がったり下がったりするような。

 ……どういう、ことだろう。

 何か、嫌な感じ。意味もなく上がったり下がったりするとは考えにくい。いや、理由があると言うより、例えば自然とそうなるとか……自然とそうなる?

 潮の、満ち引きのように?

 そのイメージは、俺に何かを彷彿とさせた。何か……何……?

(あ、そうか……)

 少し考えて、その答えに行き当たる。シサーが前に言っていた、『人魚岩』の辺りの潮の満ち引きを連想させるんだな、何となく。

 結局、あの『道が出来る』とかって話は関係なかったんだよな。だって俺たちは結局『人魚岩』に近づくことなく、このダンジョンにこうして入り込んでいるわけだし。

 この小部屋には、正面にドアがあった。鍵になるのは『わらしべ長者』で手に入れた、ゲイトの持っている鍵だろうと思ったのは俺だけではなかったんだが。

 意に反してそうではなかった。

「あれ?」

「どうしたの?」

「開いてる……」

 開いてる?

 ゲイトの言葉通り、その扉に鍵はかかっていなかったようだ。するりと抵抗もなく扉は開き、ゲイトは首を傾げながら中を覗き込んだ。

「う、わ……」

 途端、中から小さな感嘆の声。

「どうし……」

 続いて中に足を踏み入れた俺にも、すぐにその理由がわかる。

 扉から続く部屋は、広いものではなかった。奥行きは3メートルくらい、幅は……5メートルよりはありそうかな。だけど10メートルはないと思う。ゲイトが声を上げた理由は、その正面の壁を見たからだろう。壁一面を埋めるような、でかい1枚の絵。

 風の砂漠のダンジョンのような壁画じゃない。ちゃんとした絵画だ。キャンバスで言えば何号ってことになるんだろう。壁を埋めるそのでかい絵は、丁寧な細工の為された豪奢な額縁に収められていた。見た感じでも美術的価値は相当ありそうな代物。

 だけど。

「……これ?」

 絵に視線を定めたままぽつんと呟く俺に、シンが唸るのが聞こえた。

 ……ありうるな、とは思ったんだよ。確かに。

 だけど……。

「『財産は故郷』ってか……」

 同じように絵画に視線を定めたままで、キグナスがぼそりと呟いた。

 絵に描かれていたのは、少しだけ高い位置から見下ろした村の風景。それは第4階層の光景に良く似て、陽気な笑い声を上げているだろう鍛冶場のドワーフや、酒樽を囲んでいる姿がここからでも良く見える。風の流れさえ伝わりそうなその動的で尚美しい光景は、本来の資格を持つドワーフならその温もりさえ感じて涙をこぼすであろうほどの……だけど。

 ではあるが。

「これはさすがに持ってはいけねぇなあ……」

 シサーが呟くのが聞こえた。

 まったくだ。いくらこれが美術品として価値があるとしたって、こんなものを持って帰れるわけがない。

「こぉゆーオチかよぉ」

 キグナスがぼやくのを聞きながら、そっと眉を顰めて考える。見渡す限り部屋の中には他に何もなく、どこかへ続きそうな道や部屋などももうどこにもなかった。

(じゃあ……)

 ヘイリーの腕輪は、どこにいったんだ?

 ダイナのドワーフにとっての財が失われた同胞の村――それはそれで、良いとしよう。だけど当事者であるはずのヘイリーが、村中の財産……抽象的なものではない『財宝』が何者かにどこかへ持ち出されたことを示唆している。間違いなく『財宝』と呼べるものが姿を消しているんだ。それは、どこへ行ったんだ?

 風の砂漠で見たあの絵は、いささか誇張があるにしたって、それなりの財貨があるはずで……。

 ダンジョン内に散らばっていた宝箱か?少なすぎやしないか?いや、その全部を……それこそ4つのダンジョン内に散らばっていた宝箱を見たわけじゃないから憶測に過ぎないけれど……。

「……」

「……あ」

 がっかり、としか表現のしようのない沈黙の中、不意にニーナが声を上げる。顔を上げると、ニーナは部屋の隅にしゃがみこんでいた。その背中からは何をしているのかは良く見えないが、ニーナがぐいっと何かを動かすような仕草をし、それに連動するかのようにガコンッと音がした。ちょうどゲイトのいる辺りの床の一部がぼこんと開いている。どうやら何かのスイッチをいじったらしい。ゲイトも部屋に入るなり絵画に目を奪われていたから、まだそのスイッチの存在に気づいていなかったんだろう。開いた穴からは小さな箱が覗いているのが見えた。……宝箱!?

「っしゃあッ。これが本命かッ!?」

 ゲイトがその箱に飛びつく。シンとキグナスもゲイトのそばまで駆け寄って、その箱を取り囲んだ。

「……あ、これ」

「ここの鍵だったのか」

 そんな声が聞こえて、俺もそちらに足を向ける。箱の大きさは40センチくらいだろうか。50センチに足らず、30センチより大きい感じだ。

 例の、ゲイトが持っている鍵は、この箱の鍵だったようだ。じゃあこの箱が『わらしべ長者』の最後の変換?

(何だろう……)

 何か、ずっと引っ掛かってるんだよな……。

 そうは思うもののそれが何かまではわからなくて、考えたまま鍵穴に鍵を差し込むゲイトの手元を見つめる。カチリ、と音が響き、続いてゲイトの手がその蓋を引き上げた。

 開けたその中には金銀財宝がぎっっしり!!

 ……なんてことは残念ながらここでもなく、中から出てきたのは……。

「これが、最後の宝なのか?」

 俺の隣で無表情に組んだ腕についた手を顎に押し当てているシンが、中身を取り出すゲイトの手元を見つめている。

 中から出てきたのは、また彫像だ。それも女神像……。

「大したシロモノじゃねぇぞ、これ」

 取り出したゲイトが鑑定するようにためつすがめつして、彫像の感想をそう漏らす。造りこそ精巧と言える美しいもののような気がするが、その材質とでも言うんだろうか。盗賊のゲイトがそう言うんだから、例えば宝石になるような石で造られているようなものではないらしい。

 大きさで言えば箱に見合った、30センチそこそこの大きさがあるから、これが例えばルビーだの何だので出来てりゃ話はまた別なんだろうが、ただの石で出来ているんじゃあ……ただの石じゃん。いやでも、美術品的価値があったりとか。

「どう考えたって、こっちの『鍵』の方が財産的価値があるぜ。これがオチなら俺は怒る」

 彫像を放り出しかねないゲイトの手からそれを受け取って、眺めてみた。隣から、シンとキグナスが覗き込む。

「……でも、ちょっと変だよね、この女神像」

「ああ」

 ファーラを模してはいるんだろうとは思うんだけど、その姿はこう……妙に濡れそぼっていると言うか……手にした錫からも水が滴るような細工がなされていて、俺は女神像なんて多数見たわけじゃないけれど、何か不自然なものを感じた。

 何だろう。何がこんなに引っ掛かってるんだ?黙って女神像を見つめる。シンとキグナスも考え込むように横合いから同じように像を見つめ、ゲイトだけふてくされきったような様子であぐらをかいた床からそんな俺たちを見上げていた。

 ……と。

「おいッカズキッ」

 いつの間にかこの場を離れていたらしいシサーが、慌ただしい足音と共に部屋に駆け込んでくる。顔には少し、危機感が滲んでいた。そのシサーの背後から、水音が……水音?

「え?」

 彫像から顔を上げてそっちを向いた全員に聞こえるように、シサーが早口で言った。

「やべぇ、ここの出口、時間が決まってるらしいッ」

「ええッ!?」

「もうじき、出られなくなるッ」

 何だとおッ!?

「どういうことッ!?」

「いいから来いッ。これ逃すと次またしばらく待たなきゃならなくなるぜッ」

 言われるままに駆け出す。俺に続いてキグナスやシンも駆け出し、絵画の間を抜けた小部屋で水音の正体に気がつく。二重構造の壁の内側に、水が上からぼたぼたと降り注いで来ているのが見えた。左側の奥にはさっきはなかった階段が姿を現し、カイルが俺たちの到着を待っている。

「周囲のチェックはぬかりないか」

「ない!!あれ以上は何もないッ」

「わかった。ニーナとナタは先に行かせたぞ」

「さんきゅッ。俺たちも行こう」

 促して階段を駆け出したシサーの言葉によると、結局大したものがなさそうだと判断したシサーやカイルが宝に見切りをつけて絵画の間の前の小部屋に戻って出口を探っていたら、からくりになっている隠し扉を見つけたのだそうだ。開けてみるとどういうわけか続く階段は一面びしょ濡れで、遙か頭上に浮かぶ光……出口に向かう途中に、開閉式の門があった。疑問に思ったカイルが探ってみるとその門は外の何かからかかる圧力で自動的に開閉するようになっているようだ。

 何かの圧力……。

「水圧だよ」

 階段を駆け上がりながら、シサーが説明してくれる。

「あの部屋の周囲はお前らも見ただろう。仕組みまではわかんねぇが、周囲の水が増減する。その加減で、あそこの門が開閉するようになってんだ」

 言っているそばから、階段をちょろちょろと水が伝って降りてくる。確かに少しずつ、浸水してきてるんだ。

 とりあえずあの彫像だけを抱えて脱出を図った俺たちが階段を駆ける間にも、水はみるみる浸入してきていた。駆ける足元が水を跳ね上げる。

「こんだけ苦労して成果はこれだけかよッ!?」

「最中にも宝はあっただろッ。俺たちなんか成果なしだッ」

 ぼやくゲイトに答えながら、ようやく門を駆け抜けた。それからややして、通路中が軋むような音が聞こえる。

 ガターンッ。

 続いて盛大な音と地響きが聞こえ、振り返ってはいないけど門が閉じたらしいことがわかった。

「多分、今頃あの滝も元通りなんじゃねぇか」

 前を駆けるシサーの声に顔を上げる。……そうか。なるほど。

 穴に抜けられるのは水流が緩まっている間だけ。あの謎に答えられて資格を認められれば、ゴーレムとの戦闘なんかしなくて済んだはずだし、時間にはもっと猶予があったはずなんだ。もしかすると例の『声』が、タイムリミットや抜け方なんかを教えたりしてくれたのかもしれない。

 何らかの作用で水がせき止められている間だけ、脱出口が開く、と言うことを。

 あの滝と、部屋の周囲を囲む二重構造の壁――あれがきっと脱出可能時間の目安になるんだろう。部屋の周囲に水がたまり始めたら危険信号、と言うように。

「抜けたッ……」

 シサーの声と共に、俺自身も階段の最上に辿り着いた。久々に感じる青い空と眩しい太陽。

 そして抜けた先に、思わず俺は、息を飲んだ。

「ここは……」

「『人魚岩』……!?」











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