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砕牙~白銀の破壊者~  作者: 伊東 無田
空白の物語 上
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59話 犯人の証言

お久しぶりでーす!

思えばこの夏は忙しくて執筆するひまがありませんでした。

論文やったり、逆転5やったり、実験やったり、ストZERO3やったり、ヴァンパイアやったり、ダンガンの1と2をやったりと、とにかく大変でした。……はい、ほとんどただ遊んでただけです。申し訳ございません。


それでは本編です。

 無事に犯人を捕獲したゼノは、現在ギルドの応接室で報告をしていた。応接室にはゼノ、ギルド長のジャメル、その秘書らしき女性、そして犯人のショーンの四人がいた


「うむ、任務ご苦労じゃった。目撃情報も僅かしか無かったのによく捕まえてくれた」

「どうも。それより聞きたいのですが」


 ジャメルの労いを軽く受け流して、ゼノは未だ気絶しているショーンの方を見た。


「この人はこの後どうなるんですか?」

「う~む、それなんじゃが」

「私から説明させて頂きます」


 ギルド長が答えずらそうにしていると、傍らに控えていた(容姿70点:ギリギリ美人)秘書がメガネをかけ直しながら口を挟んだ。


「ギルドの方針としましてはアトランドのギルドを期限付きで利用禁止、実質的な王都追放が打倒だと考えています。

 基本的に冒険者同士のいざこざには不干渉ですが、今回は流石に見過ごせないレベルですからね。ですが――」


 アトランドのギルドを利用禁止されただけなので、他の町のギルドを利用する事は禁止されていない。罰としては軽いがそれが打倒というのがギルドの意見だ。

 しかし、問題が一つあった。


「今回の依頼主が犯人の身柄を拘束すると主張しておりまして……このままですと彼は依頼主に引き取られる事になります」

「依頼主とは、たしか貴族でしたよね?何故そんなことを?」

「恐らくじゃが、見せしめのためじゃろうな」


 ゼノの問にギルド長のジャメルが答えた。


「今回の被害者に貴族の子息がおった。お主と揉めた者のことじゃ。今回の依頼主の息子でもある。

 お主も知ってのとおり貴族というのは知ってのとおりプライドの塊での、そのプライドを傷つけた相手が王都追放程度の罰では気がすまないということじゃな」


 またか……、ゼノが抱いた感想はそれに尽きた。

 プライドの為なら相手を殺すことすら平気でやってのける。ゼノにとって貴族とはそんな相手だった。


「で?今の話を聞いてお主はどう思った?」

「……とりあえず冒険者なめんな、ってとこですかね」

「というと?」

「被害者のボンボンはあの日冒険者としてこの町来ていた。そのくせ実際に何かあったら実家が出張ってくる始末。

 本物の冒険者はみんな命懸けてんだ。それが出来ないなら最初から冒険者ごっこなんてさせんなって話ですね。

 何より気に入らないのが冒険者ギルドの意向を無視して身柄を引き取ろうとしてるのがゆるせないです」

「「………」」


 軽い気持ちで感想を聞いたら、予想外に饒舌になって批判しだしたゼノに二人は思わず目が点になった。


「あ~、以前貴族と何かいざこざでもあったのかえ?」

「はい、よくありました」


 これ以上藪をつつくのは危険と判断し、ジャメルは話題を代えることにした。


「そ、そうか……実はもうすぐ依頼主がここに来ることになってのう。そのままそやつを連れていくつもりのようじゃ。

 それより、貴様はいつまで寝たふりをしとる」

「……気づいていたのか」


 先程まで気絶していたショーンが起き上がった。途中から会話を聞いていたようで、その表情はまさに絶望的に沈んでいた。


「……どっちにしろ俺は終りさ。貴族に連れていかれれば、秘密裏に消される。通常の処分通り王都を追放されれば、行き場もなくさ迷って死ぬだけだ」


 ショーンは既に人生を諦めているようだった。

 ただでさえ冒険者として落ちこぼれ扱いされ、偶然得た"力"でさえいとも容易くねじ伏せられれば無理もない。


「ギルド側としてはやはり最低でも王都追放は逃れんな。しかし、それ以前に貴族の意見に表だって反抗できん。情けないことに、な」

「別にいいさ……本当ならあの時くたばってたんだ。棍棒を受け取ったあの時にな」

「そういえば、何で牙折りを名乗っていたのか聞いてなかったな。それも含めて聞いても?」

「ああ、あれは---」


 そしてショーンは棍棒を手にいれた経緯を話し出した。

 路地裏で死にかけていたこと。

 見知らぬ男に棍棒を渡されたこと。

 そして、その対価として牙折りと名乗ること。


「まあ、喧嘩をしたら名乗れとしか言われてなかったからな、いま考えたら自分から喧嘩を吹っ掛けろとは言われてなかった。」

「つまり、今回の件は自分の責任と自覚しとるんじゃな?」


 ショーンは頷いた。

 棍棒を受け取った後、真面目に冒険者生活をおくっていればこんなことにはならなかった。ショーンはとても悔いたが、もはやどうしようもなかった。


「ところで、その男はどんな格好をしてたんですか?」

「格好か……マントで全身を覆っていたし顔も隠れていたからなぁ。手掛かりといえば巨大な鉄塊を背負っていたくらいしかわからない」

「それだけでは殆んど分からんのう」


 ショーンの証言を聞いたが、ジャメルも秘書も黒幕に心当たりはなかった。


「…………(最悪だ……)……」


 ただ一人、ゼノだけは黒幕を特定できた。もっとも、黒幕を特定したところで彼に出来ることは、震えそうになる顔をひたすらポーカーフェイスで誤魔化すことだけだった。



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