49話 闇の中に響く声
今日は二話投稿します
~side:ゼノ~
此所は何処だ?
暗いな、何も見えない……
どう成っちまったんだ俺?
『--るか?』
何だ……?
『聞こえるか?』
誰だ? 何処に居るんだ?
『うむ、どうやら聞こえているようだな』
だから何処に居る、ちゃんと人前に出て話してくれ。
『やれやれ、五月蝿い奴だ。
姿を見せろと言うが無理な話だ。今お主には何も見えていないのだろう?』
……じゃあせめて名前ぐらい教えてくれよ。
『我は"記憶を統べる者"だ。
名前は特に無いな、いっそのこと"神"でも良いぞ』
悪いけど俺、そう言う胡散臭い物は信じて無いんだ。
『そうか。では"クロニクル"とでも呼ぶがいい。』
じゃあクロニクル、此所はどこ?
『何処と言えば何処でもない。お主は今夢を見ているようなものだ。
もっとも、正確には夢でな無いがな』
じゃあ俺はまだ生きているのか?
『うむ、死んではおらん。それとも死にたかったのか?』
別に死にたい訳じゃないよ。ただ、生きていける自信が無いだけさ。
『自信が無いとはどういう事だ?』
……いやあんたさっき"記憶を統べる者"って言ってたよな?何でも知ってるんじゃないの?
『何でもは知らぬよ。特に他者の心中などはな。
それで、何故生きる自信が無いのだ?』
怖いんだよ……。
『何を怖れておるのだ?』
きっとこの先、誰もが俺を拒絶すると思う……。また一人になる……。
『何故皆が拒絶すると思うのだ?』
……一番最初に俺の側に居てくれた人が俺を拒絶した。きっと他の皆だって俺を拒絶する……。
『………』
これ以上拒絶される……それがとても怖いんだ。
『………まったく、愚か者めが。
あの程度でお主の大切な者達が、本当にお主を拒絶すると思っているのか?』
……わからない。
……もう何もわからないんだ。
『ならば、今一度見るがいい。
お主の過去を、お主自身の物語を』
俺の物語?
『その後に今一度考えてみることだ。
では、始めようか』