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砕牙~白銀の破壊者~  作者: 伊東 無田
再会の物語
33/76

30話 食堂での出来事

久々の投稿です。

でも短いですけどね…


ゼノとロランが黒焦げにされているころ、火の学生寮のとある一室では--


「…ぅ~ん……ムニャ…」

「もう、サラちゃん起きてよ。またそんな分かりやすい寝言いって… 今日は買い物に行くんでしょ?」

「…あと…5…ふ……50分…」

「長っ!」


課題のクエストを昨日の内に終わらせていたため、二人は買い物に行く約束をしていたのだが--


「サラちゃんが言ったんでしょ?今日は朝一で王都を廻ろうって…」


王都アトランドでは、新学期からあらゆる売り物が新しくなるのだが、この2週間は何かと忙しかったため二人はまだ買い物に行ってなかったのだ。


「ムニャ……あと5時間」

「それじゃあお昼になっちゃうよ!それに今日の朝ごはんはサラちゃんの担当でしょ?」

「ぅ~ん……食堂…で…すませ…て…Zzz」


ナズナはため息をつくとすぐに外出の準備に取り掛かった。彼女のルームメイトであり、親友でもあるサラは基本的に朝に弱いため、こういったことはよくあるのだ。


「じゃあ何時もの店に先に行って待ってるね。」

「ふぁ~い……Zzz…」


サラの返事を確認するとナズナは部屋を出ていった。






ナズナがロビー着くのとほぼ同時に、男子部屋の方からマルクが下りてきた。


「おはようマルクくん。」

「おはようナズナさん」


お互いに姿を確認すると挨拶を交わした。


「どっか行くの?」

「うん、サラちゃんと買い物にね。…まあ、まだ寝てるから先に朝食に行くけど。そっちは?」

「こっちも朝からゼノが出掛けて行ったから目が覚めちゃってさ、これから食堂に行くところなんだ。よかったら一緒にどう?」

「勿論いいよ。」


そのまま二人は近くの食堂に向かった。




-----------



食堂に着いてすぐに適当なメニューを購入して、二人は近くのテーブルで向かい合って座った。


「そういえば、マルクくんは今日何か用事あるの?」

「そうだなぁ…本当はゼノに稽古つけてもらおうと思ってたんだけどね。ほら、今のままだと僕だけ足手まといになりそうだからね。」

「そんなこと…」

「いや、事実だよ。僕一人じゃまともにクエストなんて出来ない…せめて攻撃力をあげとかないとね。」


そう言って自嘲気味に苦笑するマルク。彼は魔力の総量が少ないため、理論を理解していても強力な魔法を使うことが出来ない。また、比較的攻撃力の高い炎魔法は、火事になる恐れがあるため森では使用出来ないのだ。


「とりあえず今日は本部のギルドに行ってみるよ。運が良ければ新しい魔力向上トレーニングの話が聞けるかもしれないからね。」


「そっか、ガンバってね!!」

「うん、ありがとう」


そんな会話を交わしていると、食堂の入口付近の人達がざわざわと騒ぎだした。



『おい、アレって例の編入組の奴じゃないか?』

『ああ、一体何があったんだあれは?』



「……さっきから向こうの方が騒がしいね」

「何かあったのかな?」


気になって、入口の方に顔を向ける二人。するとそこにはお馴染みの灰髪の友人がいた…のだが


「……ねぇマルクくん?」

「……何だい?」

「アレってやっぱり……」

「うん、ゼノだね……一体どんなクエストを?」


とにかく酷い格好だった。服は焼け焦げていてさらに血が付着して赤黒く染まっていた。


「というより、クエストだったら幾らなんでも終わるのが早すぎる……それに…」

「うん、私も気になってたんだけど…誰なんだろうねあの子?」


二人の視線の先には見覚えのない女の子が不機嫌そうにして、ゼノの背後を歩いていた。

何となく話し掛けにくくなった二人はしばらく様子をみることにした。



「あ~くそ、まだ体が痛むぞ…幾らなんでもやり過ぎだっつの」

「うっさい!そもそもあの場面であんなデリカシーのない事を言う方が悪い!」

「それにしたってよー、"俺じゃなかったら"病院送りになってんぞ。」

「……うっさい」


注文した料理を受け取るとゼノ達は空いてる席を探し始めた。


「どっか空いてないか?」

「あっ!あそこの席は?」


そう言うやいなやゼノと一緒にいた女の子"アリシア"はマルク達の席に駆け寄ってきた。


「ごめん、相席しても大丈夫?」

「えっ?」

「あの…」


いきなりの申し出にたじろぐマルクとナズナ、するとゼノが二人に気づいて近寄ってきた。


「あれ?二人共今日は食堂だったんだ。」

「う、うん…まあね」


「なに、アンタの知り合いだったの?」

「うん、友達だよ。片方はルームメイトだ。」

「それじゃあ初めまして。アタシはアリシア・ラゲイル、クラスはE、よろしく。」


軽く動揺しながらもマルクとナズナも自己紹介を返した。


「ところでさっきから気になってたんだけど…何があったの?」


質問の意図を数秒考えてから理解したゼノは言いにくそうに答えた。


「そうだな--何て言うか、騙されて襲われた--って感じかな…」

「襲われたって…一体誰に?」


心配そうに訪ねるナズナ、同じく心配そうに見詰めるマルク、そして--


『ジーーー(チクったら殺す!)ーーー…。』


--睨みつけるアリシア


「え~っと…まずロランに呼び出されて集合場所に向かったらアリスに会って…その後は~…あれだ、ロランが(アリスのせいで)ケガをして、それから仕方なく戻って飯を食う事にしたんだ…」


一応、嘘はついていない…もっとも真実を隠しているが。


「じゃあ何でゼノは"服だけ"ボロボロになってるの?」

「それに結局誰に襲われたの?」


「あ~…ちょっと狂暴な知り合いに…ね。」

「もういいでしょ、早く食べないとご飯が冷めるからこの話は終わり!」


強引に話を切り上げるアリシア。やはり初対面の相手に変な印象を与えたくないらしい。


「それじゃあ最後に一つだけ聞いてもいいですか?」


ナズナはアリシアとゼノの顔を交互に見て、聞きづらそうに言った。


「その…ふ、二人の関係は?」













「ふふふふ……、そうね…わたしも調度聞きたかったのよね…」


「「えっ!?」」

マルクとナズナが声の方に振り向くとそこには--


「ねぇゼノ…誰この子?」


--とても引きつった笑みを浮かべているサンドラ・ルミールがいた。


((もしかして修羅場!?))

マルクとナズナは同時に寒気を感じたという。


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