22話 仕事二日目・中編
あけましておめでとうございます!
いつの間にPVが一万に…
これからもよろしくお願いいたします!
~~~~~~~~~~~
北の最果ての森で一人の子供がゴブリンに追いかけられていた
『ギャハ!』
『グゲゲ!』
子供一人に対してゴブリンは5匹、とてもその子供には太刀打ちできる相手ではなかった。
(ヤバい!このままじゃ殺される!!)
つい数分前まで意気揚々とクエストをこなしていた。しかし、運悪くゴブリンの一団に遭遇してしまったのだ。
そもそもゴブリンの討伐難易度はレベル1の前編、つまり魔物の中ではかなり弱い部類に入る。しかし、それはあくまで単体で、複数で行動している場合の難易度は最低でもレベル2まで跳ね上がる。
(はやく、はやく村まで逃げ切らないと!)
ゴブリン自体、冒険者になって日の浅い'彼女'には少し厳しい相手であり、それが5匹…戦おうにも勝目が無かった。
元々採取クエストをこなしていたため、既に体力をかなり消耗している。そんな状態では遠くまで逃げれる訳もなく--
ガッ!
「きゃ!」
足がもつれて転んでしまった。
起き上がろうにも足がすくんで上手く起き上がれない。
その間にゴブリンは彼女を取り囲んでしまった。
「あ…ああ…!!」
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……誰か!)
そしてゴブリンの一匹が手に持った棍棒を振り下ろ--
「誰か!たすけて!!」
「はいよ」
その瞬間、灰色の影が飛び込んで来てそのゴブリンを吹っ飛ばした。
~~~~~~~~~~~
「さて、少し取り乱してしまったが作業を開始しようか。」
一頻り暴れ倒したシグマが平然と言い放った。
「あれを少しで済ますのはお前だけだ…つうか生徒会役員のくせに暴れやがって。学内での戦闘は校則違反だろうがよ。」
先程まで必死に攻撃を回避していたロランが抗議した。
「生憎だが、役員には必要に応じて校内での戦闘が許可されている。さっきみたいな違反者の捕縛もその一つだ。」
「やり過ぎじゃボケ!」
「…ねえゼノ?」
「ん?」
「あの人達ってあんなキャラなの?」
というサラの問にゼノは笑いながら
「いやいや、あんな物じゃ無いよ。…もっと酷いぞ。」
結局その後何故かロランまで見回りに加わる流れになり、6人で行動していた。
「こっちのフロア終わりました。」
「ご苦労だったな……………マグリット!!」
「今忘れてましたね…それからゴミが落ちてたら拾ったほうがいいですか?」
「いやどうでもいい。それは管轄外だ」
「おいシグ!そこでゴミをポイ捨てしてる奴が居るけど?」
「OK!ちょっとシバいて来るわ」
といった会話を交わしながら仕事をすること
約2時間、その間食べ歩き現行犯2人、ポイ捨て現行犯1人、決闘未遂2人の計5人を牢ご……反省室送りにして二日目の仕事は終了した。
「今日の仕事は完了だ。明日が最後だから気を抜くなよ。それからゼノ、昨日言ったことは覚えてるな?」
解散前のシメでシグマがきりだした
「大丈夫だ、心配はいらない。」
「…ならいい、それじゃあ今日は解散だ。」
それだけ告げるとシグマは足早に何処かに去って行った。
それからゼノ達も寮に向かって歩いて行った
~side:???~
もう少しだ…
俺は静に息を潜めて奴等の様子を窺っていた。
今日こそあの愚者達に裁きを下してやる!
しかしまだダメだ、チャンスを待って確実に仕止めなければ!
『じゃあ俺はこの後寄る所があるから此方に行くわ!』
『何か用事でも有るんですか?』
『シグの奴に昨日ちょっと頼まれたんだ。』
『そっか…じゃあしょうがないわね…また後で』
『僕達は先に寮に帰ってるよ。』
しめた!ターゲットの1人が離れて行った!
先ずはアイツからだ!他の"2人"は後回しでもいいだろう。
ターゲットはどんどん人気の無い裏通りに向かっているみたいだな…好都合だ
するとターゲットは突然立ち止まり--
『そこの"人達"そろそろ出て来たら?』
~side out~
ゼノが振り返るとそこいらから見知らぬ人達がぞろぞろと出て来た
全員制服を着ているので学園の生徒だろうとゼノはあたりをつけた
「わざわざ人気の無い所に来てやったんだから理由ぐらい話せよ。」
ゼノは抑揚の無い声で告げた
するとその内の一人が前に出て来た
「お前達愚者を裁きに来た」
「…言ってる意味がわかんねえな。」
すると別の男が
「貴様らは編入組の分際で『紅嵐』にまとわりついているな?それが貴様らの罪だ!」
要するにただの言いがかりである
「もう一つ聞くが…何でお前"達"なんだ?」
ゼノの顔からは既に何の感情も窺えない
しかしそれに気付いていない彼等は
「決まってるだろう?
他の二人も同罪だ!しかし先ずはお前からだ!」
「そろそろお喋りは終わりだ…くたばれ愚者よ」
クスクス…
「良かったよ、お前等がただのクズで…」
彼等の前には先程の生徒は既にいなかった--
「安心して潰せるからな…」
そこにいたのは紛れもなく、彼がかつて捨てた『牙折り』だった