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砕牙~白銀の破壊者~  作者: 伊東 無田
再会の物語
24/76

21話 仕事二日目・前編

「世界観」を新たに追加したので良かったら見て下さい。

~~~~~~~~~~


「アンタ本当に弱いわね。」

「………」


二人の子供が空地で木剣を持って向かい会っていた。

片方の子供は服装が乱れ肩で息をしている。

対して、もう一人の子供は服装に全く乱れが無く、余裕の表情を浮かべていた。


「何か喋りなよ」

「……」


少年は答えない

ただ相手に冷えきった眼を向けるばかりだ


「シカトするな!」


カン!

カランコロン…


怒声と共に放たれた一撃によって、少年の木剣が宙を舞い渇いた音をたてて地面に転がった。


「………」

それでも少年は一言も喋らずに、冷めた眼差しをただ向けるだけだった…




~~~~~~~~~~~




キーン、コーン、カー………


「じゃあ今日の授業はここまで、準備のできた人から演習場に向かってください。」


その言葉と共に殆どの生徒が《杖》を持って教室を後にした


「ゼノ~授業終わったよ。」

マルクは隣の席で爆睡しているルームメイトの肩を揺すった。

しかしまったく起きる気配が無い。


「二人共、早く行きましょう。」

「でもゼノがまったく起きないんだけど。」

「…………Zzz……」

ベタな寝息をたてるゼノ

そこへ…


「仕方ないわね…『水よ』」


「Zz(バシャッ!)ブルアァァァ!!!」

サラの放った『水汲み』が鼻に入った為、慌てて起きる馬鹿


「おはようゼノ♪」

「…おやすみ「『水よ』!」…おはようサラ」ビショビショになった為

自分に『そよ風』を当てて渇かしながら加害者サラに挨拶を返したゼノ


「今日はまた随分深い眠りについてたわね。」

「…誰かさんのお陰で眼がさめたけどなチクショウ」

これ以上言うとまた水を掛けられそうなのでゼノは席から立ち上がって準備をはじめた




-----------




「なあゼノ、昨日あの後何話してたんだい?」

「まぁ、色々とな…」

昨日ゼノはヘロヘロになって帰ってきたため、いつも以上に授業中の睡眠が深かったのである。


「今日から本格的に作業をするのよね?」

「詳しい話はあのシグ(マヌケ)に聞いたほうがいいだろうな。」

シグマからマを抜いてマヌケである(ロラン命名)。


そしてゼノが生徒会室の扉に手を掛けたその時--


『納得出来ません!』


中から声が聴こえた。


「な、何今の声?」


『生徒会でもない、それも編入組の一年に神聖な生徒会の仕事をさせるなんて間違ってます!』

『そうですよ!仕事の邪魔になるだけです!』

『考え直して下さい副会長!』

どうやら現生徒会メンバーが今回の件についてかなり反対のようだ。


「…今さらかよ」

ゼノは呆れながら呟いた


ガラガラ…

「失礼します。」


「あら?こんにちは、よく来たわね。」

部屋に入ると副会長は声をかけてきたが--


「「「………」」」

先程ゴネていたと思われる役員達は不満気な表情を浮かべている


「来たか。じゃあ行くぞ。」

壁に背を預けていたシグマがそう言って歩み寄ってきた。


「待てラゲイル!」

「貴様話を聞いてなかったのか!」

「僕達はまだ納得していないぞ!」


するとシグマは--

「生憎だが、貴様らが納得しようがしまいがこの件は決定事項だ。」

と面倒くさそうに告げて出ていった。


「行くぞ」

「へいへい、それじゃあ失礼しました。」

ガラガラ…ピシャッ


「で、さっきのガキ共は何なんだ?」

扉を閉めたら間髪入れずにゼノが聞いた


「アレはプライドだけは高いが大した仕事も出来ない入学組の二年だ。」

「取り敢えず仲が悪いのはわかった。」

先程の二年達は入学組の生徒で、編入組に対して風当たりの強い奴等である。その為編入組のシグマと仲が悪いのである。


「あの~二人共、中に聴こえてると思うんだけど…」

というサラの問に馬鹿二人はシレっと

「そりゃあ…わざとだからな」

「常識だろ?」

「…まあいいわ。行きましょう。」

一行はそのまま生徒会室を去って行った



-----------



「昨日副会長が言ってた理由ってさっきのか?」

「ああ。アイツ達は編入組を無能と豪語してる典型的な入学組だからな。そこの『紅嵐』以外は不要品だと思ってるんだろう。」


そのため副会長は当初の予定を変えて四人をシグマ一人に任せたのである


「つまり、さっきのは僕達三人が仕事をするのに抗議してたってことですね?」

「そういう事だ」


「何それ…下らない!」

話を聞いていたサラが憤りの声をあげた。


「入学組が何だっていうのよ!」

「サ、サラちゃん落ち着いて…」

ヒートアップするサラを宥めるナズナ


「何と言うか…入学組らしくない奴だなオマエの幼なじみは…」

「サラは優しいからな…昔から」

ゼノは昔を懐かしむように呟いた。

(これはアイツも苦戦しそうだな…)


一行はそのまま三階の二年生の教室棟に向かった。



一方生徒会室では--


「クソっ!編入組の分際で言いたい放題言いやがって!」

「だいたい何なんださっきの一年は!?年下のくせにガキ扱いしやがって!」

「どうせあの『紅嵐』のお陰で課題をクリアしただけのくせに調子にのりやがって!」

入学組の三人が怒りを顕にしていた


「貴方達、滅多な事を言ってはいけませんよ。

彼等を宥めるトレア


「しかし副会長!」

「このままで僕達の沽券に関わります!」


「とにかくこの件はここまでです。さあ、貴方達も自分の持ち場にお行きなさい。」

そう言われてしぶしぶと部屋を後にする三人の背中を見ながらトレアはため息を吐いた。


(入学組と編入組の確執はどうにか成らないのかしら…?)




-----------



「それじゃあ今日はお前等が中心になって作業をしろ。」

持ち場に着くなりシグマが告げた


「とにかく落とし物や規則違反者を探せばそれでいい。」

「あの、質問してもよろしいですか?」

ナズナが挙手した


「規則違反とは具体的にどういうのを言うんですか?」

「例えば学園の敷地内での決闘は言うまでもないが、他には食べ歩きや制服の気崩しも規則違反になるな…」

--とそこへ


「よう!お前等何してんだ?」

何の前触れもなくロランがやって来た。そしてその手には食べかけのパンが握られていた。


それを見たシグマは何処からともなく槍を取り出し--

「『雷突』!」

槍に雷を纏わせて石突きを思いっきり突き出した。


「危な!!何しやがんだ!?」

「黙れ!何回違反すれば気がすむんだお前は!!」

槍を振り回すシグマ、逃げ回るロラン


「…何かあの人キャラ変わってない?」

「あいつは普段は敬語も使わないしテンションの低い奴だが、規則に関してだけはかなり厳くてな、目の前で違反をすると--」


「くたばれゴミクズが!」

「危ねえってんだよこの野郎…!」

シグマは容赦無しで攻撃をかましていた。


「あんな感じになる。」

「「「………」」」

四人にはビミョーな顔をしながらアクションショーを眺めているしか出来なかった。







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