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砕牙~白銀の破壊者~  作者: 伊東 無田
再会の物語
21/76

18話 討伐

サラ達三人が身構えると同時に正面から全長2、3メートルの猪が飛び出してきた。


「ナズナちゃんお願い!」

「うん!『捕らえろ土の腕、アースハンド』」

ナズナは地の初級魔法を発動した

大猪の真横の地面から、土で構成された巨大な腕が大猪を捕らえようと伸びる


「フギイィィ!!」


大猪は鳴き声をあげると同時に真横に方向転換して迫り来る土の腕に突撃して蹴散らした


「よし!ナズナちゃんは下がってて、作戦通りにお願い!」

「わかった!」

「次は僕達の番だね!」


ナズナと入れ替わってサラとマルクが前に出た

「マルク君、時間稼ぎよろしく!」

そう言ってサラは雷の魔力を練り上げ始めた。


「わかった!『アクアバレット』」

マルクは『水弾』を大猪の横面目掛けて撃ち込んだ


「フギィ!!」


大猪は攻撃をまともに食らったが、一鳴きするだけでほとんどダメージを受けていないようだった


そして大猪はマルクの方に向き直って突進してきた


「くらえ!『ミストストリーム』」

マルクは正面から突撃してくる大猪に『濃霧』を放った。


大猪は霧が飛んでくるとさらに加速して真っ直ぐに突っ込んだ

大猪の注意が霧に向いている隙にマルクは横飛びで進路上から逃れた


(ゼノの言った通りだ。)


マルクは森に入って直ぐにゼノに言われたことを思い出していた




~~~~~~~~~~~




「そういえば、皆狩りの経験はあるの?」


「今更それを聞くの?……わたしは無いわ。」

「僕も」

「私も」


「じゃあ、大猪と戦う時の注意点を教えておくよ。」


ゼノが言うに、注意点は三つ



一つ、大猪は自分の頭と牙の硬度に自信を持っている、そのため自分に向かって飛び込んで来る物には必ず正面からぶつかってくる


二つ、攻撃方法は突進のみ


三つ、大猪は腹部が柔らかいためそこを狙え



「あとは基本的な事だけど森の中では必中の時以外は火を使わないこと、火事になったら大変だしね。」



~~~~~~~~~~~



「ていうか、ただでさえ僕は攻撃力が低いのに火属性を使えないのが辛い!」

愚痴りながらも上手く間合いをとって『水弾』を大猪の全身にまんべんなく撃ち込むマルク


しかし、大猪はそれを意に介さずに真っ直ぐに突っ込んでくる。


「やらせません!『ストンシルド』」

それを阻むためにナズナが地属性の基礎魔法『石盾』を発動した

これは『石造り』の魔法よりも発動が速く丈夫な防御魔法だ


『石盾』に大猪が凄まじい音をたてて衝突した


衝突によって大猪の突進は止まったが、盾に大きな亀裂がいくつも走った




しかしその一瞬の隙をサラは見逃さなかった


「とどめよ!『降り注げ、天空の怒り! サンダーボルト!』」

サラは練り上げた雷の魔力を開放して中級魔法の『落雷』を発動した


瞬間、轟音と共に目が眩む様な雷が大猪の脳天を貫いた



そして--



ズーン!!



大猪が横向きに倒れた

大猪は感電してピクピク動くのがやっとのようだ



「ふー、作戦成功ね。」

サラが汗を拭いながらそう言った



作戦とは実にシンプルで


マルクが敵の注意を引き付けながら水弾で相手を濡らして


ナズナが防御魔法で相手の攻撃を一瞬でも止めて


サラが渾身の雷魔法を叩き込む


それだけである


「僕だけあんまり役に立てなかった気がする…」

「そんなことないです!マルクくんが注意を引き付けてくれたお蔭です!」

落ち込むマルクとそれを慰めるナズナ


そこへ--


「そうそう、それにマルクが相手を水浸しにしたおかげでサラも雷を精度を気にせず射てたんだし。」

「そうよ、わたしの『サンダーボルト』は命中率がわる……」


「ん?どうした?」


「「「………」」」


いつの間にか当然のように会話に参加していた灰色頭に三人は唖然としていた。


「まぁ、まだまだ無駄な動きもあったけど初めてにしては上出来だ!」


「……あ……え?」

「な…な、な…!」

「ちょ、ちょっと何でゼノがここにいるの!?」

それぞれ驚きの声をあげる三人


「ん?いや、速攻で終わらせたから様子を見に来たんだ。具体的にはマルクが回想シーンに突入してる途中から。」

「いや、何の話し!?」

すかさずツッコミを入れるマルク


「あのそれで大猪は?二頭いたはずでは?」


「ああ、そこに有るけど」

ゼノが指差した方向を見るとそこには背骨が変な方向に折れ曲がって絶命している二頭の大猪が転がっていた


「うそ……」

「わたし達はあんなに苦労してやっと一頭倒しただけなのに……」


「……どうやって倒したんだ?」

「突進をギリギリで回避して背中に全力で手刀を叩き込んだ。 それより、さっさとコイツの牙を採取しよう。」

「あ、うん……」

討伐クエストでは倒した相手の指定部分をギルドに提出することで達成となる。




……ベタだって?別に良いじゃない、人間だもの




「採取が終わったら飯にしよう。」

「……そうね。言われてみれば朝から何も食べてなかったわ」

「ちょうど肉も手に入ったことだし」

「「「えっ!!?」」」


先ほどより驚愕する三人であった。



~二十分後~



「よし、焼けたぞ。」

「「「……」」」


「どうした?食わないのか?」

俯いて黙り込んでいる三人にゼノが大猪の肉に食らい付きながら聞いた


「……いやだって、コレさっきまで生きていたやつだし…」

「それに目の前であんなのを見せられたら……」

「ちょっと食欲が……」


先ほどゼノが行なった‘大猪解体ショー’を見せられた三人はすっかり食欲を無くしていた


「まぁアレだ!騙されたと思って食ってみろって!」

しかし、ゼノは三人の手に半ば無理矢理肉を握らせた


三人はしぶしぶそれを口に入れた


「!!」

「これは!」

「おかわり!」「早いなオイ!」




ーーーーーーーーーーーーー




「でもちょっとショックかな」

食事の最中にサラがふと呟いた。


「たったのレベル1のクエストなのにあんなに苦戦したなんて‥‥‥」

「う、たしかに‥‥」

「ゼノくんなんてあっさり倒していたのに‥‥」


「いや、だって三人共初めてだったんだろ? 俺の時よりずっとスゴいよ。」

落ち込みはじめた三人にゼノがそう言った


「俺なんて大猪の突進をまともにくらって死にかけたからな。」


「ゼノが? 信じられない‥‥」


「それに比べたら、マルクは無傷で突進を避けてたし、ナズナは突進を止めた、それにサラは一撃で仕留めた、 全部俺には出来なかったことだ。だから自信を持て!」


ゼノは三人の眼を見据えてハッキリといい放った




ーーーーーーーーーーー




「そ、それでは‥‥2ペアともに四つクエストを完了と成ります‥‥」


四人は食事を終えて、その後薬草を5束採取して支部に帰って来た

そして現在報告を終えたところなのだが‥‥


(「ね、ねえ受付の人顔がひきつってない?」)


実は大猪の討伐はレベル1クエストの中でも限りなくレベル2に近い難易度の為、間違っても初クエストでこなす依頼ではないのである


「それでは、またのご利用を‥」


ちなみにこの事実を翌日知った三人にゼノがこっぴどく怒られたのは言うまでもない。






ヤベ~

オチがいまいちだ‥‥



え、全体的にいまいちだって?

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