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砕牙~白銀の破壊者~  作者: 伊東 無田
再会の物語
19/76

16話 クエスト前に

週末の二連休の一日目早朝、ゼノ達4人はさっそく寮のロビーに集まっていた。


「ねぇゼノ……何もこんな時間に集まんなくても…ふぁ~」

とサラが欠伸をしながら訪ねた


現在日の出前、外はまだ薄暗い

しかし--


「昨日確認したところ採取クエストの種類が少なかったんだ。」

とゼノは告げた。


「えっと、どういうこと?」

「つまり取り合いになるってこと」

「取り合い? でも採取クエストは常時受注可能の筈だけど?」

今度はマルクが訪ねた


「確かにクエスト自体に制限はない…けど採取対象には数に限りがあるからね。」


「そっか学年で250組もペアがいるからすぐに無くなっちゃうのか!」


「さらに今回の課題に『複数のペアが協力してはいけない』なんてルールは無いから4人でこなせば少し楽になるってわけ。」


「そっか!それなら時間を短縮できるもんね!」


「でも何で採取にこだわるんですか?」

ナズナが問いかける


「今回の課題はクエスト‘5種類’ではなく‘5個’つまり同じクエストでも可能、ここまではいいよね?」


ナズナは頷いた


「そうなると採取だったら一回でノルマの二倍以上取れたらクエストを2個達成したことになるんだ。」


「あれ?でも結局2チーム分採取しなくちゃいけないならメリットは少ないんじゃない?」


「いや、実はそうでも無いんだ。 例えば二人で採取に行った場合、一人が限界まで採取するともう一人だけで魔物の対処をしなくちゃならないから大変なんだ。でも四人いれば先頭と最後尾で一人ずつ対処が出来るから魔物と遭遇した時もやりやすくなる。しかも運ぶ人も二人に増えるから袋に入れたりしてより多く運べるしね。」


「なるほど、確かに集めすぎると持ち運びが難しくなるもんね。」


「でも一番の理由は、さっき言ったように後半になると採取は難しくなる、だから何れ討伐クエストを受けないといけなくなるんだ……その時四人いたほうがやり易いってとこかな。」


「「「へぇ~…。」」」


ゼノの説明を聞いた三人は関心しながら声をもらした。


……今の長ったらしい説明を読み飛ばした読者は何人いるやら……



閑話休題



(本当は他のペアの盗難防止の目的も有るけど、初クエストで不安にさせすぎるのも良くないか……)

ゼノは声に出さずそう思った。





-----------



4人は日の出前に学内ギルド出張所(めんどいから次から学内支部で)へ到着した。


支部内にはやはりほとんど人がいなかった。


が、一人の男が一行を確認した途端に走り寄ってきた。


「えっ、誰あの人?」

「!!?--あれはまさか!?」

例によってゼノだけは心当たりがあった。


「おーい!もしかしてオマエ『牙』か!?」

近づいて来くるなりクレイモアを背負った男がそう叫んだ。


「はぁ~、やっぱお前かよ『角』。」

ゼノはため息混じりにそう答えた


おいてけぼりの三人はポカンとしていた。


「ねぇゼノ、この人知り合い?」

三人を代表してサラが疑問を投げ掛けた。


「おっ!もしかしてその子が例のムグッ--」

「余計なことは言わんでいい……それより、何か用かロラン?」


「ロラン? それって二年生の『剣角』のロラン先輩!?」

と二人のやり取りを聞いていたナズナが呟いた。


「『剣角』? それって学年上位の実力者って噂の?」


「プハッ!--そういう君は期待の新人の『紅嵐』のサンドラだろ?」


「コウラン?何だソレ?」

とゼノが訪ねた


「サラちゃんの二つ名のことよ。」

ナズナが答えた


「水、樹、雷の三つの属性と紅い髪の毛からそう呼ばれてるのよ。」

「なるほど、同時に雨、風、雷が飛んでくるから嵐か。」

ゼノは納得したように頷いた


「で、話を戻すけどお前は何しに来たんだロラン」

「ひでー物言いだなぁ、せっかくの一年ぶりの再会なのによ。 てか一応オレは先輩なのにタメ口かよ。」

「今更お前に敬語は使いたくない。」


「なぁゼノ、ロラン先輩とはどういう知り合いなんだ?」

「私も聞きたい。」

マルクとナズナの質問に答えたのはロランだった


「オレとコイツ(ゼノ)とあともう一人で去年までパーティ組んでたんだ。」

「つっても一年間だけな。」


約一年前にロランともう一人が学園に編入したため解散したそうだ。


「で、いい加減何でこんなとこにいたのか教えろよ。ここのクエストはレベル2までしかないから本来お前がわざわざ、しかもこんな時間に来ているのはおかしい。」


「オマエに忠告しておくためだ。」


「忠告?」


「オマエが新学期早々やらかしたせいで--」

「周りに目をつけられた…か?」

「それもあるが『爪』の奴が探してる……せいぜい気をつけろ。」

ロランは忠告した


「あの規則馬鹿がか?」「ああ、何せ無許可の決闘だったからな。ただ『爪』よりもアイツのほうが御冠だったけどな。」

「ヤレヤレだ………」



「ねぇゼノ、さっきから角とか爪とかって何の話しなの?」

サラが疑問を投げ掛けた


「俺達がパーティを組んでた時の呼び名だよ。」

「オレが『剣角』だから角、もう一人が『雷爪』だから爪だ。」


「じゃあ、ゼノは何で牙なの?」


「それは……」

「?」


ゼノがどもったのでロランが後を引き継いだ

「元々『牙折り』と呼ばれてたから牙にしたんだよ。」


「牙折り?何なのそれ?」


「ああそりゃあ--」

「ロラン!!」

ゼノがロランに怒鳴った


「わ、わりい……」

「…いや、こっちも怒鳴って悪かった。」


「すまないがサラ、その話しはまた何れ……」

「わ、わかった……」


「じゃあ、悪いけどそろそろ行くわ。」

「おう、引き留めて悪かったな。」

そう言うとロランは出口の方へ向かって行った。


「……その、ごめんねゼノ」

「いや、此方こそ……ただ『牙折り』はとっくに捨てた名前だから…」



それから一行はとくに会話もなくクエストを受注しに受付に向かった。


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