12話 騒動
2話目です。
短いですがどうぞ。
第一魔法学園では、新学期の初日と次の日は授業をせずに、二日に渡って生徒の能力測定を行っている。
担任が来た後Dクラスは学園の施設の一つ、室内闘技場に移動していた。
「それじゃ、《杖》を持って男女に別れて各自測定を行ってちょうだい。」
そう告げると担任は男子の方にやって来た。
「あの、先生は女性ですよね?」
「もちろん!だから女子の着替えを観てても面白くないからこっちに覗きに来ちゃった♪」
「いや『来ちゃった♪』じゃないでしょう!しかも今日は着替えたりしませんからね!」
初日は制服のままで五感と魔力の測定が行われるだけである。
「何ですって!? じゃあ先生のこの興奮はどうすればいいのよ!」
「知りません!」
担任(32歳:彼氏無し)はこの後10分間も粘ってようやく諦めた。
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「お疲れマルク。」
「……ありがとう」
ゼノは担任に10分もの間、たった一人で対応していたルームメイトを労った。
「そういえば、アルフ--」
「ああ、ゼノでいいよ。」
「じゃあゼノ、その…さっきのは何だったの?」
「教室のやつ?別に大したことじゃないよ。昔住んでいた村でちょっとね。」
ゼノは幼い頃のハング村での出来事をかいつまんで説明した。
「そんでその俺が学園に編入したのが納得いかなかったんだろう。」
「……って、ちょっと待って! たったそれだけのことで何で--」
ゼノの話を聞いたマルクは村の理不尽な行いを聞いて狼狽えた。
その様子をみたゼノは優しい声でマルクに言い聞かせた。
「ありがとう。 でも別にマルクが怒ることじゃないよ。 所詮昔のことだから。」
そのまま測定は進んで行き、残りが半分ぐらいになった時に‘それ’は起こった。
「それじゃあ、あとは自由解散ね! 先生はこの後合コンに行かなきゃいけないの!」
それだけ告げると担任は一瞬で闘技場をあとにして、ゲートに向かって走っていった。
(あの人よくクビにならないな。)
クラス全員の気持ちがこの時だけまとまった。
「邪魔者は消えた! さっきの続きといこうかアルフレイン!」
空気の読めないシムジウが叫んだ。
「さっきの続き? オマエが9歳まで「違うわ!」
「適正属性のない貴様が学園にいる何てありえない! いったいどんな方法を使った!」
「普通に受験しただけだけど。」
実際は3回失敗したが、それは高等部から編入した生徒のほとんどに言えることである。
「惚けるな!貴様のようなクズが--」「いい加減にしなよ!」
叫んだのは先ほどから隣にいたマルクであった。
「さっきから聞いてみれば、全部キミの言いがかりじゃないか! ゼノに謝れよ!」
するとシムジウは矛先をマルクに変えた。
「何だ貴様!? 編入組ごときが入学組の僕に命令する気か!」
「ああそうだよ! だいたい入学組だから何だって言うんだ! 人として言っていいことと悪いことの区別も付かないのか!」
「----!! 黙れこのクズが!!」「うわっ!」
シムジウはマルクを殴りつけた。
「編入組の分際で調子にのるからだ!」
その時--!
「おい、 てめぇ今何した?」
静に、しかし凄まじい怒気をこめてゼノが口を開いた。






