9話 再会と…
「さて、それじゃあ説明してもらおうかガキ共!」
場所はオルディンの武具屋、その店主の目の前に男女二人が正座をしていた。
「いや、あのですね--」
サラがぎこちなく口を開いた。
先ほどギルドの酒場でひと騒動起こしたゼノは、
(やべっ!気まずい!)
そそくさとその場を後にした。もちろん階段付近にいるサラには気付いていない。
一方、サラはしばらく思考停止した後
(はっ!こうしてる場合じゃない!!)
我に返り、急いで後を追いかけた。
ついでにナズナは
(さっきの人は、今朝会ったミリアちゃんのお兄さん?………って、サラちゃんがいつの間にかいない!!)
--置いてかれた。
(クエスト確認出来なかった。 まあいいや。)
そしてゼノはミリアを迎えにオルディンの武具屋の扉に手をかけて--
「ゼノーーーーーーーーー!!!」
「ん? ブベラっ!!」
直後サラの特攻によってそのまま扉を破壊して店内になだれ込んだ。
「まってよサラちゃーん!!」
ついでにナズナ到着。
「--というわけでして…。」
「とりあえず、赤頭。 オマエは何回うちの扉を壊す気だ。」
オルディンは静に、それでいて物凄いプレッシャーをこめて言った。
「月1のペースでぶっ壊しやがって。 あれか?扉に怨みでもあんのか?それともワシに対する嫌がらせか?」
「いえ、そんな!滅相も御座いません!」
「それから、そこの若白髪」
「若白髪!?」
オルディンは今度はゼノに向き直って喋りだした。
「オマエがもっと遅めに歩いていたらうちの扉は無事だったんじゃねぇか?」
「ちょっと待ってください!!そんな無茶苦茶な!!--白じゃなくて灰色です!生まれつきの!!」
ブチッ!!
「そっちじゃっっっっっっっ!!ねぇぇぇぇぇぇぇだ!!ろぉぉぉぉぉぉぉぉがあぁぁぁぁぁァァァァァァ!!」
オルディンはキレた。
ちなみにその他二人はすみっこで震えていました。
~五分後~
「で?結局何でオマエはそこのガキにタックルをブチカマしたんだ?」
「えっと、その五年ぶりだからつい…。」
「じゃあボウズ、オマエは何でお嬢ちゃんに背を向けてたんだ?」
「なんていうか……考え事をしていて気付きませんでした。」
オルディンはため息をついた。
「とりあえず、今日はもう閉店だ。後はテメエらでかってにしろ。」
そして一行は寮に戻って行った。
「--さてと、さっさと扉を直して《杖》を作んねえとな。」
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「じゃあ、あらためて自己紹介から。私はナズナ・イスルギ、よろしくね。」
「あたしはミリア・アルフレインです。よろしくお願いします。」
「「………」」
「ほら、お兄ちゃんも自己紹介して。」
「いやその前に何で俺の部屋に集まってんだ?」
「だってお兄ちゃんは女子部屋に入れないでしょ?」
「それにロビーで話すのもちょっと…」
ここでサラが徐に口を開いた。
「あのさ、ゼノと二人で話したいんだけど……二人共いいかな?」
「わ、わかった。」
「それじゃ…」
ナズナとミリアは部屋を出た。
「……聞いてもいい?」
「……ああ。」
サラは深呼吸して、ゼノに問いかけた。
「あの時約束は--「ごめん……」
ゼノは質問を遮って喋りだした。
「結局、剣士にはなれなかった……」
「……そう。」
サラは静に立ち上がり、そのまま部屋を出ていった。
「ちょっとまってよサラちゃん」
ナズナが後を追いかけた。
「ゼノにぃ……」
「……仕方ないさ。あの時の約束を破った俺が悪い。」
「でも!」
「それにさ、正直どうやって接すればいいか解らないんだ…」
ミリアにはそれ以上何も言えなかった。
「サラちゃん!さっきのは酷すぎるよ!ずっと会いたかった相手なんでしょ?」
ナズナの問いに対してサラは
「…う…よう」
「え?」
「どうしよう!!話したいことがホントはイッパイあるのに!!あぁでもいざとなると緊張して会話が続かないし!」
「……えーっと、怒ってたんじゃ無いの?」
「そうじゃないの!!--まったくショックを受けなかったと言えば嘘になるけど…でも!」
サラは半狂乱になりながら喚いている
「さっきので嫌われて無いかな!ねぇ!」
「--ドウダロウネ」
その後、ナズナがサラを落ち着かせるのに四時間かかった。
次回からようやく学園生活がスタートする予定です。
自分の文才の無さが怨めしい……